めっきり寒くなりましたね。
さて、本日も思い出話。
このところ、思い出話がこのブログの大半を占めているんですが、
まあ仕方がない。
現実世界で面白い事が無いのと…今まで、子どもらのネタが結構多かったんだけど、
彼らがもう大人になっちゃって、あまり接点が無くなったので、
実際、ネタが無いんですよね。
さて、今日のお話も、【奴】がヤキモチを焼く(?)話です。
このところ、私はアオイさんに大変お世話になっている。
競馬の予想を始めとするプライベート面でももちろんなのだが、
仕事面でも協力してもらっている。
というのも…私は現在、とある【金になりそうなどえらいブツ】
(新規化合物の事:世界で最初に発見したとなれば、それなりの価値はある。)
…を、持っているのだが、その構造が分からない。
本来、化合物の構造を測ろうとするならば、高純度のブツが必要なのだが、
これがまた精製が難しくて…。
純度の悪いブツなので、研究所の分析室の手を煩わせるのもかなり申し訳ない。
という訳で、一般研究員でも使用できる測定機器の一つであるNMR
(核磁気共鳴スペクトル:詳細な説明は割愛。)
を、使おうという事になった。
一般研究員でも使えるNMRは90MHzと200MHzがある。当然精度の高い200MHzを使う事に
したのだが、こちらは一般…と言っても、ある程度経験を持った人物でないと
使用許可が下りない。ああ、前置きが長い。
そんなこんなで、アオイさんに測定をお願いしする事になったのだが、
これから先の事を考えると、自分でも測定ができた方が良い…
という訳で!測定方法を伝授してもらう事になったのである。
アオイさんは、
「方法を伝授ですか~?ボクの手が空いた時でいいですか~?」
…と、快く引き受けてくれた。
「いつでも結構です!ワタクシ、今夜は時間無制限ですから!」(いつもじゃん。)
そして、私はその日の仕事が全て終わった後も、自分の実験室でボケっとして
アオイさんを待っていた。
机の上には出番を待っているNMRのサンプルチューブがラックに立ててある。
時刻は夜の8時過ぎ。ノックの音がした。
「はいはい。」
ようやくお迎えが?と、思って振り向くと、山ちゃんだった。
スタスタと奥まで入ってきて、
「…先日はどうも。」
「あ~、どういたしまして。」
ツーベースを打ったお祝いのケーキの事である。一応手作り。
材料を混ぜて焼いただけのチョコレートケーキだけどな!
「でもさぁ。」
「何よ。」
「俺、以前もツーベース打ったと思うけど…。」
「そ~だったかなぁ?エラーがらみのは無しだよ?」
「クリーンヒットだったと思うけどなぁ。」
そうだったか?そういわれてみれば今年の春先に、そんなのがあったような…。でも!
「それって、Mさんがつけたスコア?」
「そう。」
「あの娘は、極力エラーでもヒットにする人だからな~。あれはヒットとエラーでした!」
私がやや強い口調で言うと、奴はムッとした顔をして出て行った。
あちゃ~、怒らせちゃったかなぁ?
それからしばらくして、またノックの音がした。
「…はい。」
「ど~も~、お待たせしました~。」
今度はアオイさんだった。
「いいえ~!こちらが無理やりお願いしたんですから~!」
…低姿勢の私。
測定サンプルを持って、アオイさんの後ろについて実験室を出ると、
何故か山ちゃんがまだ廊下をウロウロしていた。
奴は、我々を見て、
「…何で?」
素直な疑問を口に出した。
「ん~?でぃあさんに、NMRの測り方、教えるんや。」
「……。」
あ、何だか山ちゃんが寂しげな表情。ごめんね~、アオイさんとの付き合いは
君の方が長いのに。でも私は君からアオイさんを奪うつもりは
毛頭ないから安心したまえ。
それから3人は階段を下りて、我々はNMR室、奴は反対方向の自分の実験室に向かった。
そして、奴の捨て台詞。
「アオイさんは、女にもてて、い~な~!」
我々は背中越しにそれを聞きながら、
「…山ちゃんは、何を言ってるんやろな~。ホントに子供なんだから。」
「確かに!小学生男子レベルですね。」
(一旦続く)
仕事がらみの描写は、どの辺まで説明すればいいのか悩むわ…。
でも、一から説明すると長くなるしな~…。
ちなみにこの後、奴はガチ小学生レベルの嫌がらせをしてきます。
乞うご期待!