そう言えば今回のお見舞いで、父の発言に驚いたことがありました。
入院前の治療同意書には" 極めて悪性の腫瘍、進行性 "とはっきり書かれ、リンパや肺への転移もあると知らされていました。
また、病状を知らせてきた電話では、強がりであっても『 死ぬのは怖くない。 』と断言していたため、私はてっきり、父が自分の余命がきわめて短い(半年程度)ことを自覚しているものと思い込んでいたのです。
しかし、会って話してみると、なにやら・・・予想とは様子が違う???
『 仕事にはいつ復帰できるかな?同僚には初期のガンだと言ってあるんだ。 』
『 ひょっとすると3年も持たないかもなぁ、、、 』
と。。。
そんな父の発言を聞いていた家族全員が、思わず顔を見合わせてしまいました。
父の思う極めて悪性のガンというのは、その程度のものなのかな。。。
よくよく考えれば、父からそのような発言が出てくることはおかしい話ではありません。
母や姉、私の女性陣は、ドラマやTVのワイドショー番組などで、末期がん患者と言えば悲惨なイメージを植え付けられています。
けれども父は違って、ドラマやワイドショーには全く無関心。
インターネットで情報を収集するということもあり得ません。
その一方、日経新聞やニュース番組で、がん治療の新薬開発などの情報だけが頭に残っているのか、近年のがん治療は飛躍的に向上していると思っているみたいなのです。
しかも、今のところ自覚症状の程度がまたまだ低いのだから。。。
そんな考えの父に末期がん患者の現実(余命半年~長くても1年程度)を伝えたら、一体どうなってしまうのかな。
仕事が何よりもの生き甲斐で、65歳になった今でも現役で日本中を飛び回りながら仕事をしていた父に、仕事復帰という夢を奪ってしまったら、もぬけの殻になってしまうに違いない。
医師である夫にも電話でそのことを話したら、
『 う~ん。深刻に受け止める人と考えの甘い人では、残された余命の過ごし方(QOL)に大きな差が出るからね。
落ち込んだとしても、厳しい現実を知らせた方が、結果的に本人のためになるもんだよ。 』
と言われました。
それも尤もなことなんだけど・・・
そんな父に対して、家族としてどう接すれば良いのか分かりません。
もちろん、一番身近にいる母も困惑しています。
ただ、これからまさに始まる抗がん剤治療で想像以上の辛さを味わうことで、自分が侵されている病の深刻さを理解していくことになるかも知れません。
今はただ、そういう風に考えるしかなく、流れに任せていくしかないというのが、母と姉と3人で話をした結論になりました。