妄想劇場 ~ぺぺの予言書⑭ 戦意喪失~ | 気まぐれバードのキマグレコ

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「こんなもの…、こんなものがあるから、いけないんだ…。」


虚ろな目で、ぺぺは予言書と勇士の剣を、力なく落とすように捨てました。そして、ふらふらと歩いていきました。


一方では、一行はぺぺを必死で捜していました。


サーラ「ぺぺー、ぺぺー、どこなの~。」


アロク「ぺぺー、いたら返事しろー。」


ゼルベルグ「どこだー、ぺぺー。」


辺りに見渡しながら、少しずつ歩を進めました。岩や木の陰、木の上にも、注意しながら捜していました。

ゼルベルグ「あ、あれは…。」


ゼルベルグは、何かを見つけました。


アロク「こ、これは、ぺぺの予言書と勇士の剣じゃないか。


何者かに、襲われたのか。」


ゼルベルグ「いや、争った形跡がない。おそらく、捨てたんだろう。」


サーラ「えぇ、ではどこに。」


ゼルベルグ「分からない、いつぐらいにここを通ったのか、どこへ行ったかも。


とにかく、捜そう。」


さらにさらに、捜していきました。気付いたら、もう日はかなり傾いていました。


ゼルベルグ「まずいな、もうすぐしたら日が暮れる。早く、見つけないと。」


その時でした。


サーラ「みんな、あそこの岩陰を見て。」


そこには、虚ろな目で空を見ている、ぺぺがいました。


ゼルベルグ「ぺぺ、ぺぺ!おい、しっかりしろ!」


ぺぺ「あぁ…、みんな…。僕に何か用。


僕はもう、戦うのを止めたんだ…。」


ゼルベルグ「何言ってんだ、お前は選ばれしものなんだぞ。


しっかりしろ!」


「パァーーン!」


ゼルベルグは、ぺぺの頬をおもいっきり、はたきました。


ぺぺ「無駄だよ…、そんなことしたって…。」


完全にうわのそらでした。

アロク「お前、どうしちまったんだよ。今まで、あんなに必死に戦ったのに。かげをやっつけて人が死んだのは、誰だってショックなんだ。お前だけじゃない。」


すると、急にぺぺが怒りを露にしました。


ぺぺ「お前らに、何が分かるってんだ!勝手なことばかり、言いやがって!」


ゼルベルグ「ぺぺ、お前…。」


ぺぺ「…………、教えてあげるよ、僕の過去を。」


サーラ「え?」


ぺぺ「僕は……、僕は、王の息子じゃないんだ。僕は、僕がいた城の正当な継承者では、ないんだ。」


アロク「どういうことだ?」


ぺぺ「もう、今から12年も前のことなんだ。僕は、ある村に産まれたんだ。



でも、僕が4歳の時だった。今はもう、滅んだと言われている城のものたちが、僕の村に襲ってきたんだ。」


サーラ「ひどい…。」


ぺぺ「理由は、その城の管轄に入らなかったからで。

それだけの理由で、村は襲われたんだ。そこの城は、領地を次々と支配し、国を大きくするのが目的だった。

自分達の欲のために、僕たちの村は壊滅したんだ!


しかし、運よく、僕と他の3人は生き残ったんだ。その時に、僕と3人が拾われた城の王、今のぼくの義父が無茶をしていた国を、周りの国と同盟を結んで滅ぼしたんだ。」


アロク「そんなことが。」

ゼルベルグ「だからか、燃えていた人たちを見て、逃げ出したのか。」


ぺぺ「あなたたちには分からないだろうけど、僕は平気でかげを……。」


ゼルベルグ「バカヤロー!


平気なもんか。かげを倒したら、人も死ぬなんて、平気なやつがいるか!」


ぺぺ「じゃあ、何であのとき、かげを倒したんだ!必死で逃げて振り切ったら……。」


ゼルベルグ「あの状況で、それが出来たか。



結局、あのときはああするしかなかったんだ。」


ぺぺ「だけど、僕は……。


ごめん、1人にしてほしいんだ。」


3人は、ぺぺが何らかの反応をするまで、待つことにしました。







※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。