アロクをフロアに残し、一行は次のフロアへと進みました。
それぞれ、アロクの思いを胸に秘めて…。
次のフロアへと上がった一行。しかし…
ゼルベルグ「?」
サーラ「?」
ぺぺ「………?
何だ?」
あっけらかんとしたフロア。一行は、そのまま次の階へ行こうと、階段へと向かおうとしました。
が、進めません。
ぺぺ「?
火の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」
左の掌をかざし、火の玉を放ちました。
しかし、フロアの壁を破壊するだけでした。
ぺぺ「?
なんなんだ?ここは?」
一行は、再び階段へ向かおうとしました。しかし、思うように進めません。
ゼルベルグ「どうなってるんだ?」
サーラ「私、飛んでみる。」
マントを外し、羽根を露にし、広げて翔びました。
しかし、天井スレスレまでいきましたが、何も見当たりません。しかし、そこから前に進もうとしますが、進めません。
ゼルベルグは、腰もとの剣を抜き、それを前方に投げつけました。投げた剣は放物線を描き、床に落ちました。
すると、ぺぺが今度は腰もとの剣を抜き、その場の床に突きたてました。
しかし、何の反応もありません。
ぺぺ「おかしい…。おかしすぎる。
邪悪なものの仕業なのか?
違うのか?」
すると、どこからか不気味な笑い声が、聞こえてきました。
邪悪なもの「クックック、分からないか。
分からないだろうな。」
ぺぺ「ど、どこだ!」
邪悪なもの「どこだと……思う。」
その声を聞いて、ぺぺは「ハッ」としました。
背後に何かを感じます。
ぺぺは、ゼルベルグの背後に回り、確認をしました。
ぺぺ「ああっ。」
邪悪なものが、それぞれに背後にぴったりとくっついていました。
しかし、攻撃をしてくるわけではありません。
いえ、少しずつ何かをされていました。
サーラ「何か、体がダルくない?」
ゼルベルグ「ああ、俺も感じてる。力が抜けていくような。」
邪悪なもの「クックック、お前たちの背後に回り、少しずつ精気を吸いとっているのさ。
もはや、お前たちもこれまでだ。」
サーラ「でも、おかしいわ。何で、上に翔べたのに、前には進めなかったの?」
ぺぺ「そう言えば、そうだ。」
邪悪なもの「背後をとるということは、お前らの制御も出来るんだよ。
こうやってな!」
ゼルベルグがいきなり、ぺぺに殴りかかりました。
ぺぺ「グフッ!」
腹を殴られ、ぺぺはくの字に曲がりました。
ゼルベルグ「ぺぺ、大丈夫か?
く、くそー!」
ぺぺ「くそー?それは、違うよ、ゼルベルグ。
こいつらは、僕を何も知らない。後ろをとったって、前までは制御できない。」
邪悪なもの「ほざいてろ。」
ぺぺ「じゃあ、いいんだな。ほざいても。
かなり危険だけど。
大地の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」
ぺぺは、頭の中で巨大な雲をイメージし、目の前に巨大な雲を作り出しました。そして、自分の背後に稲妻を落としました。
邪悪なもの「ぎゃあーーー!き、貴様、捨て身か。」
ぺぺ「トドメだ!」
ぺぺは、さらに自分の背後に稲妻を落としました。
背後の敵は倒しましたが、背中は大火傷を負いました。
サーラ「ぺぺ!
私の前まで来て。」
邪悪なもの「そうはさせるか。」
サーラの体を操ろうとする邪悪なものに対して、サーラも必死に抵抗していました。
邪悪なもの「馬鹿な!背後をとられて、抵抗など…。」
サーラ「お前たちに、私たちの気持ちの強さなんて分からないわよ。」
邪悪なもの「馬鹿な!気持ちで俺たちを、操りを食い止めれるわけがない。」
しかし、サーラは体力を気力を奪われつつも、必死に抵抗していました。
邪悪なもの「き、貴様、この強さは一体?」
サーラ「フフ、私は天使よ。人間とは違う、不思議なものを沢山持ってるわ。」
ぺぺは、少しずつサーラに近づいていました。
しかし、途中で倒れこんでしまいました。
でも、サーラは諦めずに必死に前に進もうとしていました。
サーラ「お願い、大天使様。私にもっと力をお貸しください。」
サーラが強く願うと、サーラの羽根が黄金色に輝き出しました。
段々、眩く光り出しました。そして、その羽根は大きくなり翼になりました。耳はさらにとがり、口は嘴に変わり、足や手の爪はさらに鋭くなり、奇声を上げました。
サーラ「キョキョーーン。」
サーラは、鳴き声を発すると、翼をバサバサと動かしました。
邪悪なもの「な、何だ?こやつは…。
う、うおお、後ろにいられない。」
サーラは、背後にいた邪悪なものが離れたのを機に振り向き、一気に赤い炎を嘴から吐きました。
一瞬にして邪悪なものは、灰になりました。
そして、ゼルベルグの背後にいる邪悪なものに狙いを定め、物凄い早さで飛んでいくと、嘴で鋭く攻撃をしました。
そして、邪悪なものを宙に放り投げると、嘴から炎を吐き出しました。
ゼルベルグは、唖然とし、声も出ませんでした。
サーラは、一鳴きすると、元の天使の姿に戻りました。
そして、ぺぺに近寄り、涙でぺぺの背中の傷を癒しました。
サーラ「ぺぺ、ぺぺ。大丈夫?」
ぺぺは、ゆっくりと目を開きました。
ぺぺ「あ、あれ、僕は一体…。
邪悪なものは?」
サーラ「もう、いないわ。」
ぺぺ「サーラ?」
ぺぺは、ゼルベルグの方に目をやりました。
ゼルベルグは、何も言わず、ただ呆然としていました。
ぺぺ「ゼルベルグ、大丈夫?」
ゼルベルグ「…………ああ、大丈夫だ。」
ぺぺ「サーラ、何かあったの?
というか、邪悪なものはどうやって倒したの?」
ゼルベルグ「ぺぺ!ぺぺ!
ぺぺ、それだけは聞くな。
いいか。」
ぺぺ「え?何で?」
ゼルベルグ「いいから、早く次行くぞ。」
ぺぺ「へんなやつ。
ねぇ、サーラ。」
サーラは、満面の笑みで返しました。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。