しばらく休み、サーラも回復し、一行は再び旅を始めました。
しかし、もう辺りは薄暗くなってきました。
ぺぺ「どうしよう、今日はまた、野宿にしますか。」
サーラ「えっ?またなの。この前、変な動物に襲われそうになったし、やだな。」
アロク「じゃあ、どうするんだよ。」
ゼルベルグ「見ろ、あそこ。洞窟らしきものがないか?」
ゼルベルグが指差す方へ、一同は目をやった。
ぺぺ「確かに、それらしいね。もっと近くに行かないと、分からないけど。」
アロク「どうする?行くのか。
洞窟で過ごしたとしても、野宿にはかわりないぞ。」
サーラ「分かってるわよ。
とりあえず、行ってみましょ。」
一行は、洞窟らしきものを目指し、歩み始めました。
段々、近づくと、やはりそれは洞窟でした。
しかしそれは、かなり深いようでした。
ゼルベルグ「かなり奥までありそうだな。ついでに、探検でもするか。」
サーラ「さっきの戦いで、疲れてるから、私はいい。」
アロク「じゃあ、一人でいるか。」
アロクは、少しいたずら顔でニヤニヤしながら言いました。
サーラ「まあ、女性を一人で置き去りにしようなんて。意地悪だわ。」
アロク「冗談だよ、冗談。」
ぺぺ「それより、行くの、行かないの?」
サーラ「まあ、少しくらいなら。」
アロク「じゃあ、決まりだな。」
ぺぺは、荷物の入ったリュックからランタンを取り出し、火をともしました。
足下は少しヌルッとしていて、滑りやすくなっていました。50m程進むと、二手に道が分かれてました。
アロク「早速かよ。面倒だなあ。」
ぺぺ「みんな、どうする?」
アロク「面倒だから、とりあえず左に行ってみようぜ。」
と、アロクは、一人で先に進もうとしました。
ぺぺ「灯りは、僕がもってるんだぞ。
全く、勝手なんだから。」
アロク「まあまあ、いいじゃないの。」
そうして、しばらく進みましたが、道は途中でとまりました。
アロク「何だよ、何もないのかよ。」
ぺぺ「で、どうするの。引き返して、もう一つの方に行くの?」
ゼルベルグ「この際だ。行ってみるか。」
一行は来た道を引き返し、もう一つの道を行くことにしました。
アロク「しかし、この洞窟不気味だよな。コウモリ、1匹も飛んでこないよか、生き物がいる気配すらないぜ。」
ぺぺ「たしかに、言われてみればそうだ。
まさか、邪悪なものの仕業?」
ゼルベルグ「かもしれないな。」
アロク「ちょっとだけ、やってみっか。
火の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」
そう唱えると、両手に1つずつ火の玉を持ち、左側の道の方に1つずつ、投げつけました。
「ドゴォ~ン!」
激しい音とともに、壁が崩れましたが、それ以外は何の反応もありません。
アロク「本物の洞窟みたいだぜ。に、しても、あまりにも気味が悪いぜ。」
ぺぺ「うん、でも、右側の道を進んでみよう。」
一行は、右側の道を進みました。
ずっと、ずっと、どのぐらい歩いたのでしょうか。かなり奥まで、来ました。
アロク「お、おい、まだ、奥に着かないのかよ。」
サーラ「私、もうだめ…。」
ぺぺ「2人とも、もう少しだけ、頑張って。それで駄目なら、一度休むから。」
そして、暫くまた歩きました。
すると、ようやくひらけました。が、一行は、驚愕しました。
アロク「な、なんだ、こいつは…。何で、こんなところにいられるんだ。」
ゼルベルグ「こいつは。オスモロス・タートルだ。
伝説の生き物だと聞いていたが、まさか、本当にいたとは。」
アロク「てか、見たこともないのに、何で分かるんだよ。」
ゼルベルグ「あの甲羅を見てみろ。所々、ちょっと赤く見えるだろ。それが、伝説でうたわれているんだ。」
ぺぺ「このまま、静かに引き返そう。」
ゼルベルグ「待て。オスモロス・タートルの後ろ、見てみろ。
何かある。」
サーラ「あ、何か剣みたいに見えるよ。」
ぺぺ「本当だ。
でも、殺すわけには行かないしな。
どうやって取るか。」
ゼルベルグ「そのまま行っても、大丈夫だろう。」
ゼルベルグはそう言うと、7mも8mもあるオスモロス・タートルの側を、すり抜けようとしました。
すると、今まで動かなかったオスモロス・タートルが、動き出しました。
ぺぺ「危ない!ゼルベルグ!」
ゼルベルグは、ハッとしましたが、既に目の前にオスモロス・タートルの足が、迫っていました。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。