兄貴と喧嘩をしたのは
何十年ぶりだろう。
世間でいう不良な時期に少しだけ
口をきかなくなった時以来
親らしくない親に文句もいわず
人を憎まず
笑顔を絶さず
誰にも優しく
自分がこの家を守とばかりに
動き続けた兄貴。
静かに起きた朝。
叫び声のような女の罵声が
ここまできこえた
姪っこの叫び声のような
鳴き声が後に続いた。
あー また?
周りの誰かに
聴いてくださいとばかりに
続くどなり声。
ためいきをつきながら
いい加減にと
隣の実家へ足を運んだ。
兄貴も?
兄貴が長男を激しく怒っていた。
ねえ、朝から何?
なんで二人揃ってそんなに
怒ってるの?やめなよ
何にそんなに腹立つの?
そんなに怒ったら
伝わらないでしょ?
目にいっぱい涙をためて
精一杯に兄貴を睨み付けて
抵抗する甥っ子に、また
兄貴の罵声がとぶ。
兄貴に怯えながら
精一杯の反論をぶつけた甥っ子
なんかおかしいよ
そんな事態を
さっきまで大声でキイキイ
叫んでいた母親は
少し落ち着いて
二人の様子を疲れた顔で
眺めていた
ママに嫌われた嫁を
可哀想と思っていた自分は
彼女の冷たく呆れた 無表情な
その姿に、一瞬で気持ちが離れて
しまった。
ねえ、や!め!な!よ!
この子が何をしたの?
子どもだよ?
やめて!
まだまだ続く兄貴の罵声
ちょっと!何なの?
可哀想でしょ!なんでいつも
この子ばっかり怒ってるの?
たいして把握もできないまま
口を出した自分に怒った兄貴は
(なんなんだよ、てめーは横から)
めんどくさそうに言葉をぶつけた
このこはいい子よ!
そんなに怒る必要なんて
全然ないよ!
アイスをあげて 笑顔で
(おばちゃん、有難うっ) て
人懐っこく言う 目の前の彼の
数日前の姿がぐるぐる頭をめぐった
もう!みんななんなの!
なんなのこの家は!
皆がひとのせいにしてばっかり!
皆のイライラはこのこのせいなの?
目の前で起こることは
全部、皆、自分のせいだよ!
ひとしきり 思い付くだけの
言葉をぶつけながら
なぜだか泣けた。
ずっと変わらずいがみ合う
嫁と姑
機嫌をとることを覚えた娘
独りいつも別行動な
居場所のない息子
他人には笑顔で楽しくふるまう嫁
可哀想な嫁に言うべき事も
言えなくなった兄貴
幼少の娘のいる家に
少しも慌てる事なく
ダラダラと仕事を終える嫁
何か事態が起こるとネタと
ばかりに話し出すママ。
日々造り出される負の連鎖
メチャクチャな毎日
家に戻った私の電話がなる
なに?
○○がおばちゃんに
迷惑かけてごめんって。
さっきまで無表情だった彼女は
半泣きな言葉でわざわざ電話
上っ面な世界
誰が苦しくて
誰か 幸せ?
このこが強く。
未来が希望で
あふれますように。
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