井上道義 N響 ショスタコーヴィッチ 交響曲第13番(240204) | クラシックコンサート日記

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2024年01月11日(木) 14:00- NHKホール 渋谷

□ヨハン・シュトラウスII世/ポルカ「クラップフェンの森で」作品336
□ショスタコーヴィチ/舞台管弦楽のための組曲 第1番 -「行進曲」「リリック・ワルツ」「小さなポルカ」「ワルツ第2番」
□ショスタコーヴィチ/交響曲 第13番 変ロ短調 作品113 「バビ・ヤール」

指揮:井上道義
バス:アレクセイ・ティホミーロフ
合唱;オルフェイ・ドレンガル男声合唱団

NHK交響楽団


NHKホールは遠いしホールの音響が良くない
ので行くのに躊躇してしまうのだが、どうし
ても井上道義指揮のバビヤールを聴きたく
なったのでチケットを購入した。

バビヤールは、はるか50年以上前、親戚の人
からオーマンディ指揮のレコードをもらって
聞いて好きになった曲である。ウクライナで
のナチスによるユダヤ人虐殺を語った詩に基
づいた曲であり、ロシア人によるユダヤ迫害
も告発する内容だったため、当時のソ連でも
演奏が困難であった時期、西側でオーマン
ディが初演し、レコード化された。

ショスタコーヴィッチの曲では一番好きなの
であるが、めったに演奏されず、実演は一回
聴いたきりであった。


数年ぶりにNHKホールに行ったのだが、駅で
反対方向に出てしまい、途中で道を間違えた
ことに気づき、あわてて戻り会場まで40分近
くかかってしまった。最初からgoogleで確認
しながら歩けば良かったのであるが。。。


ばかでかいホールだ。数年前数十年ぶりに来
た時も啞然としたが、こんなところでN響を
聴くのはもったいない。。

今回は、2階正面7列目で聴いた。
会場はほぼ満員。(3Fは分からないが) 2024年
で引退を表明している井上道義がN響定期を
振るのが最後だそうで、聴き納めに来た人が
多いのだろう。


最初は、ヨハン・シュトラウスII世/ポルカ「クラップフェンの森で」


踊るような指揮ぶりは昔から変わっていない
が、昔は音楽がやや作りものめいた感じがし
た時もあったが、最近は音楽が自然になり、
音楽と指揮ぶりが一体になった楽しい演奏だ。

ちょっととぼけたような、テンポを落とした
カッコウと聞こえる笛は面白かった。


二曲目は、ショスタコーヴィチ/舞台管弦楽のための組曲 第1番から。


(TVで聴く限りでは)やや生真面目な感じのす
る演奏が多いN響から、これほど楽しい雰囲
気を感じる演奏を聴けたのは予想外である。
ちょっとしたテンポの揺らぎや、ふっとした
ためがあり、響きが平坦にならず常に膨らみ
を感じる円熟の指揮だ。終曲のワルツは、
哀愁を感じるものだった。

一曲目の最後で少し拍手が起きたが、どうだ
面白かっただろう というような井上道義の
反応も面白い。

演奏終了後は、熱い拍手が起きた。


後半、バビヤールという暗く重たい曲なので、
前半に楽しい曲と演奏をということだろう。

前半を聴いただけでも、来たかいがあったと
思った。このようなユーモアに溢れる指揮
ぶりをもうそろそろ聴けなく(見れなく?)
なると思うと、やはりさびしい。


後半は、いよいよバビヤール。


井上道義 渾身の名演であった。
N響も総力をあげた感があり、大変な熱演で
かつどんなに大音量になっても、音が荒れな
いのは、さすがだ。

バスのアレクセイ・ティホミーロフ、
男性合唱のオルフェイ・ドレンガル男声合唱
団はこの曲にふさわしい豊かでほの暗く、重
量感のある声であった。

いい演奏で聴くバビヤールは、素晴らしく
感動的な曲だ。わざわざ来たかいがあった。

惜しむらくは、サントリーホールで聴けたら、
もっと凄い音で聴けたに違いない。。。


終演後は、かなりの聴衆が残り、井上道義へ
のスタンディングオベーションとなった。


3月には、井上道義指揮新日本フィルで、
マーラー3番を聴く。楽しみだ。