「少しは落ち着いたか?」
拓也はベンチに座っていた隆にコーヒーカップを渡す。
「・・・・」
コーヒーカップを受け取るも隆は何も返せなかった。
ここはシグナルの通路だった。電気は少しだけついており、明るくはなかった。冬の夕方のような暗さがあった。
「俺から1つお礼を言わせてくれ。」
拓也はコーヒーカップを地面に置いて言う。
「俺の姉を愛してくれてありがとう。」
拓也は隆に深くお辞儀をした。
「やめてくれええええええ!」
4時間前、隆と拓也はUBに襲われていた。
そのUBもいつものUBではなく、隆の愛する女であり、そして拓也の姉である風香であったからだ。
彼女はUBを自分の影から呼び出すと無慈悲にも隆と拓也を襲い始めたのだ。
隆はこの事態を飲み込みきれなかったが巨人は彼女の呼び出したUBを容赦なく蹴散らしたのだ。
「殺せ!その女を!そいつは人じゃない!化物なんだ!」
拓也は巨人に風香を殺すように命じた。
「やめてくれ!UBは倒した!これ以上何をしようというんだ!」
隆は巨人を止めるように説得する。
「うるさぁい!」
拓也は隆の頬を思い切り殴り、地に伏せさせる。
「今だ!やれ!巨人!」
ただ呆然と棒立ちしている風香。まるで魂が抜けきったようにも見えた。
「やめろおおおおおおおおお!」
隆がそう叫ぶ中、巨人は風香に拳を振り落とす。
グシャッ!惨たらしい音が森に響いた。
「ああ・・・・ああ・・・・」
隆は目の前に起こった出来事を受け止めきれずにパンクしそうであった。
振り落とされた拳は確かに風香に命中した。が、巨人の拳が地面についた時、彼女は砂になった。
普通なら肉片をまき散らすような事態になるのだが彼女は砂になって消えたのだ。
「一体どういう事なんだ・・・・?」
拓也は何が起こったのか分からずにいた。
「調査班、今すぐきてくれ!この砂を調査するんだ!」
拓也は真っ先に携帯で連絡した。
彼女は砂になって消えることによってこの事件は終結した。あまりにも儚く、あまりにもあっけなかった。