さらに1年後
結婚式をした
資金はすべて俺持ち
ふざけた糞親父も来た
娘の花嫁衣裳姿をケータイで撮っていた
当時はあのガラケーってやつ
あれでしか撮っていなかった
さらに酔っぱらって
「てめーぇがなぁ なんかしたらなぁ ぼくとうもっていくからな!」
その場でぶっ〇ろしてやろうかと思うほどムカついた
でもMは幸せそうだから良いと思った
そして新婚生活が始まった
Mは相変わらず仕事が忙しく
金も家にほとんど入れない
何時しかおれは一人暮らししているんじゃないかとさえ思う日があった
そんなある日
ディズニーシーに行った
ディズニーが大好きなMは上機嫌
子供が楽しく遊んでるのを見て
「もし子供が居たら可愛いね」
と言った
勿論おれは子供が大好きだし二人の子供をつくるっていう人生設計だった
でも、Mは違った
ディズニーの夢が覚め、現実に戻ると
「子供は要らない」
ときっぱり言った
家に帰って考えた
いや、考えさせられた
男は無力だ
所詮何もできない
結婚して子供が欲しいと思っても奥さんがその気にならないと
所詮叶わぬ夢なのだ
当時まだまだクソガキだったおれはその現実を受け入れられず
荒れた
ことあるごとに喧嘩が勃発
俺は酒に飲まれる日が続いた
当時はこれといった趣味もなく、人付き合いが少なかった
そのせいかふさぎ込む自分が嫌いで一人で飲みに行くことが多かった
泥酔して家に帰って仕事から帰ってきた妻に絡む
そんな日が続いた
新婚一年目でおれはMとの生活だけが生きがいだった
自分の逃げ場が酒だった
勝手な自分がいた
Mとの生活というか自分の人生設計が少しでも曲がっていくことに耐えられなかった
時に
「じゃあ生活費半分くらい出してみろ!」
とののしった。
Mの仕事もバカにした
「てめぇは何時までも売れないミュージシャンと一緒かよ」
当たり前だが
ある日別れ話が出た
Mはあっさりとしていた
女性はこういう時はもう腹が決まっている
一方おれは慌てふためいた
Mが出ていくことが決まった
出ていくまでが猶予期間だと勝手に思い説得を何度もしたが駄目だった
当たり前だ
ある日嵐の中Mは出ていった
家のポストには鍵と手紙が入っていた
「いままでありがとう」
素っ気ない一言だった
あまりにもあっさりしていて涙すら出なかった
俺も彼女と過ごしたその家を出ていこうと決めた
精神を病み不眠症に悩みながら
単身用の中古マンションを買った
この期間が一番地獄だった
彼女と過ごした家を出ていく前日
どこかの大きなパーティーに参加した
酒を飲んでも酔えなかった
家に帰ってデリヘルをよんだ
そこには優しい疑似彼女がいた
なんだか救われた気がした
おわり
