一行は邪悪なものを倒し、ようやく2階へ上がることが出来ました。
しかし、すぐに次の戦いが待っていました。
アロク「くそっ、もうかよ。
俺たち、もたないぜ。」
ぺぺ「それでも、やるしかないんだ。」
サーラも、背中の羽根を一本抜き、それを剣に変え、戦闘態勢に入りました。
ゼルベルグ「やるしかないな。
ぺぺ、大丈夫か?」
ぺぺは、息が少し荒くなっていました。
そうです。次の敵は、“かげ”の軍団でした。
ぺぺ「やるしかない、やるしかないんだ。
ハァハァ…。」
アロク「ぺぺ、大丈夫か?
自分のトラウマに、勝てるのか。」
ぺぺ「これを越えないと、真の勇ましきものにはなれない。」
ゼルベルグ「来たぞ!行くぞ!」
一行は、かげに襲いかかっていきました。が、ぺぺだけ出遅れていました。
ゼルベルグ「ぺぺ、自分に勝て。お前が、真の勇ましきものにならないと、長を倒せないぞ。」
ぺぺは、立ち尽くしていました。
自分の中で、葛藤していました。
ぺぺ「……かげを倒したら、かげが出てきた人間が死んでしまう…。でも、倒さないと、平和は取り戻せない…。かげを……。」
ぺぺは、立ち尽くしたまま、小言を言いながら、自問自答していました。
と、そこへかげが襲いかかってきました。
ぺぺは反応が遅れ、強く殴られました。
ぺぺ「……痛っ!
テテテッ!」
アロク「ぺぺ、剣を抜くか、呪文を唱えろ!」
ゼルベルグ「ぺぺ、みんなこの敵と戦いたくないんだ。お前一人が辛いんじゃないんだ。
戦え、ぺぺ。」
ぺぺ「あああああぁーーーーー。」
ぺぺは、腰元の剣を抜き、ガムシャラにかかっていきました。
しかし、剣がいうことをききません。
ぺぺ「……どうしてだ?」
剣を振り下ろそうとしても、振り下ろせません。
ゼルベルグ「ぺぺ、気を落ち着かせろ。
その剣は、気の乱れも良くないし、勇ましい気持ちを入れないと駄目なんだ。」
ぺぺ「………気持ちの剣…。」
ぺぺは、自分のトラウマを敢えて思い出し、今までの苦労を思い出していました。
仲間と共に苦労したこと、一緒にのり越えたこと、そしてさっきサーラが腕を治してくれたこと。無駄に出来ないという気持ちが、湧いてきました。
ぺぺは瞳を閉じ、一呼吸おいて剣に気持ちを込めました。
ぺぺ「はあぁっ!」
剣を一振り。かげをついに斬りました。
一行は、ボロボロになりながらも、次々とかげを倒していきました。
そして、クロウドに最初に実験で引き出された、かげだけになりました。
かげ「貴様らが、ここまでやるとは。
しかし、クロウド様のところまでは、行かせない。」
アロク「なんだ?その、くろべえってやつは。」
かげ「クロウド様だ!あのお方は、偉大なんだ。
極悪人だった人間から、俺を引き出したんだからな。」
ゼルベルグ「お前らは、引き出された人間の意識は持ってないのか?」
かげ「そんなもん、あるかよ。俺らは、俺らで元の人間とは別の意識だ。
それよりも、お前らからもかげを引き出してやる。」
ぺぺ「そうは、いかない。」
アロク「ぺぺ!」
ぺぺ「うん、ここは、僕に殺らせて。」
かげ「フフフ、お前はさっきビビってたやつじゃないか。そういうこころの傷が大きいやつにも、入りやすいわな。」
ぺぺ「それは、どうかな。
僕は、さっきかげを一体斬ってから、ふっきれたんだよ。」
そういいながら、かげに斬りかかっていきました。
しかしかげは、にやつきながら、ピクリとも動きません。
そして、ぺぺの攻撃をかわすと、ぺぺの頭に手を突っ込みました。
かげ「クックック、お前のこころをかき乱してやる。」
一瞬、ぺぺの動きがとまりましたが、もうそこには昔のぺぺはいません。
剣が眩いくらい輝くと、かげの胴体を真横にまっぷたつに切断しました。
かげ「ぐわああぁ、な、なぜだ。
そ、そんな、短時間で……
こころの傷など、消えるはずが
ない………はず…なのに。」
ぺぺ「言っただろ、もう迷いはないって。
お前の完全な読み違いだ。
僕をあまく見すぎたな。」
そういうなり、ぺぺは腰元の鞘に剣を静かに収めました。
ぺぺ「みんな、大丈夫か。
次へ行けるか。」
ゼルベルグ「もちろんだ。」
サーラ「私も。」
アロク「俺も、行けるぜ!」
一行は、次の階へと進みました。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。