羅刹の刻 | 水の中。

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dolphin


そう、それは高熱を出して寝込んでいたときのこと。


「あたまいたい……」


ベッドで天井を見上げて弱々しく呟く私に、旦那がオロオロしながら
「そりゃ熱あるからだよ。病院行く? もっと冷やす?」
と聞いてきます。

歩けない自分が病院など行けるわけもなく、そういえば何も食べていなかったなと思いつき、

「もも」
「は?」
「桃たべたい。桃むいて」



私のこの要求に対する、旦那の返事がすごかった。
「俺が?! どうやって?」

言っておきますが、私はふだんはカワイイ妻です。乱暴なことは言いませんし、怒ったりすることも滅多にありません。
どちらかと言えば甘えて言うことを聞いてもらおうとするタイプです。←イヤな女……
しかし、不調が私の忍耐力を奪っていた。


 
「 ど う に で も せ い や …… (地を這う低音で)


十分後にやたら細切れになった桃がぶじに届けられたので、もしゃもしゃ食べました。(完て……)