次の日、私は老婆に話しかけることにした。どのようにすればいいか考え、先にベンチに座って待っていることにした。
そして、10時。何時も通りに、老婆がやってきた。が、ベンチに私が座っているのを見た瞬間。
「あ゛○●◇※#。」
言葉にならない言葉で、凄い剣幕で巻くしたてられた。私は、何がなんだか分からなかった。その時、たまたま買い物に行くところを通りがかった、近所のおばさんが私の袖を引っ張り、私を強引に立たせた。
おばさん「駄目よ。あの人に話しかけようとしたら。」
私「えっ?どうしてですか?」
おばさん「いやね、あの人一人になって10年になるんだけどね。私も他の人も声をかけてたんだけど、何の反応もなかったのよ。よっぽど、ショックだったんだと思うよ。それでね、ベンチに座ってるのをみかけて座ろうとしたら、さっきあなたにしたみたいに、突っぱねられたのよ。何でかなと思ったんだけど、あの人の傍らには、まだ亡くなったご主人がいらっしゃるのよ。思い出として。」
おばさん「だけどね、そう思って今度はあの人の左側に座ろうと思ってね、座ろうとしたら。」
私「それでも、突っぱねられたんですか?」
おばさん「そう。そっち側には誰がいるのかは、分からないけどね。戦時中に、誰か亡くなったのかもしれないけどね。」
私「あの人は、いくつぐらいなんですか?」
おばさん「今、86か7じゃなかったかしら?」
私「おばさん。突っぱねられて以来、誰も話しかけてないんですか?」
おばさん「うん、誰もね。昔はね、ちょくちょくは話してたんだけどね。もともとあまり話をしない人だったけどね。じゃ、おばさんもう行くね。」
私「あっ、はい。ありがとうございました。」
この時私は、どうにかしないとあの人は本当に一人ぼっちのまま、死んでいってしまうと思い、どうにかしてあげたいと思うようになっていた。
※この物語は、フィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。