妄想劇場 ~ぺぺの予言書⑳ 予感~ | 気まぐれバードのキマグレコ

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ぺぺは、次の階に向かいながら、ふと予言書を取り出し目を通した。


「邪悪なるものに襲われるとき、大切なものを失うだろう。」


こう、記してあった。


後ろを振り向くと、アロクやゼルベルグも、予言書に目を通していた。


しかし、誰も何も発することなく、次の階にたどり着いた。


ゼルベルグ「何だ?」


石のテーブルがフロアの中央にあり、そこには女性が横になるように、座っていた。
胸元はかなり広く開いた服を着ており、こぼれそうなほどの胸の谷間が見えていた。
スカートは、かなり短く今にも見えそうなほどだった。
そして、女性は手招きをした。


ゼルベルグは、手招きに導かれるように、女性に近づいていった。


ぺぺ「ゼルベルグ、これは、罠だ!」


しかし、ゼルベルグの耳にはぺぺの声は届いていません。


ぺぺ「完全に誘惑されてる。」


そう思うと、体ごとゼルベルグにぶつけていった。


ゼルベルグ「イテテテ。


ぺぺ?なぜ俺をぶちかました?」


ぺぺ「ゼルベルグ、駄目だよ。あいつの手招きを見ると、誘惑されるから。」


ゼルベルグ「………俺は、誘惑されたのか。」


女性「あ~ら、残念。もう少しだったのにね。



そこの、くそ坊やが邪魔しなければね!」


女性は、邪悪なものでした。女性の目が赤く光ると、ぺぺ目がけて光線のようなものを発射しました。


アロク「バカヤロー、ボーッとしてんな!」


今度は、アロクがぺぺに体当たりしました。


アロク「ぐあああ~っ!」

ぺぺは、その瞬間がスローモーションのようにみえました。
光線は、アロクの体を突き通りました。
あっというまに、体からは鮮血が吹き出し、口からも大量に吹き出しました。
運悪く、心臓を貫いていました。


アロク「………ガボガボッ。」


言葉になってませんでした。
アロクは、懐から予言書を取り出し、指を指しました。


ぺぺ「駄目だ、見るなんて。まだ、終わっちゃいない。掟を……サーラの涙で傷を閉じたらさ……



まだ、戦いは終わってないんだ!アロク……


駄目だ!目を閉じちゃ



……だ、だ………



ううっ




だめだ……ってば……




アロクーーーーーー!



嫌だーーーーーー!



ああぁーーーーー。」


しかし、目の前にはまだ敵はいます。ぺぺは、涙ながらに剣を抜きました。
眼孔鋭く、邪悪なものを見ました。
そして、アロクとの旅を思い出し、その思いを剣に込めていきました。
今までにないくらい眩く光ると、その光がそのフロア全体に広がろうとしていました。


ゼルベルグ「サーラ、目を閉じるんだ。目をやられてしまうぞ。」


ぺぺ「おおおおおーーーーー!」


光は、フロア全体に広がりました。邪悪なものは両目を抑えて、のたうちまわっていました。


邪悪なもの「き、きさまぁーーーーーー!」


邪悪なものの背中が開き、中から何かが出てきました。それは、巨大な蛇のようなものでした。
邪悪なものは、口を大きく開くと、牙から液体を発射しました。
ぺぺは、素早くかわすと、さっきぺぺが立っていた床から湯気が立ち、床が溶けていました。
邪悪なものは、次から次へと発射していきました。
ぺぺは、巧みにかわしていきますが、少し疲れが見え始めました。


邪悪なもの「ハハハ、ほら逃げないと、溶けちゃうぞ。


じゃあ、そろそろ終わりにしようか。」


邪悪なものはそういうと、額に当たる部分にも目があり、大きく開きました。そして、3つの目を大きく開くと、目が赤く輝きだしました。
ぺぺは、剣を構えながら、呪文を唱え始めました。


ぺぺ「光の力を司るものよ。我の剣にその力を込めたまえ。」


すると、剣が今までにないくらい光り出しました。


ゼルベルグ「サーラ、また目を閉じろ。」


邪悪なものが3つの目から光線を出し、その光線は途中で1つにまとまり、ぺぺに向かっていきました。
ぺぺも剣を一振りし、光を放ちました。
邪悪なものの光線と、ぺぺの放った光が“間合い”の真ん中でぶつかりあいました。


邪悪なもの「負けるかぁ!」


力を込めて、少し押しました。


しかし、ぺぺも負けじと、剣に思いを気持ちを込めていきます。
両者は依然、互角です。
しかし、ここでサーラが、薄目を開けながらぺぺに近づき、ぺぺの背中に手を当てました。
サーラはこころの中で、


「私の思いも剣に届いて。」


そう願いました。
すると、少しずつぺぺの光の方が押し始めました。


邪悪なもの「押し始めただと?こしゃくな!」


さらに、邪悪なものは、力を込めました。
しかし、それでもぺぺの方が押していました。
気付けば、ゼルベルグもぺぺの左の手の甲に、自分の手を沿えていました。
みんなの思いは、1つでした。アロクの思い、アロクの命を奪った、目の前の敵を倒すという思い、それが剣に伝わっていきます。剣は、3人の思いをのせることで、この世でみたこともないくらいの輝きを放っていました。


邪悪なもの「ムムム、これまでか。」


そういうと、一気に剣の放つ光が光線を押し返しました。


邪悪なもの「うおおおぉーーー。」


次の瞬間、邪悪なものは一瞬のうちに黒焦げになっていました。


ぺぺは、その場に倒れこみ、サーラやゼルベルグもかなり息を切らしていました。


サーラ「……ハァハァ、


ぺぺ……ぺぺ……



だいじょうぶ?」


ぺぺ「………………う……………うぅ……………なん……とか……。」


ゼルベルグ「……………うっ…………つつっ……。



こんかいは………



何から何まで


つらいぜ………。」


3人は、改めて動かないアロクを見て、声を上げて泣きました。
邪悪なものがいようと、この時ばかりはそんなことすら忘れて、ひたすら泣きました。








※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。