妄想劇場 ~ぺぺの予言書⑲ 断ち切り~ | 気まぐれバードのキマグレコ

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何でも綴りたいことを綴っています。

一行は邪悪なものを倒し、ようやく2階へ上がることが出来ました。


しかし、すぐに次の戦いが待っていました。


アロク「くそっ、もうかよ。
俺たち、もたないぜ。」


ぺぺ「それでも、やるしかないんだ。」


サーラも、背中の羽根を一本抜き、それを剣に変え、戦闘態勢に入りました。


ゼルベルグ「やるしかないな。


ぺぺ、大丈夫か?」


ぺぺは、息が少し荒くなっていました。
そうです。次の敵は、“かげ”の軍団でした。


ぺぺ「やるしかない、やるしかないんだ。


ハァハァ…。」


アロク「ぺぺ、大丈夫か?

自分のトラウマに、勝てるのか。」


ぺぺ「これを越えないと、真の勇ましきものにはなれない。」


ゼルベルグ「来たぞ!行くぞ!」


一行は、かげに襲いかかっていきました。が、ぺぺだけ出遅れていました。


ゼルベルグ「ぺぺ、自分に勝て。お前が、真の勇ましきものにならないと、長を倒せないぞ。」


ぺぺは、立ち尽くしていました。
自分の中で、葛藤していました。


ぺぺ「……かげを倒したら、かげが出てきた人間が死んでしまう…。でも、倒さないと、平和は取り戻せない…。かげを……。」


ぺぺは、立ち尽くしたまま、小言を言いながら、自問自答していました。


と、そこへかげが襲いかかってきました。
ぺぺは反応が遅れ、強く殴られました。


ぺぺ「……痛っ!


テテテッ!」


アロク「ぺぺ、剣を抜くか、呪文を唱えろ!」


ゼルベルグ「ぺぺ、みんなこの敵と戦いたくないんだ。お前一人が辛いんじゃないんだ。


戦え、ぺぺ。」


ぺぺ「あああああぁーーーーー。」


ぺぺは、腰元の剣を抜き、ガムシャラにかかっていきました。
しかし、剣がいうことをききません。


ぺぺ「……どうしてだ?」

剣を振り下ろそうとしても、振り下ろせません。


ゼルベルグ「ぺぺ、気を落ち着かせろ。

その剣は、気の乱れも良くないし、勇ましい気持ちを入れないと駄目なんだ。」

ぺぺ「………気持ちの剣…。」


ぺぺは、自分のトラウマを敢えて思い出し、今までの苦労を思い出していました。
仲間と共に苦労したこと、一緒にのり越えたこと、そしてさっきサーラが腕を治してくれたこと。無駄に出来ないという気持ちが、湧いてきました。


ぺぺは瞳を閉じ、一呼吸おいて剣に気持ちを込めました。


ぺぺ「はあぁっ!」


剣を一振り。かげをついに斬りました。


一行は、ボロボロになりながらも、次々とかげを倒していきました。
そして、クロウドに最初に実験で引き出された、かげだけになりました。


かげ「貴様らが、ここまでやるとは。
しかし、クロウド様のところまでは、行かせない。」

アロク「なんだ?その、くろべえってやつは。」


かげ「クロウド様だ!あのお方は、偉大なんだ。


極悪人だった人間から、俺を引き出したんだからな。」


ゼルベルグ「お前らは、引き出された人間の意識は持ってないのか?」


かげ「そんなもん、あるかよ。俺らは、俺らで元の人間とは別の意識だ。



それよりも、お前らからもかげを引き出してやる。」

ぺぺ「そうは、いかない。」


アロク「ぺぺ!」


ぺぺ「うん、ここは、僕に殺らせて。」


かげ「フフフ、お前はさっきビビってたやつじゃないか。そういうこころの傷が大きいやつにも、入りやすいわな。」


ぺぺ「それは、どうかな。


僕は、さっきかげを一体斬ってから、ふっきれたんだよ。」


そういいながら、かげに斬りかかっていきました。
しかしかげは、にやつきながら、ピクリとも動きません。
そして、ぺぺの攻撃をかわすと、ぺぺの頭に手を突っ込みました。


かげ「クックック、お前のこころをかき乱してやる。」


一瞬、ぺぺの動きがとまりましたが、もうそこには昔のぺぺはいません。
剣が眩いくらい輝くと、かげの胴体を真横にまっぷたつに切断しました。


かげ「ぐわああぁ、な、なぜだ。


そ、そんな、短時間で……


こころの傷など、消えるはずが



ない………はず…なのに。」


ぺぺ「言っただろ、もう迷いはないって。


お前の完全な読み違いだ。

僕をあまく見すぎたな。」

そういうなり、ぺぺは腰元の鞘に剣を静かに収めました。


ぺぺ「みんな、大丈夫か。

次へ行けるか。」


ゼルベルグ「もちろんだ。」


サーラ「私も。」


アロク「俺も、行けるぜ!」


一行は、次の階へと進みました。






※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。