いろいろレビュー(またか)。 | 水の中。

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海外小説のレビューと、創作を。

長いことお休みしておりました、ここのブログのレビューでございますが、
この春こそ再開すべき! (そうか?)、
しかしやる気が不十分! (どっちだ)、
というわけで、ハンパなことして申し訳ないですが、一言レビューで行ってみたいと思います。


今こそガシガシ本を購入し、ガシガシと他人様にオススメするべきなのかもしれませんが、いつもと同じ調子ですみません。当ブログで行われていることはどちらかと言うとネガティブキャンペーンに近い気もするのですが、ときどきアフィリエイトポイントをいただいたりしているようなので、「こんなん言われてるけど実際どうよ?」と読んでみたくなる奇特な方がいらっしゃるのかもしれません……。



異星人の郷 上 (創元SF文庫)/マイクル・フリン
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異星人の郷 下 (創元SF文庫)/マイクル・フリン
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中世に現れた異星人たち! と、ディートリヒ神父とのすれちがい交流物語(説明ざっくりしすぎ)。

これは名作ですねえ。 読んでてすごく楽しかった。
現代の統計歴史学者であるトムが、「なんでこの村は廃棄されて再定住してないんだろ?」と疑問に思った、文献にのみ残る集落アルフェルハイム。これが物語の始まりなのですが、現代パートではなく、中世パートがメインです。
しかしなんだ、この中世パート、描写が抑え気味で部分的に状況が分かりにくいというか、私にはテレジアの豹変の理由がよく分からなかったり(異星人と何かあったっけ?)、マラカイとディートリヒ神父との対決も、もーちょっと文章ついやして盛り上げてくれないと意味わかんないなという気はします(あそこせっかく良い場面なのに!)。
ペスト大流行時代のお話なので、当然のようにバッドエンドなのですが、それでいて物語の落としどころが素晴らしい。そうかー、SFとは、遠い未来に希望を描く物語でもあるのだな……。



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タイトル「ウームズ」は、転送兵と呼ばれる彼女らに対する一種の蔑称(子宮隊)なのですが、いやいやこれはスゴイ着想ですね。
子宮に異生物の組織を移植して、転送能力を手に入れる。周期を過ぎれば摘出し、また移植というサイクルを繰り返し、要は何度でも妊娠しなくてはならないという、まさしく身を削っての任務。
このエグイ(ほめことば)設定を持ってくるのはスゴイなー、なかなか扱いきれないよなー、ということはさておき、やはりこの物語の一番の見どころは、アルメア軍曹の異常な男前ぶり! ではないかと。

新世界より(上) (講談社文庫)/貴志 祐介
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新世界より(中) (講談社文庫)/貴志 祐介
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長編です。大作です。
だがしかし、うううーん。あまり読者を限定しない、子供から大人まで読むことができるタイプの正統派近未来SF冒険小説! という、作者さんが意図する物語にはなっていると思いますし、さすがのリーダビリティで物凄く読ませるのですが、でもなー、やっぱり新しいものが見当たらないよなーというのが読後の感想になってしまいます。
こういうディストピア物にはありがちな展開ですし、まさかと思うような醜い生物が人間の成れの果てであった! というのも未来物の昔からのお約束で、正直なとこ長く読まされたわりにはなー、得るものがないよなーと思ってしまいました……。



というわけで、いろいろレビューはその2に続きます。