2012年7月6日(金)、父の入院4日目の記録になります。
結局夫は12時過ぎに仕事を切り上げ(金曜日はオペ日でも外来日でもなく、担当患者さんの容体も安定していたために可能でした)、二人でランチを食べてから、車で病院へと向かいました。
途中父へのお土産を買ったり、話に盛り上がって降りるべき高速道路の出口を間違えたりしたので(!)、結局病院に到着したのは15時頃。
この時点で、抗がん剤(シスプラチン+CPT-11)を投与してから、42時間ほどが経過。
「さすがに、 シスプラチンの副作用が一番ピークに来ている頃かもね・・・ 」
そう夫と話をしていたが、ひょっとしたらひょっとすると、元気である可能性もなきにしもあらず。
かばんの中には食べ物や飲み物などのお土産を色々詰め込んで、病室へと向かいました。
私の選んだお土産は、例え食欲がなくても口にしやすいだろうと思った桃とメロン。
それに対し夫が選んだお土産とやらは、一見滅茶苦茶な代物ばかりでした。
というのも・・・
一つは、夫の大好物の鯵の丸ごとから揚げ(醤油味とカレー味)。
もう一つは、高カロリーのメロンパン。
それから、ノンアルコールビール∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
これが医者と言う職業人が選ぶお土産なんでしょ-か・・・
唖然とする私に、夫は「 要らないと言われたら、持ち帰ればいいだけのことだよ。 」と平然と言い返されました。
それにしても、脂ギトギトの鯵の丸ごとから揚げは、副作用で吐きけを催している場合には、見たくもない代物としか考えられません。
しかも、カレー味の匂いはとにかくキツくて・・・
これまた副作用で匂いに敏感になっている場合には、近づけるだけでも拷問のような存在だと容易に想像できました。
そして、メロンパンはまだ良いとして、ノンアールコールビールって一体どうなの???
確かに、父は抗がん剤投与前、「ノンアルコールビールでいいから、飲みたい」と言っていたけど。。。
夫は「 麦味のジュースだから、問題ないよ。コーラと一緒。 」と言い放ち、一応、周囲や病院スタッフに配慮して魔法瓶タイプの水筒に移し替えて持って行くことになりました。
病室に到着し、父のベッドを囲むカーテンをゆっくり開けてみると、父は目をつぶって横たわっている状態でした。
やはり、副作用が出てきているのかな・・・
起き上がれないくらいの倦怠感があるのかな・・・
そう不安に思ったものの、私たちの気配に気がついた父が目を開け私の存在を確認すると、反射するように、すくっと身を起こしました。
なので「 お父さん、来たよ~。」と笑顔で挨拶をしたのですが、表情はやや暗めに、父は「おお。」とだけ頷きました。
夫が挨拶をしても、やはりその表情は変わりません。
「 やっぱり、副作用が出てきてるかな。 。心配していたんだよね。」
と聞いても、それには答えない状況でした。
いつも明るい父のテンションが、今日は明らかに暗いのです。
昨日とも全然違う。
それでも、身を起こして話すことは問題ないようで、まずは平日わざわざ仕事を切り上げ来てくれた夫に感謝の言葉を述べ、父はおもむろに入院に至るまでの経緯を話始めました。
その後も自分の体調に全く触れることなく、私たちの転勤先が大分県の別府に決まった話などをしていると、
「 さすがに仕事は辞めなくちゃならないと考えているんだ。 。。」
と、ションボリした様子でつぶやきました。
精神的にかなり落ち込んでいるのことは、間違えない様子。
正直、見ている私も辛いし、返答にも困ってしまいます。。
そこで話題を切り替え、お土産の話を持ち出しながら、体調を探ることに。
「 お父さんにジュースを持ってきたんだけど、飲む? 」
と、ノンアールコールビール入りの水筒を中身を告げずに手渡すと、何の躊躇もなしに、グビッと一口。
そして中味が何か分からず不思議そうな顔をするので、父の耳元で小さく、「 ノンアルコールビールだよ! 」と囁くと、父がかすかにニヤリと笑いました。
・・・どうやら、体調的には大丈夫そう、、、なのかな?・・・
続いて、「 つまみに鯵の丸ごとから揚げがあるんだけど・・・ 」と恐る恐る切りだすと、間髪開けずに「 おお、置いて行ってくれ。 」との返事。
まさかのまさか!!
しかも、カバンから取り出した瞬間に漂ったカレー味の匂いには全く嫌な顔もしなかったものの
「 同室の患者さんに影響があるかも知れないから、カレー味は要らない。 」
と、同室の患者さんを気遣っていました。
ただし、メロンパンを差し出すと、「 甘いものやいいや。 」と断られました。
聞けば、食欲は少し落ちている状態なものの、病院食の3分の2は食べている状態で、
「 何を以って副作用なのかが分からない 」
とのこと。
どうやら、精神的には総東亜落ち込みがあるものの、身体的には副作用は殆ど出ていないらしいのです。
それだけで安心はできないけど。
心配していた副作用がそれほどきつくはないということで、今後も順調に必要な治療を受けることができそうだと、娘心に少し安堵しました。