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 日本経済は出口の見えない不況のトンネルに突入した。日銀が15日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)をはじめ、設備投資、雇用、資金繰りなどで大幅なマイナスが続出し、日本経済の急降下を浮き彫りにした。米国発の金融危機が実体経済に波及し、世界経済が失速。その影響で日本経済も危機的状況に陥り、景気回復の道筋も見通せない状況だ。

 ≪減産と設備投資抑制≫

 「予想を上回る未曾有の経営環境の悪化が起きた」

 ソニーの原直史業務執行役員は急速な業績悪化に唇をかむ。

 欧米経済の低迷に加え、新興国の景気も減速し、海外需要が想定を超えるスピードで減退。輸出依存度の高い加工業種を中心に業績の大幅悪化を余儀なくされている。需要の急減を受け、減産や設備投資の抑制に踏み切る企業の動きも広がる。

 ソニーは全世界に57拠点ある工場の約1割にあたる最大6カ所を統合・閉鎖する計画。2010年3月期の設備投資も従来計画から約3割カットし、欧州では薄型テレビの生産拠点であるスロバキア工場の増産投資を延期したほか、国内でも熊本工場の携帯電話向け半導体センサーの増産投資を削減する。

 ホンダも「全世界で(設備)能力拡張に関する投資見直しを進めている」(福井威夫社長)。ロシア向けの乗用車「シビック」などを生産するトルコ工場で、来年半ばに年間生産能力を5万台から6万3000台に引き上げる計画を先送りするほか、インドでも年6万台の能力を持つ第2工場の稼働時期を当初の10年から11年以降に延期する。

 トヨタ自動車は08年度の設備投資について、前年度比5%減の1兆4000億円を計画するが、「新規プロジェクトを総点検して精査していく」(木下光男副社長)としており、さらに下方修正する可能性もある。商用車を含めた国内自動車メーカー主要12社の08年度中の減産台数は国内外で計189万台に達する見通し。自動車産業はすそ野が広いだけに、その影響は化学や鉄鋼、電気機械などの業績悪化にも及んでいる。

 ≪雇用調整も加速≫

 業績悪化や減産などで雇用の過剰感も強まり、調整も加速している。ソニーは世界で正社員8000人を含む1万6000人超の人員削減計画を表明。自動車メーカー主要12社も、国内の非正規従業員を計1万4000人規模で削減する見込みだ。

 雇用など先行き不安が広がれば、消費者も財布のひもを一層引き締める。外食を控えて自宅で食事する“内食”が広がり、食品スーパーの業績は比較的堅調だが、「特売の構成比は上昇している」(ライフコーポレーション)と、少しでも安価な食材を求める消費者の志向がうかがえる。一方で総合スーパーは「食料品以外の分野が弱い。値引きやセールをしないと顧客が集まらない」(イトーヨーカ堂)と、より厳しい。

 企業の苦境に追い打ちをかけるのが、資金繰りの悪化だ。金融市場ではリスクを嫌う姿勢が強まり、大企業ですら資金調達のための社債やCP(コマーシャルペーパー)の発行が難しい。8月末に、10年ぶりに総額500億円の社債を発行したNECの財務担当役員は「もう少し遅かったら発行できなかった」としながらも、急速な金融環境の悪化を前に「1000億円にしておけばよかった」と悔やむ。

 日本経済は「企業業績の悪化→リストラ→個人消費の低迷」という悪循環に陥る懸念が強まっており、景気後退が長引く恐れも大きい。
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 世界的な金融不安や景気後退を受けて大企業や公務員のボーナスが前年割れする中で始まった今冬のボーナス商戦がピークを迎えている。節約志向や家庭回帰を反映し、家電量販店ではエアコンや冷蔵庫など白物家電が売り場の主役になっているほか、百貨店ではクリスマスケーキやおせちの予約が好調だ。ただ、期待通りの売り上げにつながっているかは不透明だ。

 ≪衝動買い減る≫

 ボーナスがほぼ出そろった先週末、多くの家電量販店や百貨店、スーパーはにぎわいを見せた。家電量販大手のビックカメラは13、14日の売り上げが前週末より約3割も伸びた。来客数も「前年と比べて14日は雨が降ったため減少したが、13日は増えた感じだ」(広報IR部)。

 とはいえ、消費者の財布のひもは、量販店の期待とは裏腹に緩んでいるわけではない。「衝動買いが減り、店頭で何度も値段交渉をした上で決めている」(同)というように、慎重姿勢が目立つ。

 例年のように薄型テレビが主役といった華やかさもない。代わって白物家電が好調だ。少々価格が高くても毎日の電気代を抑えようという意識から省エネ対応エアコンが人気だったり、外食を減らして自宅で食事をする内食志向の消費者が増えていることを反映して大型冷蔵庫が売れている。消費者の高い生活防衛意識が見え隠れする。

 大手スーパーは、消費者の節約意識を逆手にとる作戦に打って出た。値下げセールによる集客だ。

 イオンは13日、1万1000円分の商品を1万円で購入できるプリペイドカード「がんばろう日本!お買物カード」をジャスコなど全国1000店で50万枚発売した。

 ジャスコ品川シーサイド店(東京都品川区)では、午前9時の発売開始前に200人が行列をつくり、1500枚が即日完売。生活防衛に敏感な消費者から支持された格好だ。同日からは冬物衣料品を最大50%値下げする「緊急冬物値下げ宣言セール」も開始して、消費意欲を刺激している。

 「21日にプリペイドカード販売の第2弾を予定しているほか、さらに値下げ対象商品を充実させる」(広報)とキャンペーン効果に期待する。

                  ◇

 ≪来店は増えたが≫

 一方、厳しさが増しているのが百貨店だ。

 「9月以降厳しい状況が続いていたが、12月は客数がプラスに転じている。先週末も来客は多めだった」というのが三越。高島屋も「12月は週末の来客が前年比プラスで推移している。先週末も前年を4%程度上回る集客があった」という。

 株安に加え、雇用や賃金に対する先行き不安から、衣料品や高額品などの売れ行きは依然として厳しい。一方で、年末年始の旅行を取りやめて自宅で過ごす家庭が増えることを映して、クリスマスケーキ、おせち料理などの予約が健闘している。昨年に比べて多いという来客も、狙いはおせち料理など食品に集中している。

 ボーナスが出そろった後の初週末となった13、14日は、「これまで節約してきただけに、少しは消費が増えるのではないか」(大手百貨店)と期待されていた。従来なら「お歳暮の注文に来る顧客は、ついでにいろいろお求めいただけるケースが多かった」(同)ためだ。

 しかし、今冬は様子が違う。「来客は多いが、衣料品などがついでに売れているという感じはしない」(三越)という。百貨店ではここにきて客数こそ回復基調にあるが、具体的な購買に結びついていない状態が続いている。先週末も、そうした傾向に変化はなかった。

 注文が好調なおせち料理のほかにも、食品などは前年を上回る堅調ぶりだというが、いずれも自宅などで楽しむもの。「おせち料理などは好調だ」(高島屋)というあたりからは、年末年始も外食を控えて自宅で食事をする消費者が多くなることをうかがわせる。

 今冬はボーナスが出ても生活防衛から、勢いで買い物をする消費者は多くない。財布のひもは依然として固いままだ。

 とはいえ、先行きに期待が持てないわけではない。「あと2週間強。来年1月に入ると各百貨店でセールが始まる。生活防衛意識が高まっているときなので、この冬は買い物が控えられている可能性もある」(大手百貨店)という。年末商戦がだめでも年始で挽回できると見ている。(青山博美、佐竹一秀)

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 日銀が16日発表した08年7~9月期の資金循環統計(速報)によると、9月末の家計の金融資産残高は、前年同期比5.2%減の1467兆208億円だった。減少率は統計を開始した79年以来過去最大。残高も05年9月末以来3年ぶりの低い水準だった。9月15日の米大手証券、リーマン・ブラザーズ経営破綻(はたん)で金融危機が深刻化し、株価が急落したことが響いた。

 資産別の内訳は、株式・出資金が同36.1%減の118兆4157億円で減少率は過去最大。投資信託も19.1%減の58兆7692億円。一方、株式などから安全資産に資金を移す動きが加速し、預金は1.1%増と02年10~12月期以来の高い伸び率となった。【斉藤望】

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