「GANTZ」29巻 奥浩哉 | 水の中。

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突如として始まったカタストロフィ――異星文明からの攻撃に、人類はひたすら逃げ惑い、虫けらのように蹴散らされる。
混乱の中を逃げる玄野たちは、見知らぬ男たちに強制召集され「敵艦へ潜入し、情報を持ち帰れ」という命令を受けるのだった。
「GANTZ」とは、このための準備だったのか?

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これまでにも少しずつ日常崩壊の予兆はあったものの、前巻での


異星人来襲! ちゅどーん!



には心底ビックリしましたよ……。うわアメリカなんか一瞬で消えてるし!

これまでの「GANTZ」では、「限定された時間と空間の中でのミッション」がとてもオソロシく、しかしそこがいい! なんかすぐ隣で起こってそーなリアルさがいい! という物語であったのですが……。
奥せんせー思い切ったな! 
フェイクで入れていた陰謀ネタではなく、異星人ネタとは!!



そしてその「異星人」の設定がなかなかイイのです。
私が今まで読んできたSFでは、「異星人」というと「まったく違う進化をとげた、人類とはまったく違う生き物」であることが多かったものですが(ありますよねー、違いすぎて人類が生きているとは認識できなくて攻撃してきたりとかさ)、今回のGANTZに登場した異星人は、奇妙に人類ぽいのです。

基本的な姿形とか、目も鼻も口もあるところとか、とてもとても人類に似ている。
艦内の建物なども、まるで地球の都会みたいな見慣れた雰囲気で。
似ている。でも違う。
その似ているようで違うところが、キモこわいのですー!!
ううーむ、さすが奥せんせい。



しかし、以前の後書きで「この物語を読んでいる人を、遥か遠くに連れて行ってあげたい」などと志高いことを書いていらした作者さんなので、侵略される絶望感だけで終わるのではなく、「この先」がまだあるのだと思っております。
異星人が人類に似ているのではなく、逆なのかもしれないしなー。
まだまだ分からないところがたくさんで、楽しみです!