「用があるって」
見ると男子。
あれは。最近モデルしてるって噂になってる先輩だ。
「なんですか?」
ヤバ、ドキドキする。
「あのさ、君ん家に行っていい?」
「え!?」
「帰り教室で待っててくれる?」
そして私の返事も待たずに歩いていく。
「なに?なに」
いつの間にか皆に囲まれた。
6/8 「突然の」
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「じゃあね」
「バイバイ」クラスメイトが帰っていく。
ほんとに先輩来るのかな?
からかわれただけ?
教室の窓からは大きな木が見える。
風に吹かれて葉がゆさゆさ揺れている。
ドキドキとモヤモヤ。
心もゆさゆさ。
「ごめん、待たせたね」
嘘じゃなかった。
振り返ると憧れの先輩が微笑んでた。
6/10 「なんでかな」
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家には魔女がいる。
昔はなんだってできたそうだ。
「これを集めてちょうだい」
ある日紙を渡された。
ひどい字だ。
「読めないよ」僕が言うとニヤリと笑う。
「難しかったかねぇ」
ヤモリの尻尾や蛙の足とか書いてある。
「これを混ぜて飲めば全部元通りさ」
父さんは婆ちゃんのこと、ボケてるって言っていた。
「どうしたの?」
帰り道携帯が鳴った。
婆ちゃんが倒れて病院に運ばれたって。
僕は走った。
誰もいない家に帰ると引き出しを探した。
婆ちゃんのメモ。ヤモリに蛙に。
あそこならいるかもしれない。
婆ちゃんのいた昔の家のあるところ。
僕はリュックを背負って駅に向かった。
その電車は海の上を走っていた。
キラキラと光が水を反射する。
水しぶきはちっとも上がらない。
水面に浮いてるみたいだ。
「アナウンスないんだね」
僕は横に座る女の子に言った。
彼女は不思議そうに僕を見る。
「アナウンスって?」
「次はどこに停まるの?」
「ぷっ。あははは」
なぜか彼女は笑いだした。
女の子が窓を開けると優しい風が髪をさわっていった。
「いい風ね」
ぴちゃぴちゃと音を立て走る列車。
夕日がその中を金色に染めていく。
駅に停まると影が二人乗ってきた。
僕たちの前に立って黙って見ている。
席はガラガラなのに。
「座ったらどう?」
彼女が影たちに言うと彼らは嬉しそうに頷いて座った。
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6/11-14 「古い魔女」