「いた」
赤く染まった屋上で彼を見つけた。
「いちゃ悪いかよ」そう言いながら彼は座り込む。
私はあちこち探し回ったというのに。
これじゃバカみたいじゃん。
「安心しろ。もうすぐ消えっから」
彼の足元は既に透明になりかけていた。
「待って!」
私は思わず飛びついた。
そして彼の首にマフラーを巻いた。
12/3 「マフラー巻いて」
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「これさぁ、お前が編んだの?」
彼はちょっと照れた顔で聞いてきた。
「うん」
私の頬も熱を持った。
「ありがとな」
その言葉を残して彼は消えた。
マフラーも。
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ハカセが死んだ日、空は泣いているみたいに大粒の雨を降らせた。
でも私が彼を埋めるまで空は待ってた。
ヘッドフォンを着けて自転車を飛ばしながら雨に負けないくらい大きな音を耳に流す。
目に誰のかわかんない涙が溜まって霞んで前が見難かった。
だから。
「それで俺にぶつかったって?」
「・・・うん」
12/8 「いいわけなんかじゃない」
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「で、ハカセって?」
「うちで飼ってたハムスター」
「・・・」
「ずっと一緒だったんだ」
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橋に来た時更に嫌な感じがした。
ずっと真っ直ぐな歩道。
逃げ場もない。
足を止めて振り返る。
いた。
後ろの男も止まった。
間違いない、私をつけてる。
思い切りダッシュした。
振り返るとヤツも慌てて走ってくる。怖い。でも逃げなきゃ。
ブブー!横の車がクラクションを鳴らした。
「可奈ちゃん!乗って!」
12/11 「誰かついてくる」
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運転していたのは隣の家のおじさんだった。
「早く!」
私はおじさんの顔を一瞬だけ見た。真剣な顔。
後ろのドアを開けて乗り込んだ。
車が走り出し後ろを見ると、もう追ってきていないようだった。
ハァハァ。息が少し切れる。
走ったからじゃない。これは。
「大丈夫かい?」
おじさんがバックミラーを見ながら言った。
「は、はい」そう言って頷くとおじさんはにっこりと笑った。
落ち着いてくると周りの景色が見たことのない景色だとわかった。
「大丈夫」
おじさんはまた笑った。