翌朝、一行は街をあとにしました。しかし、相変わらず、手がかりのない旅です。
ぺぺ「どうしよう。このままじゃ、早く平和を取り戻せないよ。」
アロク「仕方ないだろ。どこに、邪悪なものを牛耳ってるやつがいるのか、分からないんだから。」
ゼルベルグ「こうやって、邪悪なものを倒しながら、進むしかない。」
サーラ「そうね、城にいるとか、砦にいるとか。どこかに居てたらね。」
ぺぺ「それは、本のなかの話じゃないか。現実見ようよ。」
ゼルベルグ「まあまあ、グダグダ言ってても仕方ない。とりあえず、行くしかない。」
アロク「しかないか。」
そうやって、旅をすること5日が経ちました。
すると、一行の目に映った光景は…。
一行「ああっ!」
みんな、一目散に駆け出しました。
ぺぺ「あぁっ、酷い!なんということだ。」
サーラ「酷すぎるわ…。」
アロク「チクショー!もう少し、早くここに着いていれば。クソッ!」
ゼルベルグ「ん!何かいる!」
既に、焼き払われてしまった村に一行は、怒りに駆られていました。しかし、まだそこに、それを実行した犯人がいるようでした。
?「久しぶりね、サーラ。」
サーラ「あぁ、あなたは、魔女のパラディ。」
パラディ「運よく、まだ生きていたのね。」
サーラ「あ、あなたがやったの。この村をこんなめちゃくちゃに。」
パラディ「だったら、どうなの?」
サーラ「許さない。あなたは、絶対に…。」
そういうと、サーラの髪が逆立ち、翼を力強く広げ、目は赤く光っていました。
パラディ「サ、サーラ、お、おまえ、まさか!」
サーラ「そうよ、勇ましきものから、勇ましい気持ちをもらい、一人前になったのよ。」
パラディ「だったら、尚のこと。おまえをここで、殺す!」
サーラ「みんな、下がってて。ここは、私とパラディの戦いだから。」
2人は間をとると、パラディが先制で攻撃を仕掛けてきた。指先から、無数の火の玉を発射した。
パラディ「死ね、死ね、死ねぇ~!焼け死ねぇ~!」
サーラは、とっさに羽根で、自分の体を包み込みました。
サーラ「く、く、くくぅ~。」
サーラは、何とか耐えました。
パラディ「これなら、どうだ!」
パラディは、両方の掌をサーラに向け、炎をぶつけました。
サーラは、翼を使い、空高く羽ばたきました。
パラディ「逃がすか!」
サーラのあとを、パラディは追いかけました。
サーラ「このまま逃げてても、らちがあかないわ。」
サーラは、背中の羽根を一本抜くと、大きな剣になりました。いえ、サーラの意思で、羽根を剣に変えました。
サーラは、ふと振り向き、パラディに向かっていきました。
サーラ「オオオオォ~。」
パラディに、切りかかっていきました。
パラディは、身を翻(ひるがえ)しかわしていきました。
パラディ「ちっ。」
左腕を少しかすったようです。
パラディ「こしゃくな!」
パラディは、体を大の字に広げると、両方の手首を合わせ、サーラに向かって掌を向けると、掌から閃光がほとばしりました。
サーラ「ま、まずい。」
慌てて、地上へと降り立とうとしました。
パラディ「遅いわ!」
パラディは、サーラを追いかけるように腕を動かし、閃光を発し続けました。
「ドド~ン!」
凄まじい砂埃が舞い上がり、辺りは霧がかかったかのように、見えなくなりました。
砂埃が収まると、そこにはサーラの姿がありません。
パラディ「どこだ、あの馬鹿!」
しかし、すぐにどこにいるのか気付きましたが、もう遅かったのです。
「ドスッ!」
パラディの肩胛骨のあたりから胸に、真っ白な剣が貫きました。
パラディ「い、いつのまに、わたしの…うえ…に……。」
サーラ「あなたが閃光を放ったのは、私が羽根を抜いて作った人形。
さっき、羽根から剣を作ったように、同じような感じで人形を作り出したんだ。」
パラディ「にしても、わたしが……気付か…ないとは。おまえのちからは……わたしを……こえて………いた……の…………か。」
そう言うと、パラディは絶命した。
サーラも、かなり体力を消耗していました。
ぺぺ「サーラ、大丈夫か。」
サーラ「ええ、何とか。少し休ませて…。」
アロク「俺たちが交代で見張っててやるから。」
サーラ「あ、ありがとう。」
そう言うなり、その場に倒れるようにして、横になった。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。