「エデンの炎」ダン・シモンズ(嶋田洋一訳・角川文庫) | 水の中。

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ハワイ島の高級スーパー・リゾート「マウナペレ」。オープンして間もなく、宿泊客が次々と失踪するこのホテルへ、高校教師エレノアは、ある目的を持って訪れた。古代の神々と過去の冒険が交錯する、この事件の行末は――。

「カーリーの歌」が最近また書店に並んでいますが、あちらがインドならこちらはハワイ、ダン・シモンズ得意のご当地ホラーです。

高級リゾートを舞台に展開するこういう物語は、たいてい素敵なロマンスが待っていたりするものですが、ここでエレノアが出会うのは、懸賞で当選して招待されたという、どこから見ても平凡な主婦のコーディ。
しかし、この人がタダモノではない。
クセのあるオーナーのトランボ、その愛人たちの存在も巻き込んで、このリゾートはとんでもない騒ぎになっていきます。

正直なところ、神々がどうしたこうしたとかいう話の筋はどうでもよく、リゾートへ出かけちゃった気分で楽しませてくれる作品です。いろいろな要素を詰め込みすぎて、なんだかわけがわからない怒涛の展開になっていきますが、ラストの気持ちよさも含めて、シモンズ作品の中では、これが一番明るいのでは。
古い読者の方も、旧知の人々が出てきて楽しめます。

(評価★★★★)

しかしさー、どうしても気になっているんだけど、コーディが子供のころスキだったのって、マイクじゃないじゃんよ!!たしかあの太った男の子だったじゃんよ(「サマー・オブ・ナイト」参照)!過去を改変しないでくれよ神様!
(「恋したことがある?」と聞くあそこ、いいシーンなのに……)