父からの告白② | 父と家族の末期がん闘病記

父と家族の末期がん闘病記

2012年6月末、当時65歳だった父が突然、末期の食道小細胞がんとの診断を受けました。
現実と向かい合うため、父との日々を忘れないための記録ブログです。


両親と電話で話をしている間は冷静さを保てていたのですが、電話を切った後からジワジワと様々な想いが頭に浮かんできて、声を出して泣かずにはいられなくなりました。



我が家の血筋は知りうる限りで癌を患った親族がおらず、父の父(私の祖父)は数年前に93歳での大往生を遂げており、現在90歳近い祖母もボケもせず元気に暮らしているので、父が癌を患うことなど夢にも思ってもいなかったのです。

まだ66歳の父もまた、90歳くらいまで当たり前のように生きるのだと思い込んでいました。

それに仕事が大好きで、今も尚現役でバリバリ、充実した様子で働いていました。



その父が、まさか進行性の、しかも末期の癌を患うなんて。。。



その日、夫は8月の転勤を前に送別会で帰りが遅くなることもあり、インターネットで食道がんに関する症状や治療法、患った方やその家族の方々のブログなどを読みまわりました。


読めば読むほど、父が診断された食道小細胞がんが如何にに悪性度の高い進行性のがんであるかや、残された時間が少ないということを認識させられましたが、同時に癌は今や死亡原因の3割以上を占めていること、突然死に比べれば余命を意識したQOLの高い余生を過ごせるという考え方もあることが分かりました。

中には「 孤独死や痴ほう症老人が増える中、自分は家族に見守られて癌で死にたい 」という人もいて、そのような考え方もあるとハッとさせられました。




夫は24時近くになってようやく帰宅。

案の定送別会でグダグダの様子で、昨晩は寝不足だったこともあり、話をするのは明日以降が良いかと躊躇しましたが・・・

私が深刻な面持ちだったせいか、夫は「 話は聞くよ 」と言ってくれたので、ダイニングテーブルに向かい合って父の状況について話をしました。



弱いのにお酒の入った夫は目をつぶっていましたが、頭はちゃんと働いている様子。

そして、父の病状については、私の夫としての話し方ではなく、今まで殆ど見たことのなかった医師としての話し方になっていました。


夫は淡々と、


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・ CTを見てみないと確かなことは言えないが、転移が認められているならステージ4で、統計上では余命半年程度だと思う。


・今までの進行の速度によって余命は変わる。


・抗がん剤治療は辛いものだし、個人的に延命効果があるとは思っていない。

 (夫は、自分なら抗がん剤治療はしたくないそう)

 体力も消耗するから、元気なうちに旅行に行ったり、親孝行をした方がいい。


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などを話し、転勤準備もあるので、今週末に二人で父に会いに行くことが決まりました。

そして、8月下旬から夫は研修で2か月半ほど都内で寮生活に入ることもあり、その間私に実家に戻るように勧めてくれ、「家族で 海外旅行に行ってきたら? 」とも言ってくれました。



夫は傍目にもかなり疲れていたので、その後すぐに横たわり、深い眠りの中へ。


こんなにも疲れていたのに、私の気が済むまでちゃんと話を聞き、意見をくれた夫に、じんわり胸が熱くなり、ますます涙が止まらなくなる始末・・・

目覚めることのない夫の横で、私は父のことを考えながら憚らず声をあげて泣き、ほとんど眠れませんでした。