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季節は冬
俺はこのころは秋あたりから、スノーボードのギアを見に行くことに夢中だった。
特に神田によく行っていた。
思い出したようにあの女と連絡を取ってみることにした
そういえば、久しぶりだった
向こうからも特に連絡はなく、なんとなく疎遠気味になっていた。
すると
「年末年始に別荘行くから一緒に行こうよ」
と誘いを受けた。
しかも今回は車を向こうが出すとのこと。
「行くから」っていうことは誰か一緒ということなのかな?
とか、あまり考えないで
「え?いいの?行こう行こう」
というバカな返事
このころ俺は本当にスノーボードしか考えていなかった。
12月30日早朝
俺のぼろマンションにお迎えが来た
車にはなんと一人の男が乗っていた。
女が運転席
男が助手席
俺が後部座席
という配置で軽井沢へ出発
相変わらず何かを食べながら運転する女
助手席の男を紹介された
なんだか、眼鏡をかけたひょろ長いちんちくりんの男だった
絶対に運動神経悪いタイプ
聞けば、女とちんちくりんはスキーをやるらしい。
この段階では「あ、そうですか」という感じ。
俺は流れる景色を観ながら特に盛り上がるわけでもなく、睡眠を貪った
昼くらいに別荘についた
荷物が沢山ある
「?」
な顔をしていると女が言った
「あ、今日ねお母さんとお父さんと妹の夫婦が来てるの」
え?
そういうこと?
怖っ!!!!
知らないうちに家族の中へ・・・・
ちんちくりんは知っていたのか?
とか色々な感情があったけど、雪山を見てそれどころではなかった
とにかく滑りたかったバカな俺
とにかくもうギンギンだったのだ
この日はバラギ高原にみんないるとのことで、荷物を置いてさっさと合流することに
にしても、少しだけ「夜は3Pなのかな」とか考えた自分を呪った
スキー場で初めて女の家族と対面
ジジイとババアはさておいて
妹夫婦はスノーボードをやっていたので、俺はこの夫婦と一緒に滑った。
とはいえ、まったくもってレベルが違うのでほぼ一人で滑っていた。
でも、スノーボード好きに悪い奴はいないといことでたまに簡単なトリックを教えてあげたりしていた。
ショウコの妹はちょっと可愛かっただけに、なんか悔しかった。
旦那のほうはこれまた、一緒に来たちんちくりんとあまり変わらず。
そんなこんなで夕方まで滑りまくって、買い物をしてから風呂に行くという流れになった。
ジジイが言った
「ホテルグリーンプラザの風呂はタダで入ってもバレないからみんなで行こう」
というなんとも、万引き家族ばりの糞提案をしてきた。
みんなで行こうじゃねぇよ
俺はついこの前までホテルじゃなけど、この会社で働いていたんだよ。
バレるじゃねぇか!
と思ったが、この日の家長の指示に渋々付き合うことにした。
なんだかこの辺から、この家族への不信感というか気持ち悪いものを感じていた。
普通家族だったら金払って温泉行くでしょ。
なんで貧乏学生みたいな風呂泥棒するんだろ?
別荘に帰って夕食
俺はもう酒でも飲んでしまえばいいやと思っていた。
初めて会った家族の中で過ごすのは怖い。
あの笑顔の裏には風呂泥棒を平気でやる家長がいる。
酒のピッチを上げるが、ちっとも酔わない。
ババアが先に寝た。
女とちんちくりんも寝室へと消えていった。
リビングには俺と妹夫婦とジジイ
何故かみんなで「ハリーポッター」を観た。
帰りたくなった。
マジで怖くて不毛な時間。
俺は年末のお笑いとかそういうのが観たかった。
わざわざDVDで「ハリーポッター」をこのタイミングでチョイスしてくるあたりが本当に気持ち悪かった。
明日は滑らなくていい。東京さかえりてぇだ
そんな俺の気持ちを逆なでするかのようにジジイが言った
「明日はみんなで年越しだな」
え?
そいうえば二泊って言っていた気がする。
明日も泊まるのか・・・
嫌だな。うん、絶対に嫌だ
もういいや寝てしまおう。
ということで、寝室に
寝室には、女とちんちくりん、そして俺の三人で一部屋
リビングを挟んでもう一つの部屋にはジジイとババア
その隣には妹夫婦
俺は腹が痛かった。
極度のストレスと酔わない酒
トイレに行ってなるべく音が出ないように小出しにした。
といのは、雪山別荘だけにシーンとしすぎていてちょっとした物音が凄く聞こえるからだ。
トイレから帰って寝ようとしても、直ぐにまた腹が・・・・
2回トイレに行ったが、さすがに下痢がバレると思って、
「眠れないからちょっと外行ってくる」
的な感じで外へ出た。
外は大雪
しんしんと雪が降っていて降り積もっている
明日は絶対いい雪が滑れる!!!
っていう場合じゃない
俺は玄関脇の明かりを頼りに雪をかき分け、中腰で思い切り野糞
野糞
野糞
野糞
ゲーリークーパーだ
涙が出そうになった
こんなみじめなことはない。
トイレから持ってきたペーパーで尻をぬぐうとそのペーパーを雪の中に埋めてやった。
春になったら俺の糞のついたペーパーが出てくるだろう。
ざまぁ見やがれ。
涙を拭きながら布団に入ると今度は
ペチャペチャ ピチョピチョ
やってる。
うん、絶対にやってる
隣がヤッテル
腹が痛い俺を差し置いて
凍える思いでお前らに気を使った俺を差し置いて
楽しんでやがる。
なんだか、好きではないが一度この別荘でワイニーした女と他の男がヤッテル
というだけで、得体の知れぬ感情が・・・
しかも、冷静に考えると、そういうことならば俺は
ジジイババアの夫婦と、妹夫婦と、ショウコカップルの中に入っているただの下痢男なのだ。
恥ずかしさと怒りとで感情は爆発寸前
絶対にもう一泊しかも年越しは無理。
翌朝
「腹が痛いから俺だけ帰るから駅まで送ってくれ」
と申し出た。
女は何故かこの時
「私たちも帰る」
と申し出て、三人で東京へ帰ることになった。
なんだろ、なんでだろ。
女に一部始終心の葛藤を見抜かれた感覚だった。
帰りの車では一言も発さなかった。
ずっとブッチョウ面で後部座席に座っていた。
東京が近くなってからケータイの電話帳を開き「ショウコ」を消した。
その後二度と会うことは無かった。
