インド,これにて一件落着

〔Royal Gaitor,ジャイプル〕
<写真の無断転載は固くお断りします>
随分長くサボっちゃいました。
インドは話題のネタがたくさんあるのですが、
今まで引張り過ぎたので、在庫放出してこれで終わりにします。
----------------------------------------------------------------------
〔インド色々〕
いや~ともかく、インド旅行は驚きの連続でしたよ。例えばね・・・


ホテルの部屋。左が朝の状態。撮影に出かけて戻ってみると・・・右の状態。わかる?
客に無断で勝手にテーブルを持っていっちゃうホテル?そんなの考えられない。
日本の常識でも世界の常識でも考えられない、ありえない。とすると・・?
そうか、きっと泥棒が侵入してテーブルだけ盗んだに違いない。
そうだそうだ、きっとそうに不甲斐ない。間違えた・・きっとそうに違いない。
運転手氏は毎朝、車の中で線香を炊く。朝は祈りの時間だそうだ。敬虔なヒンドゥ信者。BGMはヒンドゥー教の歌(日本でもインド料理屋とかでよくかかってるようなやつね。)線香がわりといい香りなので救われた。でも煙たい。

左は路上生活者。洗濯も料理も路上でする。こんな人は数え切れないほどいる。夜も路上でそのままごろ寝。右は見るからに貧しそうな露天商。だけど何だかサマになっている。


左は"オート・リクシャー"という、三輪車を利用した、アジア圏でよくあるタイプのタクシーのようなもの。タイで言う"トゥクトゥク"だね。右は見たところ砂糖きびの売店らしい。


民族衣装(サリー?)+フルフェイスのヘルメット。このミスマッチが面白い。
インドのサリーやベトナムのアオザイって、セクシーだと思う。
右はスパイスの店。『インドはどこもかしこもスパイスの匂い』という噂を聞いていたけど、
それは感じなかった。僕が感じたのはスパイスよりも生ゴミの匂い。


ホテルの部屋の鍵がこんな南京錠だったり、中央分離帯に牛が寝ていたり。
一日の予定を終えホテルに戻ると、運転手氏が「部屋へ飲みに来い」という。行ってみるとそこは、運転手達が雑魚寝をするための部屋。時には一部屋で8人が寝ることもあると言う。コーラで割った安酒を勧められる。もしやこれが噂に聞く睡眠薬強盗では?などと思い切り警戒しながらも一杯飲む。睡眠薬が効いて眠ってしまったら大変!と、そそくさと自分の部屋へ帰った。部屋へ帰るといきなり爆睡。やはり睡眠薬入りだったのか??ただ疲れていたからなのか???海外の、特にこうした治安の良くない国への一人旅。他人を信用できないのが寂しい。
トラックの後ろには必ず「BLOW HORN」とか「HORN PLEASE」と書かれている(これ、うまく撮れず文字が半分しか見えないけど、分かるでしょ?)。つまり「クラクション鳴らしてね」というわけだ。何のためだか知らないが、インドではいつでもどこでもホーンを鳴らすのが良しとされているらしい。道理であんなにうるさいわけだ。
運転手氏が「昼メシだ」と言って立ち寄ったのがこの露店。一口食べてみろ、と言われて試食してみた。パンとビスケットの中間のようなものが、辛くて冷たい汁に漬かっている。それを紙を丸めただけの皿で受けて食べる。



何だか良く分からない露店が色々。
長々と引っ張ったインド旅行レポートは尻切れトンボにておしまい。
見てくださって、ありがとうございました。
そうそう、今回の撮影は、某メーカーの上級デジタル一眼レフのサンプル撮影の仕事も
兼ねていたので、カメラ販売店の店頭にインドの写真が飾ってあったら、
それは僕の写真かも知れません。
ナマステ。
インド,非常にベタな観光地たち

<写真の無断転載は固くお断りします>
依然として非常にバタバタした日々を過ごして居ります。
さて、僕は何につけても「ベタなもの」にはあまりそそられない。
海外旅行の見所にしても然り、写真のアプローチにしてもまた然り。
たとえばタージ・マハルの夜明けをこんなふうに正面からドーンと撮るなんて、
あまりのベタさに気恥ずかしささえ覚えてしまう。
しかし商売となるとそうも言ってはいられないわけでして。
ま、折角撮ったんだからご覧いただきましょう。
----------------------------------------------------------------------


〔左〕イスラム教のモスク、ジャマー・マスジッド(デリー)
〔右〕インド門(デリー)
----------------------------------------------------------------------


〔左〕フマユーン廟(デリー)
〔右〕バハーイー寺院(デリー)蓮の花をモチーフにしているそうです。
----------------------------------------------------------------------


〔左〕世界遺産のクトゥブ・ミーナール(デリー郊外)
〔右〕アンベール城,象のタクシー(ジャイプル)
----------------------------------------------------------------------
象が来たゾウ~!などと駄洒落もベタな路線で。
[#VIDEO|DOGALOG|48002562/48002562peevee25234.flv|2562|25234|24#]
----------------------------------------------------------------------


〔左〕ラール・キラー(デリー)
〔右〕シティ・パレス(ジャイプル)
----------------------------------------------------------------------


〔左〕ジャンタル・マンタル(ジャイプル)昔の天文観測施設。
〔右〕ファテープル・スィークリー(アーグラー)
----------------------------------------------------------------------


〔左〕アーグラー城(アーグラー)
〔右〕イティマド・ウッダウラー廟(アーグラー)「ベイビー・タージ」とも呼ばれている。
----------------------------------------------------------------------
インドへ行ったら誰もが必ず訪れる定番観光地の数々でした。
ナマステ。
インド,人の還る場所

<写真の無断転載は固くお断りします>
〔バナーラス,インド〕
ナマステ(合掌)
ここのところ非常にバタバタしていまして。そろそろ更新しないとね。
トップの写真はバナーラス(ベナレス)の早朝の沐浴風景。ガンジス川の水で沐浴すれば、すべての罪は清められるそうだ。日の出前から船に乗ってスタンバイ→日の出を待って撮影。川沿いには火葬場があり、遺体を薪で焼き、遺灰を川に流す。ここで焼かれガンジスに還された人は、生前どんな悪さをした人でも、輪廻から解脱できるとされていて、そのためにインド全国から、死者の亡骸が運ばれてくるそうで、火葬場からは絶え間なく白い煙が昇っていた。(火葬場は撮影禁止なのでお見せできなくて残念。有名な旅小説 ”深夜特急” の第九章では、主人公がこの場所で、深い感慨にふける場面がある。)
撮影のあと、川沿いを歩いてみた。
インド式のペタペタ洗濯法が面白かったのでムービーを撮っていたら、
いかにもという感じのオヤジが興味深々で近づいてきた。何か言っている。
「ワシにも見せろ」とか何とか言っているのかな?動きが怪しい。
[#VIDEO|DOGALOG|48002562/48002562peevee37951.flv|2562|37951|14#]


「母なるガンジス」とか言いながら、川沿いの家からは汚水が垂れ流しだし、ゴミは捨て放題。あまり崇拝しているように見えないんだが・・。生ゴミもそこらじゅうに捨ててある。これもナマステ(?)
"聖地"だから静かなところかと思っていたが、案外賑やかでお祭り状態。観光客も多いため、みやげ物屋などもたくさんあって、観光地化している印象。だが・・ふと見れば、これから火葬場へ運ばれるのであろう、布で包まれ担架に乗せられた遺体が無造作に置かれていたりして、あらためてここがバナーラスなのだと認識した。生と死がごく日常的に混在する場所、バナーラス。
生捨て。
インド,カレー三昧。

<写真の無断転載は固くお断りします>
さて、インド旅行記、食事編。
僕はエスニック料理が大のニガテなのだが、インドカレーだけは別。
だからインドでの食事も、レストランに入って、カレーさえ注文しておけば、
食べられないような変なものは出てこないだろう、ということで、
馬鹿のひとつ覚えのようにチキン・カレーを注文。
インド料理屋ならどの店にもチキン・カレーは必ずある、ということがわかったので、
後半はもう、メニューもロクに見ないでチキン・カレーを注文していた。










インドの食事は衛生状態が不安なので、あまり安っぽいレストランではなく、
中級以上の店へ案内してくれるよう、ドライバーに頼んでおいた。
そのおかげか味はどれもなかなかイケた。
しかしどの店のカレーも、ちっとも辛くなくてその点では少しガッカリ。
日本のカレーのほうがよっぽど辛いような気がする・・。
お値段は200~400ルピー。日本円にして600~1200円。
インド人の庶民の日収は数百円ということだから、
なかなか高級な食事ということになる。
なかにはこんな小洒落た店もあった。インドの王様の親戚がやっている店だとか。屋内と中庭のテーブルが選べるので、迷わず中庭にしたのだが、炎天下なので暑くて参った。座っているのは運転手氏。インドでも、運転手は店へ客を連れて来れば、仲介料としてお金を貰えたり、タダで食事ができるシステムになっているらしかった。
インドでいつも飲んでいたのはこれ、キングフィッシャー。案外普通の味のビール。暑い中、動き回って汗をかいた日のビールは格別に旨い。日本で言う大瓶で、レストランで飲んでも300円程度。いくらカレー好きの僕でも、二週間毎日というのはさすがにキツい。
ホテルの近くにインド料理以外の店がある場合は、積極的に利用した。
例えば世界中でお馴染みのマックはインドにもあった!しかし・・・普通なら"ビーフ100%"が売りのマックも、ヒンドゥー教のお国でその謳い文句は通用せず。ミート・パテは全てチキンなのだ。この写真は"チキン・マハラジャ・マック"。通常のマックで言う"ビッグマック"の代用品とでも言おうか。お味のほうは、まあ、悪くないんだけど、あのワキガっぽいニオイのスパイス、何て言うの?あのニオイがけっこう強い。値段はセットで105ルピー(300円ちょっと)。インド人も中国人と同じで、並んで順番を待つことができない困った人達なので、マックのような店で混雑時に注文をするには、自分も他人を押しのける勢いで突進するしかない。


ホテルの朝食はパンと卵、ジュース、コーヒーなどの、一応洋風のメニュー。
何故かオムレツは真っ白。黄身が入ってないんじゃないの?と思ったが
あとで聞いた話しによると、インドの卵は黄身の部分も真っ白なんだとか。
それにしても、黄身が入っているような味が全然しなかったんだよなぁ。


↑インドにはピザハットもある。
おしまい。
ともかくカレーは一年分、食べました。
ナマステ。
インド " 信じれば失う"

<写真の無断転載は固くお断りします>
「Trust nobody.If you trust,you lose.」
これは二週間のインド旅行のうち、半分の日程を共に過ごした運転手氏が、
ことあるごとに、僕に言った言葉だ。
『誰も信じるな。信じれば、失う。』
何だかハードボイルドな映画みたいで格好いいじゃないか。
気に入ったぜ、相棒。
(僕はこの後、彼の言葉を鵜呑みにしたがために夜行列車を乗り過ごし、
多大な労力と時間を失うことになるのだが・・・)
ジャイプルからアグラーへ向かう道中、
"インドが誇る" HM社製の4ドアセダンは、エンジンルームのあたりから突然、
バタバタという音がしたかと思うと、水温計の針がみるみる上昇しはじめた。
ドライバー氏はそれからしばらく騙し騙し車を走らせ、次の村に差し掛かったところで
車を路肩に寄せ、ボンネットを開いた。予想通り、ファンベルトが千切れていた。
「ドン・ウォーリー。ベルトのスペアは2本も積んである」
彼が修理をする様子をコンパクトカメラで撮っていると、
村の子供達が集まってきた。小学校の高学年ぐらいの男の子数人、
身なりは皆一様にみすぼらしい。
彼等は僕のカメラの液晶画面を興味深そうに覗き込んでいるので、
よく見えるように、画面を彼等のほうへ向けてやると、彼等の顔がぱっと輝いた。
可愛いじゃないか。カメラを間近で見ることなど滅多にないのだろう。

そうだ、君らを撮ってあげよう。そっちに並んでごらん。
などとやっていると、運転手氏が修理をしながら強い調子で言った。
「ダメ、ダメ!」
こんな素朴な子供達が悪さをするとでも?
ベトナムでスリに遭った経験以来、コンパクトカメラは
長いストラップでウエストポーチに括り付けてある。
仮に彼等が盗もうとしても、簡単にはいかないはずだ。
彼等の一人が、カメラを指差して、
「ルピー?」と言った。「いくらするのか」と訊きたいらしい。
「さあ・・・テン・サウザン・ルピー以上だ。わかる?」
やはり英語はまったく分からないらしい。
次に僕の腕時計を指してまた「ルピー?」と訊く。
いっぱいいっぱいルピーだよ。サングラス?これは安い。
途上国の人が、豊かな国から来た我々の、
ピカピカ光る持ち物に興味を示すことは珍しくない。
そして彼等は値段を訊くのが好きだ。
答えたところでわかりもしないのに。
今度は、シャツの胸に挟んであった、ボールペンを指す。
これか?これは買ったんじゃなくてどこかで貰ったんだよ・・・
僕がペンをはずして指でつまんで見せると、
近くにいた子供がそれを手にとって、自分の掌に落書きを始めた。
「RYU!ダメ!」
運転手氏がまた、険しい顔をして言った。
修理は難航しているようだ。そのせいで機嫌が悪いのか?
「ダメ!」
はいはい・・・ほら、君達もそろそろ帰りなさい。
キミ、ボールペンを返しなさい。あ、・・こら!泥棒!!
奴はペンを持ったまま、走って逃げてしまった。
「RYU、だから言ったろう!?車の中に戻って座ってろ!」
わかったよ・・・。車のバックシートに座ってドアを閉めると、
子供達が車を取り囲んで騒ぎ出した。
"出て来い、もっと何かをくれ"というのだ。
そのうち、さっきペンを盗んだ少年までが戻ってきて、
ドアのノブをつかんでガチャガチャやっている。
「やめなさい!ゴー・ホーム!」
すると彼等は僕の言葉を真似して、
「ゴーホーム!ゴーホーム」と、おちょくったふうに言い出した。
運転手氏は難航する修理に気が立っているらしいのと、
開いたボンネットに遮られて状況がよく見えていないらしいのと、
さらに"お前が奴等を相手にするからそんなことになる"という気持ちもあるらしく、
肝心な時になって、わざと知らん顔を決め込んでいる。
一人が運転席側に回って、半開きになっている窓から手を差し込んで、
ダッシュボードに置かれている運転手氏の携帯に手を伸ばしたので、
僕は慌てて後部座席から身を乗り出してノブを回し、窓を閉めた。
子供だと思って、人が甘い顔をしていたからといって、
増長するにも限度を超えている。
本当に頭に来た。
ドアを勢い良く開いた。
子供達はクモの子を散らしたように逃げ出す。
ペンを盗んだ少年を目掛けて大股で何歩か追いかける。
こちらが本気で怒っていることを分からせなくてはならない。
僕の怒りが伝わったらしく、子供達は遠くまで全速力で走って逃げ、
その後我々の車に近づいてくることはなかった。
"信じれば失う"
僕はこの時、インドの僻地に暮らす貧しい子供達を信じ、
どこかで貰ったボールペンを一本を失ったに過ぎないが、
彼等のほうこそ、大きな何かを失ったのではないか、などと、
陳腐な考えを述べてみたくもなるわけだ。
僕が彼等に対してひとこと言わせてもらうなら、こうだ。
"裏切るな。裏切れば、失う"
インド,夜行列車の旅(後編)
[ 写真の無断転載は固くお断りします ]
列車、来ル。アンタ、行ク。
「次に来る列車?」
「そ、そ。」
駅員はいかにもいいかげんな返事をした。
「車両はどのあたり?」
「アッチ」
自信がなさそうに、プラットフォームの前方を指差す。
やはり昨夜のようなプロのポーターを雇わなくては。
「ポーターを雇いたいんだけど」
「ウォーターが欲しいのか?」
水だって欲しいさ。焦りと暑さで喉もカラカラだ。
だが今はまずポーターだ。
「ウォーター?」
「違う、ポーター」
「ウォーター?」
「ポーター」
「ウォーター?」
埒が明かない。
仕方ないのでともかく『アッチ』へ行ってみよう。
再びトランクを持ち上げて灼熱のプラットフォームを歩く。
しばらく歩いたところに、ビジネスマン風の、
比較的身なりの良い男性が腰掛けていた。
余談だが、インド人は一見すると身なりが良く見える場合でも、
近くでよく見ると、Yシャツに黄色い染み(やはりカレーか?)とか、
ズボンに泥がついていたり(まさかウ○コじゃないだろうね?)して、
完璧にキマっている人はなかなかいないものだ。
彼にチケットを見せて訊いてみる。
「これは次の列車でいいんですね?」
「ノー、次のは違う。その次の列車だ」
駅員の話と違う。
だか駅員は自信なさげ、こちらの男性は自信ありげだ。
自信のないプロvs自信のある素人。
この場合どちらを信用すべきだろうか。
なんだか面倒くさくなってきた。疲れたし、腹も減った。考えてみれば、
昨日の昼に食事をして以来、もう24時間以上、水しか飲んでいない。
やっぱりインドなんか来るんじゃなかった・・。
そんな投げやりな気持ちになっていると、近くにいた別の男性が声をかけてきた。
「どこへ行くの?」
「バラーナス」
「なら、次の列車は駄目だ。その次のに乗ればいいよ」
これで自信のないプロ一人vs自信のある素人二人。
彼等の言うことを信じることにした。
列車を一本見送る。そして次の列車。
プラットフォームに入ってきた列車のボディをよく見ると、
そこにはチケットに書かれているのと同じ列車番号、
「2391」という表示があった。
列車に乗り込み、空いている席に腰を下ろすと、
さっきの男性が近づいてきて、
「バラーナスには四時頃着く筈だ」
と教えてくれた。やれやれ、何とかなりそうだ。
列車が走り出し、検札に回ってきた車掌にチケットを見せる。
すると車掌は偽札か何かを見るように、チケットを
裏返したり透かして見たりしながら首をかしげ、
ヒンドゥー語でゴチャゴチャ言ったあと、今度は英語で、
「バラーナスへ行くのか?」と訊くので「そうだ」と答えると
「ちょっと待ってろ、また戻ってくる」と言って去っていった。
あんなに苦労をして手に入れたチケットに、不備があるとでも?
この後に及んでまたトラブルか?ウンザリする。
僕は向かいの座席に座っている年配の男性の顔を見て、
西洋人風に両手のひらを上に向け
"どうなってんの?"のゼスチャーで問いかけてみると、
彼は頷いて「ノー・プロブレム」と言った。
そう願いたい。ノー・モア・プロブレム。
結局、それ以来車掌は戻ってくることもなく、列車は無事、バラーナスの混沌とした駅に到着した。旅行社へ電話を入れるとすぐに、現地のガイドが迎えに来て、"今朝ムガル・サライ駅でどれだけ大変だったか"をヒンディ語のように聞こえる英語でまくし立てた。『Sir!私ハ今朝、駅デアナタヲ2時間モ探シタンデスヨ!
ドコヲ探シテモアナタハ居ナクテ、私ハ食事モシナイデ探シマシタ!
ソレハソレハビッグ・プロブレムデシタ!私、ベリーハングリー!
私ハアナタノタメニ、グッド・サービスヲ提供シマス!』
ほんとに申し訳なかったね・・・。
ホテルへ向かう車の中で、彼は何度もその話しばかりを繰り返した。
車窓の外では何かの暴動が起きている。群集と警察が衝突して、
警察の車が投石などによって破壊されていた。
こんな時いつもならすかさず、コンパクトカメラを取り出して
記念の一枚を撮るところだが、その元気もない。
ホテルにチェックインすると、まずシャワーを浴びてからルーム・サービスに電話をしてチキン・カレーとビールを注文し、28時間ぶりの食事を摂った。チキン・カレーの旨いこと。ビールの旨いこと。まさに至福のひと時だ。
インドの夜行列車を乗り過ごすことほど厄介なトラブルは、日頃そう滅多にはないだろう。
そして今のように、これほどの安堵に浸る時間というのも、日頃そう滅多にはないだろう。
僕はその後二時間ほど眠ってから、再びルーム・サービスに電話をして、
もう一度チキン・カレーとビールを注文した。
おしまい
インド,夜行列車の旅(中編)
[ 写真の無断転載は固くお断りします ]
〔バナーラスの日の出,インド〕
〔やっぱりトラブル発生〕
予定時刻の午前6時40分を過ぎても、列車は終着駅に到着する気配がない。
昨夜僕が乗り込んだ時点で、オワンノワのリエィッ(※1時間の遅れ。前編参照)
だったのだから、それも当然か、などと思っていたのだが、
11時を過ぎたあたりかさすがに不安になってきた。
向かいのベッドに腰掛けている、Mrビーンに似た、
目のギョロっとした中年男性に尋ねてみる。
「この列車はどれぐらい遅れてるんですかね?」
「3時間遅れてる。おたくはどちらへ?」
「終点のムガル・サライまで。」
「ムガル・サライ?!もう過ぎたよ?!ムガル・サライは終点じゃないよ!」
ビーン氏が目をギョロギョロさせた。
昨日、駅まで送ってくれた運転手は、確かにこう言っていた。
『ムガル・サライは終点だから、間違えることはない。ドン・ウォーリィ』
ともかく、試練の幕が切って落とされたわけだ。
25キロのトランク+撮影機材一式を独りで抱えて、
インドの夜行列車を乗り過ごすことほど厄介なトラブルも、日頃そう滅多には起こるまい。
全身が一瞬にして、汗びっしょりになってしまった。
大慌てで荷物をまとめ、下車の準備を整える。
次の停車駅までの間、親切なビーン氏が目をギョロギョロさせながら、
折り返しの列車の情報を説明し、丁寧に紙に書いてくれた。
上り列車は1時間後。これを逃すと次の列車は夜中だと言う。
急がねばならない。別れ際、差し出されたビーン氏の手を握ると、
彼は意外なほど強い力で僕の手を握り返した。
その握手には確かに、彼の"頑張れよ"という真心が込められていた。
列車が駅に停まりプラットフォームに降りる。
ここから遥か前方にあるらしい出口から一旦外に出て、切符を買わねばならない。
プラットフォームの路面はデコボコで、トランクのキャスターは役に立たない。
25キロのトランクを持ち上げ、機材のバッグを肩にかけ、
人でごったがえす灼熱のプラットフォームを走る。
出口を出ると、切符売り場はすぐにわかった。そこは案の定"黒山の人だかり"である。
中国人と同じく、インド人も、 "並んで順番を待つ" ということができない。
何をするにも我先にと殺到して他人を押し退け、その結果無駄な混沌が生じるのだ。
郷に入れば郷に従う他はない。大荷物を抱えたまま人だかりに突入する。
ドサクサに紛れて荷物を盗まれないように、携えた荷物やポケットに意識を配る。
あちこちに意識を分散させているので、
自分の魂が自分の中心からどこかへ行ってしまったような、妙な感覚に捉われつつ、
人をかきわけ、窓口にジリジリと接近、やっとのことで窓口に到達した。
窓口では、そこへ向けて八方から、紙幣を握った人の手が伸び、
その手の主はそれぞれに、自分の行き先を大声で告げている。
僕はビーン氏のメモと紙幣を握り、その仲間に加わった。
窓口の係員は、他の人々よりも薄い色の肌をした、
外国人の手が目に付いたのか、メモと紙幣をひったくると、
切符と釣り銭を放り投げてよこした。
第一関門突破。
今頃目的地のムガル・サライでは、現地のガイドが待ちぼうけを食っている。
予定の大幅な狂いを、旅行会社に連絡しなくてはならない。
駅の構内を見回すと "公衆電話屋" を発見。旅行会社へ連絡を入れる。
電話を切るなり、電話屋のお兄ちゃんがヒンディー語で何やらまくしたてる。何か問題でも?
分からないのでとにかく、「分からない。英語で言ってくれない?」と首を横に振る。
お兄ちゃんは片言の英語も分からないらしく、
みるみる苛立ってさらに大声でわめきだした。あー、ヤダヤダ、こういう奴。
なんでわめくんだよ?そんなに興奮する必要ないだろう?
それにいくら怒鳴っても分からないのだから無意味なのに。
言いたいことがあるならむやみにわめかずに、
意思を伝える方法を考えようとは思わないのか?頭の悪い男だなぁ・・。
そうこうするうち、彼が人差し指と親指を擦り合わせるのでようやく、
"料金を払え"と言いたいのだ、と分かった。なんだ、そんなことか。
言われなくても当然、金を取り出す筈の場面だったのに、いきなりギャアギャア騒ぎ出すから
こちらは何事かと思って、無駄に混乱するんじゃないか。ともかく、ハウマッチよ?
「○×ルピー」・・・またヒンディー語だ。
「○×ルピー!」「○×ルピー!!」とまた怒鳴る。本当に頭の悪い奴。
怒鳴っても埒があかないんだよ!
"紙に書いてくれ"とゼスチャーで伝えると、
彼もやっとその方法に気づいたらしく、紙に"15"と書いた。
第二関門突破。
さて、次はポーターを探さなくてはならない。
しかしこの駅にはさっぱり、ポーターの姿が見当たらない・・。
キョロキョロしていると、通りがかりの若い男が目の前に立ちはだかった。
胸元を大きくはだけた派手なシャツに、金色の太いネックレス。
日本で言うところの"イナカのヤンキー"のようなスタイルだ。
そしてこいつは、これもまたイナカのヤンキーがそうするように、
眉間に皺を寄せて "あン?" というふうに、"ガンを飛ばし"てくるではないか。
実は今回のインド旅行で、 "ガンを飛ばされる" のは今回のことだけではなかった。
「や~い、中国人~!」と野次を飛ばされることもあった。
インドは中国との国際問題が過去にあり、対中感情が悪いと聞いている。
肌の黄色い東洋人を、中国人と思い込むのは全世界でありがちなことだ。
それはともかくとして、日本は国際援助など、他国に多大な貢献をしているのに、
いつもケチばかりつけられて肩身は狭く、海外旅行に行けばカモにされたり、睨まれたり。
数々の海外旅行で蓄積した、そんな憤りが、こういった場面で否応なしに再燃してしまう。
デリーの地下鉄は誰が作ったと思ってる?まさか君らが自力でやったとでも?
"日本人に感謝しろ" などとは言わないし、そんなことを望んでいるわけでは勿論ない。
だが人間として、必要にして最低限の尊重だけはすべきではないか。
しかし途上国の人々の、日本人への態度は、最低限の尊重どころか、
金づると思ってタカるか、敵意を持つか、その二通りがあまりにも多すぎる。
そして目の前のヤンキー。お前のその態度は一体何だ?百歩譲ったとしても、
僕は一個人としても、日本人としても、お前に何一つ、悪いことをした覚えはない。
そんな不愉快な態度をされなければならない理由はどこを探しても思い当たらない。
奴に睨まれるうちにだんだん腹が立って、ついに無視することができなくなり、
こちらも同じ "あン?" の顔をつくって奴に近づけ、睨み返してやった。
(やってることはかなり大人げないな・・・我ながらくだらない。わかってまーす。)
10秒か15秒、睨み合ったところで、さっきの公衆電話屋の兄ちゃんが
「おまいら、オラの店の前でヤメロ!!」とか何とか怒鳴ったので、
ヤンキーは"ケッ"という顔をして行ってしまった。愚かな男。
疲れていて困っていて言葉の通じない、
弱い立場の外国人旅行者にしか喧嘩を売れない、あまりにも根性の卑しい男。
さて、ポーターは見つかりそうにないので、自力で列車に乗るしかない。
幸い、このローカルな駅にプラットフォームは二つしかない。
折り返すために乗るべき列車は、向こう側のフォームに到着する。
これは間違いなさそうだ。歩道橋を渡ると、駅員がいた。
チケットを見せて尋ねてみる。
「この列車は?指定の座席はどの車両?」
駅員は何故か首をかしげ、考え込んでいる。
駅員が切符を見て考え込む・・さすがは混沌の国、インド。
何事もスムースにいかない。
暫く考えたあと、彼が言った。
「Train come.You go.」
列車、来ル。アンタ、行ク。
それではちっともわからないじゃないか。
試練は続く。
<後編に続く>
インド,夜行列車の旅(前編)
[ 写真の無断転載は固くお断りします ]
今回の印度旅行、スケジュールには夜行列車での移動が含まれていた。
僕が自分で予定を組むなら、列車を利用することは極力避けるのだが・・・。
海外で長距離列車を利用することはリスキーだ。
日本のようにダイヤが正確ではないし、
案内表示やアナウンスも極めて不親切な場合が多いからだ。
それがインドというお国柄になれば尚更のことに違いない。
不安だ・・・。
ガイド本によれば、インドの列車は時間通りに来ることのほうが珍しいらしいし、
予定のプラットフォームに入ってこないこともままあるらしい。
更に、自分の指定席の場所がどこなのかを見つけることも困難らしい。
そこで頼りになる(らしい)のが "ポーター" と呼ばれるサービス。
インドの駅には、客の荷物を担いで、乗るべき列車の、
然るべき席まで案内してくれるという、ポーター(必殺運び人)がいるのだ。
ということで、僕は駅に着くなり、
ポーターのオヤジをつかまえて切符を見せ、案内を頼んだ。
僕はこの痩せ細った小柄なオヤジに、すぐに好感を持った。
真っ黒な顔にある小さな瞳は正直そうだし、彼の立ち居振る舞いはどことなく、
「プロ意識」のようなものを感じさせるからだ。
オヤジは荷物を頭に乗せると駅の構内をさっさと歩いて、
待合室に入り、荷物を降ろすと、「イレウィン」(11)とひとこと言って
またどこかへ行ってしまった。11時に迎えに来る、ということだろう。
僕が乗る列車は夜11時30分発。今はまだ夕方の5時。何と6時間も、こんな殺風景な待合室で過ごさなくてはならないわけだ。(スケジュールの都合で、ここに5時に着いてしまうのは仕方がなかった)荷物が多く、カメラなど金目のものも多いので荷物から目が離せない。だからその場から動けない。参った。6時間、本を読んだりして過ごす。
ところで、ポーターのオヤジは、何人もの客を掛け持ちして、それぞれの客をそれぞれの列車に案内しているらしい。メモを取っている様子などなかったが、僕の列車の時刻や車両番号、座席など、ちゃんと覚えているのだろうか。
約束の11時きっかりにオヤジは来て、こう言った。
「オワンノワ、タリィン、リエィッ」
そして僕の荷物を担がず、回れ右して歩き去ってしまった。
「え??」
ヒンディー語で言われてもわからないよ・・・。
もうすぐ列車の到着時刻だというのに、何なんだろう。
不安はつのる・・・。
オワンノワ、タリィン、リエィッ・・
オワンノワ、タリィン、リエィッ・・・
・・分かった。あれはヒンディー語ではなく、英語だったのだ。
オヤジは「one hour train late」と言ったのだ。
12時になると再びオヤジが現れて、(いくぞ)というふうに顎をしゃくると、荷物を担いで歩き出した。オヤジのあとについて歩き、プラットフォームへ。20分ほど待って、到着した列車に乗り込む。深夜の夜行列車の社内はすっかり寝静まっていて、真っ暗なのだが、オヤジは迷いもせず、目的の座席へ案内してくれた。チップを多めに渡すと、オヤジは手を合わせ、礼を言って去って行った。やっぱりプロだな、オヤジ。
やれやれ、今夜は大変だった。
駅まで送ってくれた運転手によれば、
「終点で降りれば良い」ということだから、
ゆっくり眠ることにしよう。
<中編へ続く>
インド行ってきました

[ 写真の無断転載は固くお断りします ]
〔オールドデリー,インド〕
皆様、ナマステ。
「ナマステ」はヒンディー語で、こんにちは、とか、さようなら、の時に使う言葉。
なのに僕はインドにいる間、ずっとこれを「ありがとう」の意味だと誤解していて、
「ありがとう」と言うべき場面でいつも「ナマステ」と言っていた。恥ずかしい。
さて、今回のインド取材。
這うようにして帰って参りました。
・・と言っても、別に病気ではありません。
とにかく疲れちゃってさ。
でも今回、心配していた食アタリに関してはなんと無事!
これは今までのアジア方面への旅行の経験からすると、
奇跡的と言っても良いのではないかと思います。
しかもアジアの中でも特に、衛生状態がアレと言われているインドに
二週間いてノーダメージというのは、奇跡的な記録ではなかろうか。
食事をはじめとして、衛生管理にいつも以上に神経を使ったからだと、
この結果には誠に満足しておる次第です。
しかし、インドの旅は非常に疲れます。
ともかく無事帰ってこられて、そのことに感謝。
良い経験になりました。
あぁ、納豆って、美味しい。

[ 写真の無断転載は固くお断りします ]
〔ジャイプール,インド〕
↑と同じアングルの動画が見られます↓
インドのドライバー達よ、そんなにホーンを鳴らさんでよろしい。
うるさいだけで全く無意味だ。
[#VIDEO|DOGALOG|48002562/48002562peevee25195.flv|2562|25195|22#]
↓T字路を右折するのも一苦労。インドでは誰もが「我先に」だ。
"譲り合い" などというものは存在しない。運転手氏もイライラ。
[#VIDEO|DOGALOG|48002562/48002562peevee25212.flv|2562|25212|146#]
では皆さん、ナマステ。
印度へ行ってきます

[ 写真の無断転載は固くお断りします ]
この写真はインドではなくてアラブのドバイなのですが、
印度の写真はまだ無いし、これも一見印度っぽいかな・・・と。
さて、土曜日からいよいよ印度行きです。一度行ってみたいと思っていました。
しかし実際に行った人の体験談や、噂を聞くと、
海外旅行慣れしている僕でも、かなり不安です。
たとえば・・・
■ホテルの部屋に物凄い数のゴキブリが這い回っていた。
■道端に当たり前のように、行き倒れた人の死体が転がっている。
■みんな道端で普通にウ○コをしている。
そんなところへ一人で行って大丈夫なのか。
(一応現地ガイドと車はチャーターなんですが)
まあ、お腹を壊すのはもう、覚悟してます。
アジアの海外旅行でお腹を壊さなかった試しは今までに殆どないので・・。
(インドカレーや激辛料理は大好きなので何とかイケるかな?)
写真はともかく、旅行記のネタには事欠かないでしょう。
二週間ほど、頑張ってきます。