妄想劇場 ~ベンチ①~ | 気まぐれバードのキマグレコ

気まぐれバードのキマグレコ

何でも綴りたいことを綴っています。

※この物語は、3つのストーリーで構成しています。





第1話


高校最後の夏休み。私の周りは、やれ受験だ、最後の部活だ、で、みんな忙しい。私は暇を持て余すと、公園へ行く癖がある。夏休み初日なのに、早速公園へ出掛けた。


公園は、そんなに広くなく、ごくごく平凡な公園だ。ブランコに砂場に滑り台にシーソー。ベンチは1つだけで、3人ほどが座れるくらいだ。


私は一人、ブランコに座りながら、だらしなくブランコを揺らしていた。


時計台に目をやると、10時ちょうどを指していた。


すると、一人の老婆がやってきて、ベンチの真ん中に座った。そして、ずっと空を眺めていた。


「歩き疲れたのかな。」
こころの中で、そう呟きながらも、私には関係ないと思ってた。この時はまだ…。


暫く、どうするのだろうと思い見ていたが、一向に動く気配がない。


「疲れないのかなあ。」
そう思いながら、目が離せなくなり、気が付けば30分が経っていた。


老婆は、ただただずっと、空を眺め続けていた。


それから、何分も何分も経ち、飽きたからそろそろ家へ帰ろうとしたとき…。


時計台の針は、ちょうど11時を指していた。すると、老婆が何事もなかったかのようにスッと立ち、公園をあとにした。


「何しに来たんだろう。」

私は気になったので、明日も公園に来てみることにした。


「あの人は、何時もなんだろうか?」


次の日も、同じ時間に公園に行った。
時計台を見ると、ちょうど10時だった。すると、昨日と同じように、老婆がやってきた。昨日と同じように、空を眺め続けていた。そして、11時になると帰っていった。


次の日は、雨だった。さすがに今日は来てないだろうと思いながらも、一応公園を覗きに行った。


すると、カッパ姿に傘をさした老婆が、ベンチに座り空を見ていた。


「まさか、今日も11時までいるのだろうか。」
そう思いながら、ずっと見ていたら、やはり11時までいて帰っていった。


一週間経ったある日、私は思い切って老婆に、話し掛けてみることにした。





※この物語は、フィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。