下野竜也 東京都交響楽団 ブルックナー交響曲第1番(240113) | クラシックコンサート日記

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2024年01月13日(土) 14:00- 東京芸術劇場 池袋

□モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
□ブルックナー/交響曲第1番 ハ短調 WAB101(1891年ウィーン稿)


指揮:下野竜也
ピアノ:津田裕也
東京都交響楽団


下野竜也の指揮を聴くのは久しぶりである。
小澤征爾の代役でサイトウキネンを振った
コンサートは、オケのうまさもあって聴きご
たえがあったが、在京オケを振ったコンサー
トやTVでの指揮を聴く限り、音楽が固く生真
面目すぎるような気がしていた。

まず初めに、石川能登半島地震で亡くなられ
た方を追悼するバッハG線上のアリアが演奏
された。丁寧な美しい演奏だった。

プログラムの前半は、モーツァルトピアノ
協奏曲第24番。

2日前にプラハ交響楽団を聴いたばかりで
分かってはいたものの、海外オケとの音の違
いにやはり愕然とした。どちらがいい悪いと
いうものではないが、日本のオケの音は、
透明、端正で生真面目である。下野さんの
指揮によるものもあるとは思うが。

津田裕也のピアノと下野/都響の演奏は真面目
な音楽作りで悪くはないが、モーツァルトの
ピアノ協奏曲はあまり好きではないので、もっ
と個性的で閃きのある演奏が聴きたい。


休憩後は、ブルックナー交響曲第1番。

第一楽章は、都響の演奏なのでいい音で始まっ
たが、表現や音がやや固く、後半は力が入り
過ぎて音が荒くなってしまい、やはり下野さん
は変わっていないかなと感じた。

第二楽章は、少し分かりにくい音楽だ。

第三楽章から、音楽に硬さが取れオケが鳴り
だした。驚くべきは終楽章で、クライマックス
に向けて音楽に熱気が帯び、後半は輝かしく
壮麗な響きが出現した。オケは全奏者全力で
演奏し、オケが鳴りきっていた。

これだけの凄い響きのブルックナーはそう
めったに聴けるものではないだろう。

はっきり言って、11月に聴いたゲバントハウス
のブルックナーよりはるかに聴きごたえが
あった。

都響あっての演奏だったとは思うが、ついに
下野さんもこういう指揮をするようになった
かと、感慨深かった。

まだ音楽に硬さがあり、真面目過ぎるとこ
ろがあるが、もう少し力を抜いた部分が
あり、味わいや風格のようなものが出てくる
と、相当凄い指揮者になるのかもしれない。
音楽に凄味がある。

あまり人気はない曲だが、終演後は大きな
ブラボーがかかり、オケからも盛大な拍手が
贈られた。