「試してみろよ」
そう言うとアイツは黙って頷いた。
手摺によじ登る。
私は黙って見つめた。
アイツの白い息が空に流れる。
生きる資格、そんな物はない。
そんなこともわからないんだ。
「10歩だよ。落ちなければ君はこの世界に必要ってことだよ」
アイツはゆっくり私を見た。
そしてニッコリ笑い、飛んだ。
12/8 「生きる資格」
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駅を降りると人が洪水のように溢れて私を飲み込んでいく。
気付くと今いる世界がわからなくなる。
「すいません」
声のする方におばあさんがいた。
荷物が重くて運べないという。
気の毒に思って私は部屋まで一緒に運んだ。
ガチャリ。
鍵を閉める音。
「どうしたの?」
おばあさんはゆっくりとカツラを脱いだ。
12/9 「おばあさんと狼」
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「おはよ」
いつもの食パン。
チャンネルもやっぱり。
「今日お姉ちゃん出る日?」
お母さんの声が台所からする。
「うん」
私はお箸を取る。
時計を見る。
「お母さん時間だよー」
「待って!」
テレビは待たないよ。
「今日は赤い雪が降るでしょう」
お姉ちゃん何言ってんの?
頭の中に警報みたいな痛みが沸いた。
12/19 「嘘とほんと」
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生き返ってもどうしたらいいのかわからなくて
誰かに乗り移ってみる事にした
聞いた事のない音
見た事のない絵
嗅いだ事のない匂い
舐めた事のない飴
感じた事のない気持ち
ずっとこのままでいたい
そう思った瞬間
何かに引き剥がされた
そしてまたひとり
薄暗い部屋にしゃがみ込む
音はない
12/20 「死後の世界って」
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真っ暗だ。
男は静かに鍵を差し込み回した。
外灯くらいつけておいてくれよ。
それくらい言ってやるつもりだった。
リビングの明かりをつける。
テーブルの上には何もなかった。
ただ一枚の紙を除いて。
「実家へ帰ります」
それだけだ。
「俺は・・どうだ?」
昼間思った言葉が蘇る。
あいつの言葉。
人殺しの。
12/21 「ストーカーのくせに」
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今年はだいぶ水が枯れてしまい書けませんでした。
来年はもう少し書けたらいいな。
皆様にとって来年がよい年になりますように。