「ルート225」 志村貴子(漫画)×藤野千夜(原作) | 水の中。

水の中。

海外小説のレビューと、創作を。

弟ダイゴを迎えに行ったエリコは、家に帰れなくなってしまう。
慣れ親しんだ町で、いったいどうして?
ようやく辿りついた家には、両親がいない、まわりの人々も記憶にある本人とは、
何故か少しずつ違っていて――?


ルート225 (シリウスコミックス)/志村 貴子
¥680
Amazon.co.jp



ななな、なつかしい!!
この原作の感想を書いたのは三年前 ですよー奥さん! いや奥さん以外のみなさんも、こんばんは漫画版「ルート225」です。


この不思議なお話でエリコとダイゴが迷い込んでしまった世界は、とてもとても元いた世界と似ているけれど、死んだはずの人が生きていたり、疎遠になった友達と仲直りしていたり、高橋由伸がちょっと太ってたり(←三年前もヨシノブを中傷した自分です……)するわけですね。



まあ、ぶっちゃけ存在しないのは「お父さんお母さん」くらい。

いないのは両親だけ――しかしコドモふたりにとってこの不在は大きく、やがて彼らは親戚の家に預けられてしまうことになるわけです。
そして新生活にも慣れてきて、だけど何故こうなってしまったのかは分からない……完、というのが原作の終わり方でした。



これスゴイですよね~。



何も決着しないどころか、ひとつの推測も出てこない。
というわけで、仕方なく読み手が考えなくてはならなくなるわけですが、これがまた、考えても分からないのですよねえ……。
だってさー、単純に異世界に迷い込んだだけなら、そこには「その世界のエリコとダイゴ」や「その世界のパパママ」がいたっていいわけでしょう。しかし、いないのです。存在していたはずなのに、いない。
こちらの世界では、「失踪したのはパパとママ」となっている。

エリコが電話をかければ、「元いた世界」のママと話ができるわけです。「どうして帰ってこないの?」とあっちは泣いているわけです。でも、帰れない。




……わけわからん。




何かのメタファーか? とも考えてみたのですが、そーゆー裏のある描写でもないのですよね……意図のある仕掛けとして考えると、いろいろなイミで辻褄が合わなかったりして、それは違う。
ではナニ? と考えてもスッキリした解答が出ないので、理屈で割り切りたい私には、この原作、ひじょーに居心地が悪かったわけです。というわけで「漫画版はどう決着をつけるのか?」という部分に、とても興味があったのですが。



おおー、そのまんま!



少しだけ最後に違う展開を見せますが、原作のキモ(良いか悪いかは別として)である「わけわからんけど、どーにもならないので乗り越えなくてはいけないやるせなさ」を尊重してのことだと思うのですが、あえて原作を離れた結論を出さずに「わけわからんまま」にしておきながらも、少しだけ違う温かさを感じさせる、という。



おお、これはいいなあ。
フツーの場合、この原作の結末にイライラして何らかの決着をつけたくなるところだろうと思うのですが、これはいいなあ……。



珍しくも、この漫画版を読むことによって、原作の良さを見直しました。

そして志村さんの描くエリコ、弟のいるお姉ちゃんて感じでイイですね。