オスモロス・タートルは、ゼルベルグに気付き、足で踏み潰そうとしてきました。
ゼルベルグは、間一髪、背中に背負っていた、棒をつっかえ棒にし脱しました。
ゼルベルグ「これは、厳しいな。」
ゼルベルグは一度、みんなのところまで、退却しました。
ゼルベルグ「どうすればいいんだ。」
アロク「じゃあ、次は俺が行くぜ。」
そう言うと、勢いよく飛び出していきました。
ぺぺ「呪文は使っても、殺すなよー。」
アロク「分かってらぁ。」
アロクは、右に左に動きながら、オスモロス・タートルの足の間をすり抜け、剣らしきものに一直線で向かっていきました。
ぺぺ「あ、危ない!」
オスモロス・タートルは、ゆっくりと座ろうとしてきました。
アロクは、慌ててオスモロス・タートルの脇まで、逃げました。
アロク「ふう~、間一髪だぜ。」
しかし、今度はアロクのいる脇のほうに体を寄せてきました。
アロク「お、お、おい…。」
アロクは、洞窟の壁に出っ張りがあったので、それに飛び付きました。
アロク「あ、あぁ~。」
洞窟の壁の出っ張りが崩れ、オスモロス・タートルの甲羅の上に、アロクは落ちました。
しかし、その甲羅はすごく滑りました。
アロク「わぁ、わぁ、わああぁ~。」
アロクは、甲羅を滑り落ち、オスモロス・タートルの顔の辺りの地面に落ちました。
アロク「ひ、ひいぃ~。」
すぐに、みんなのところまで、退却しました。
アロク「だ、駄目だあ~。」
ゼルベルグ「アロクも、駄目か。」
ぺぺ「どうすれば、取れるんだ。」
アロク「てか、何で“あれ”にこだわっているんだ、俺たち。」
ゼルベルグ「仕方ない。諦め……。」
ぺぺ「諦めないよ。」
ゼルベルグ「え?」
ぺぺ「予言書だよ。」
ゼルベルグ「分かった。」
ぺぺの予言書には、こう記してありました。
「3人目を仲間にしたあと、洞窟に向かうだろう。そこで、伝説の生き物の後ろにある、剣を抜くことになるだろう。」
ぺぺは、覚悟を決め、オスモロス・タートルに向かっていきました。
オスモロス・タートルは、口を大きく開け、息を吐きました。
ぺぺ「お、おえぇ。」
とんでもなく凄い異臭を、放ちました。
ぺぺは、鼻がひんまがりそうなほどの臭いを堪えながら、それでも向かっていきました。
ぺぺは、「そうだ!」と、あることを閃きました。
ぺぺ「火を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」
そう唱えると、ぺぺは自分がいる反対側の壁に向けて、火の玉を放ちました。
壁がガラガラと崩れると、オスモロス・タートルも、そちらに目をやりました。
ぺぺは、「今だ!」と思い、剣に向かって一目散に走り出しました。
しかし、そう簡単には取れません。
「バチーン!」
オスモロス・タートルは、尻尾を使い、ぺぺを弾き飛ばしました。
ぺぺ「うわあ~。」
激しく壁に体を打ちつけました。
ぺぺ「ゴホゴホッ。」
サーラ「ぺぺ!」
アロク「ぺぺ、大丈夫か。」
ぺぺ「あ、ああ、なんとか。」
ぺぺ「ごめんなさい、オスモロス・タートル。」
ぺぺは、そう言うと、もう一度火の呪文を唱え、オスモロス・タートルの頭上の洞窟の壁を狙い、崩しました。
オスモロス・タートルは、奇声を発し、床に崩れ落ちました。
アロク「死んだのか。」
ぺぺ「いいや、気を失ってるだけだ。」
ぺぺは、ようやく剣にまでたどり着きました。
ぺぺ「ついに、たどり着いた。
みんな、剣を抜くぞ。」
そういい、ぺぺは、剣の柄に手をかけました。
そして、ゆっくりと抜き始めました。
ぺぺ「おおおおぉぉ~。」
抜かれたその剣は、錆び付いてはいませんでした。むしろ、抜くことによって輝きを増してるようにも、見えました。
ゼルベルグ「勇士の剣だ。
その剣は、選ばれたものにしか抜けないと、言い伝えられてる。」
アロク「じゃ、じゃあ、ぺぺが勇ましきものなのか。」
ゼルベルグ「そういうことになるな。」
サーラ「凄い!ついにやったね。」
ぺぺ「ああ。」
それから、一行は洞窟の入り口付近まで戻り、一夜を過ごしました。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。