砂漠を越え、しばらく進むと、新たな街が見えてきました。
アロク「や、やっと、休める~。」
サーラ「でも、何だか静かじゃない。」
アロク「そんなんどうでもいいよ。早く休もう。」
ぺぺ「うん、宿を探すか。」
一行は、宿を探し歩き始めました。
しかし、人の気配が感じられません。
宿を見つけ、中に入りました。
ぺぺ「すみませ~ん。」
カウンターに、人が座っていました。
ぺぺ「すみません、泊まり……、あっ!」
宿の人「…………。」
ぺぺ「大変だ!座ったまま、白眼をむいている。」
ゼルベルグ「脈はある。まだ、死んでないぞ!とりあえず、街の診療所を見つけて連れていかないと。」
サーラ「私、見てくる。」
サーラは、街の診療所を探しに行きました。
しかし、すぐに帰ってきました。
サーラ「た、大変よ!街の人みんな、ここの人と同じ状態よ。」
ぺぺ「え?」
街の家や店の中を覗いてみると、みんな宿の人と同じ状態でした。
しかし、ある家に子供が2人いました。
ぺぺ「君達、何があったの?」
子供1「分からない、分からないよぉ~~
うぇ~~~ん。」
子供2「とうちゃん、かあちゃん、どうしたの?眠たいの?」
小さい子供は、ずっと父母の体を揺すっていました。
ゼルベルグ「どうなってんだ?」
一行は、外へ出てみました。そして、周囲へ気を張り巡らせました。
「ジリッ。」
何か、物音が聞こえました。
一行は、そちらへ走っていきました。
ゼルベルグ「な、なんだ?
ん?人もいるではないか。
しかし、何かおかしい。
何だ、その黒いやつは。邪悪なものと人が一緒に、いるのか?」
かげ「それは、違うな。私は、かげの中でも上級なんだよ。だから、人間そっくりになれるんだよ。」
言い終わるのと同時に、ゼルベルグに襲いかかりました。
ゼルベルグは、とっさに腰元の剣を抜きました。
上級かげ「やるじゃないか。
おい、やっちまうぞ!」
ぺぺ「気合い、入れるか。」
かげたちは、見渡す限り、20体はいるでしょうか。
アロク「数には、呪文で対抗するしかないな。」
ぺぺ「いくか。」
アロク&ぺぺ「火の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」
二人は、そう呪文を唱えると、巨大な火の玉を作り出し、かげたちに投げつけました。
下級のかげたちは逃げ切れず、燃えてしまいました。しかし、それと同時に街の方から、音が聞こえてきました。
サーラ「な、なに?さっきの音。
いっぱい、何かが倒れるような音が…。」
上級かげ「クックック、なんだと思う?
クックック、見てきてみろ。悲鳴あげるぞ。」
ゼルベルグ「ま、まさか。」
一行は、いくつかの建物の中を見てみました。
ぺぺ「あ、あぁ、こ、これは、どういうことなんだ?」
街のいくつかの人は、燃えていました。まるで、かげたちが燃えたのと同じように。
上級かげ「クックック、理解できたか。
かげを殺せば、かげを抜かれた人間も死ぬ。しかも、おなじように傷つく。
クックック、手も足も出まい。俺たちのやりたい放題だよ。
俺たちの完全なる勝利だーー!
ぐ、ぐうぅ、何でこんなこと……出来る………お、お前、
非情な……にんげん………か。」
ゼルベルグは、自分が手にしてた剣をとっさに、上級かげに投げました。そして、その剣が上級かげの胸を貫きました。
しかし、街の誰にもそんな傷を負った人は、いませんでした。
ゼルベルグ「あいつが、この街の人たちから、かげを引き出したんだ。」
ぺぺ「………。」
アロク「他のも、倒すしかないのか。」
アロクは、下級かげに囲まれていました。
ぺぺ「い、い、嫌だーーー!」
ぺぺは、その場から走って去っていきました。
ゼルベルグ「まて、ぺぺ。」
サーラ「………。」
ゼルベルグ「アロク。迷うな!倒せ!殺らなきゃ、俺たちが殺られる。
俺たちがいなくなると、誰も世界を救うやつがいなくなる。そうなると、みんなかげを抜かれて、“人”がいなくなるぞ!」
アロク「うおあああぁ~、火の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」
四方八方に、火の玉を散らしました。
アロク「ああああぁ~、チキショーーーー!
こんなこと……
絶対許さん!」
ゼルベルグ「もちろんだ。
それより、ぺぺを探さないと。
勇士の剣を持つのは、あいつだ。あいつがいないと……。」
アロク「…あんた、何をしってるんだ?」
ゼルベルグ「いや、何も知らない。ただ、伝説を聞いたことがあるだけで、勇士の剣を抜くときは、世界が混乱に陥ったときだって。そして、その剣で世界を救うものが現れると。」
アロク「それが、ぺぺだと。」
ゼルベルグ「そうだ。この街の人たちみたいな犠牲者を出さないためにも、急ぐ必要がある。」
アロク「しかし、手掛りが…。それに、ぺぺも。」
ゼルベルグ「1つのある場所に俺は、目をつけているだがな。邪悪なものたちが、そこにいるのではないかとな。」
サーラ「え?」
ぺぺは、どこへ行ったのか?ゼルベルグが、目星を付けた場所とは?
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。