不定期更新。
読後の行動に対して、一切の責任を負いません。
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読後の行動に対して、一切の責任を負いません。
もうじき最期の時間がやってくる。
いつもどこかで、誰かが最期を口にする。
地軸崩れる音もなく、やってくるのは世界の終わりだろうか。
地軸崩れる音もなく、終わりを向かえたその後に、続きがあることを誰も口にすることはない。
地軸崩れる音もなく、終わりを向かえるものたちは、どれも儚い妄想達に他ならない。
さようなら。あるひとつの観点から捏造された、儚い最期の妄想達。
せめて後腐れることもなく、紙切れの上の妄想になってしまえ。
最期の時を迎えるならば、地軸崩れるその轟音の中で、俺は渚に歩みゆく。
地軸崩れるその瞬間まで、想像することのできる世界があればいいのに。
奇人変人の生ける蝋人形館と化したチェルシーホテルの一室で、誰かが愛することへの恐れと、愛への渇望を遠まわしに口にする。
夜明けを待つ午前四時過ぎの廊下で、いきなり会いに行くと喚き散らす電話を片手に、途方に暮れる才能のないお嬢さん。
43ドルの全財産の上に寝転んで、仕事が2人を引き裂く悲しみに震える恋人達。
エレベーターでは、壊れた人間オルゴールがフルサービスを提供します。
アンティーク調の電話ボックスもあるんだぜ。
そこから明け方五時に、懐かしさいっぱいの長距離電話をかけてあげるよ。
チェルシーホテルの薄い壁が、俺と君とあなたと私を、無残にも分断している。
文学的に、あるいは詩的に、
叙情的に、あるいは大仰に、
誰もが古臭いホテルの匂いのように、染み付いた寂しさを漂わせ、渇ききった魂が愛を求める。
「寂しい」
なんて言わないで欲しい。
身体中の穴にどんなに突っ込んでも、2人は1人になれないのだから。
さあ、これからみんなで、仲良く暮らしていこうじゃないか。
そう言って、会ったこともない君と俺を分断しているこの安ホテルの薄い壁を、ベルリンの壁みたいに破壊しよう。
孤独を嘆く人よ、つまりあんたは、そう言いたいのかい?
「どうして解り合えないのか」
なんて、悲観しないで欲しい。
どんな安ホテルにだって、俺と君を分断する薄っぺらい壁ぐらいはあるもんだ。
備え付けのトイレがしょぼくて、クソするのには不便かもしれないけどね。
お楽しみの時間には、壁が薄過ぎて苦労するっていうのにね。
それでもあんた、ベルリンの壁みたいに、この安ホテルの壁をぶち抜きたいかい?
寂しいのに、愛することは怖いと言う。
文学的に、あるいは詩的に、
叙情的に、あるいは大仰に、
誰もが、ある日共同体意識に目覚めた超大国のように、独りの寂しさに怯えて、萎えきった魂が同化を求める。
「寂しい」
なんて言わないで欲しい。
たとえそれが、戦場をくぐり抜けた果てに辿り着いた、マクドナルドのドライブスルーであったとしても。
「ひとつになりたい」
なんて言わないで欲しい。
頭のジャックにプラグを挿して、君と俺の境界をなくしてしまいたいと言うのかい?
寂しさに怯えて、つまりあんたは、この安ホテルの壁をベルリンみたいにぶち抜きたいのかい?
おやすみ。明け方五時にぐずり続ける、老けた幼い寂しがり屋さん。
言葉は、寂しさをまぎらわすものじゃない。
だからそれが、明け方五時だろうが、さんさんと輝く太陽の下だろうが、寂しいなんて言うは、もうやめにしよう。
15年前、俺がBJと何を食っていたか、あんたは知ってみたいかい。
厚い皮ごと焼いた豚ステーキを、俺とBJはよく食っていたよ。
BJのダチが、脳ミソをぶちまけて死んだキッチンで焼いた、特製の豚ステーキさ。
キッチンのテレビには、いつも無修正の死体がニュース画像で流れていたよ。
CMになれば、この国じゃモザイクがかけられるような手をした男が、
「俺みたいになるんじゃないぜ」
と、ご親切にも笑顔で警告してくれてたぜ。
15年後の今日、俺が誰と何を食ったか、あんたはやっぱり知りたいかい。
残念でもなんでもなく、そいつはちっとも、何一つ教える理由がない。
これを書いてる俺は、つまり今日も生きている。
ということは、俺は今日もメシを食う。
だからどうしたって言うんだよ。
たかがそれだけのことさ。
生きていることは素晴らしい。
だけど、俺が今日何を食ったかなんて知って、いったい何になるんだい。
だからどうしたって言うんだよ。
あんたに伝えたいことは、俺が今日は何を食ったかなんてことじゃない。
伝えたいことがあるんだ。
なのに、口にするのは今日か明日の天気について。
言いたいことがあるんだ。
なのに、声を張りあげるのは、誰もが叫ぶスローガン。
何か話したいんじゃないのかい。
なのに、君は隠す必要もない恋の悩みを打ち明ける。
21世紀の技術水準で飛び交う言葉は、あなたにいったい何を伝えてくれますか?
国境を越えて飛び交う言葉は、いったい何を解り合おうとしているのですか。
この世界を接続したプロトコルは、大切な約束をひとつでも結ぶことができたのでしょうか。
誰もが発言できる自由は、少しずつ確実に奪い去られてきています。
ブッシュの21世紀の戦争は、わずか3機の飛行機で自由を奪うことに成功。
なのに、21世紀の技術水準に支えられた言葉は、なぜこんなにも儚いのでしょうか。
俺が今日、何を食って。
行きもしないレストランの、注文することのないディナーに、いったい何の価値があるんだい。
変わりばえのしないオリンピック公式飲料に、何のプレミアムがあるんだい。
誰か俺に教えて欲しい。
飛び交う言葉に、書きつけられた言葉に、伝えたいことが何もないなんて、そんなことがあるのかい?
21世紀は、昨日見た夕日の美しさを、誰かに伝える必要のない世界ですか。
21世紀の技術水準は、心を持たない鉄くれに過ぎないのですか。
21世紀の言葉と映像は、ワールドワイドのXXウォーカーに過ぎないのですか。
俺はあんたと、話しがしたい。
今日何を食ったかじゃなくて、どこのレストランがうまいとかじゃなく。
今日、明日、あるは昨日の天気についてでもなく。
ただ、君に伝えたいことがあるんだ。
由緒正しきアルゴンキンホテルの6階で、テディーが叫んだことは、否定しようがないほど全面的に正しい。
そうさ、のべつまくなし、誰一人、唯一の例外なく、神様からサダムとブッシュにいたるまで、
総統陛下も、俺も、あんたも、彼氏も彼女も、貴様も、閣下も、将軍様から総理大臣にいたるまで、
くそったれの後方支援か、最前線の兵士であるかどうかに関係なく、全ての人間は等しく平等にクソまみれであることに違いはない。
誰もが、世界は綺麗なものだと褒め称える。
世界遺産はこの国にだってあるし、放射能まみれの街だって夕焼けに暮れる姿は、やっぱりひどく美しい。
誰が保護することを決定するのか知らないが、守られるべき景観は存在するし、xxは排除されるべきと声高に叫ぶ、ご清潔な奴らはそこら中にあふれている。
そうさ、世界はもっと美しくご清潔であるべきだ。
チンポとマンコにモザイクを。生命創造の起源は、直視に耐えられないワイセツな存在です。
思想的に不適切な発言は、公式な記録から綺麗さっぱり皆殺しにするべきだ。
都合の悪いバイキンは、除菌グッズで綺麗さっぱり絶滅収容所のガス室送りにするべきだ。
世界はもっと清潔に、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な理想がやってくる。
俺とあなたと、私と君は、そんなご清潔な世界に生きる資格がありますか?
由緒正しきアルゴンキンホテルの6階で、テディーが声高に宣言したことは、否定しようがないほど全面的に正しい。
俺達はクソまみれ。
であるからして、やっぱりあんたはクソまみれで。
すなわち、俺もクソまみれであることに疑問を差し挟む余地はない。
俺は絶対の自信を持って宣言できる。
「俺は、クソまみれだ」と
演説台の上で、偉大なる指導者が善の枢軸国を名乗るのと全く同じ確信をこめて、俺は高らかに宣言する。
「俺はクソまみれだ」と
そして君に言ってほしい「あんたはクソまみれだ」と
ハイっ。声を揃えて、もう一度。
「俺達はクソまみれだ!」
由緒正しきアルゴンキンホテルで、テディーが言ったことについて、証明をすることはたやすい。
ある時、銃弾に撃ち抜かれる子供をモニターで見つめながら、俺はカレーライスを食っていた。
動かなくなった子供にすがりつく父親が、次の銃弾に倒れる瞬間になっても、俺はカレーライスを食っていた。
解剖台の上で切り裂かれたあのコは、愛する人にすら見せたことのない臓器を俺の前にさらさなければならなかった。
すまないと思いながらも、次から次へとペッタンコなお腹から出てくる臓器から、俺は目をそらしたりはしなかった。
今、この瞬間にも、誰かが生命を断ち、あるいは断たれる。
その時、俺は何をしているのか。君は何をしているだろう。
今、この瞬間にも、誰かが大切なものを破壊し、あるは破壊され続けている。
その時、俺は何をしているのか。君は何をしているだろう。
今この瞬間に、大切な膣に望まない男性器を挿入されている女の子が、世界中に何人いるのですか?
だからと言って、俺も君もあなたも私も、明日に何かをするわけじゃない。
何か行動を起こすわけじゃない。
誰かが攻めてくると脅かされれば、今にでも引き金を引きたいのに。
俺も、君も、あなたも私も、何か行動を起こすわけじゃない。
モニターを覗く必要もなく、俺はクソを詰め込んだ肉袋なだけでなく、本当にクソまみれだ。
クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。
クソにまみれたクソを詰め込んだ肉袋。
世界はもっと清潔に、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な理想がやってくる。
だからせめて、由緒正しきアルゴンキンホテルの6階でテディーがわめき散らしたように、
俺達はクソまみれであるという現実を、せめて今、受け入れよう。
明日、何をするわけじゃないとしても、せめて今、正視するに耐えない現実を認識しよう。
ご清潔で、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な妄想からさめるために。
現実はこの上なく美しく、そしておぞましい。
世界のハラワタを、血まみれの手で掴みあげて見せてあげよう。
だから、醜いと蔑んで、目を閉じないでやって欲しい。
モニターを覗けば、そこにはいつも誰かがいる。
決意を固めた瞳で、あるいは得体のしれない希望に輝いた瞳で、
会ったこともないどこかの誰かが、モニターの中から俺を見つめる。
総統陛下は、いつもどこか虚ろな瞳でここではないどこかを見つめる。
ブッシュはいつも、凶器の瞳で真っ直ぐに視聴者を見つめる。
ムーアはいつも、茶目っ気たっぷりに死んだ魚の目をしてる。
M字開脚でアソコを見せるあのコは、ひどく綺麗な瞳をしてる。
モニターを覗けば、そこにはいつも誰かがいる。
憎しみに燃える瞳で、あるいは胡散臭い歓喜に潤む瞳で、
会ったこともないどこかの誰かが、モニターの中から誰かを蔑む。
「君は何の目的もなく、義務を果たすことのない、怠惰で無価値な人間だ」
明確な目的を掲げた、目的にまい進する、どストイックなミスター・スポーツマンシップ。
スカトロ黄金メダルをブラブラさせて、あんたはどこのクソ山の大将になったんだい?
クソだめに世界新記録で突っ込むために、ストイックに励みやがれ。
もっと早く、もっと速く、誰よりも早く、誰よりも速く
ハイテク技術の助けをかりて、世界最高のクソだめに向かって突っ走れ。
そうさ、俺はあんたが世界新記録でクソだめに突っ込む姿にしか興味がない。
全力をあげてクソだめに向かって疾走する、どストイックなミスター・スポーツマンシップ。
レンズの中を覗いてみなよ。
クソまみれのあんたを、誰かがゲラゲラ笑っているぜ。
四年に一度、誰もがお旗をぶんぶん振って、早くクソだめに突っ込みやがれと騒ぎ立てる。
もっと早く、もっと速く、どこの国よりも早く、どこの国よりも速く
もっと多く、もっと多く、どこの国よりも多く、どこの国よりも華々しく
早くクソだめに突っ込みやがれと騒ぎ立てる。
スカトロ黄金メダルをぶらぶらさせて、感動を与えておくれよと喚きたてる。
スカトロ黄金クソだめの真ん中で、おんなじお旗を振っておくれよと懇願する。
レンズの中を覗いてみろよ。
誰かがあんたの大事な大事なクソだめに、タダ乗りしようとしているぜ。
「ここは死人が歩く街だ」
暑い南の国で誰かが言った。
あの時、死ぬはずだった者。あの時、死んだことになった者。
死んだものとして扱われている人間が、てくてくと歩いている街。
63年前に死んだ将軍様の軍資金が、まだどこかに眠っていると信じられている街。
政府も、国籍も、人種も、将来の展望も、死人は関係のない話さ。
だから、ここでは何があったっておかしくない。
たまには気分をかえて、100年先のことを考えてみないか。
100という数字が持つ特別な意味に、どこかでだれもが気がついている。
子供の頃、大金と言えば100万のことじゃなかったかい。
それはともかく、100年後には俺もあんたも、確実に生きていないことだけは確かだ。
世界中を見回してみなよ。
まだ生まれてこない奴を除いて、視界に入る全ての人が、100年後にはいないんだぜ。
俺も、あんたも、BJも、政治家も、国家元首も、将軍様も、総統陛下も、もちろん三丁目のタマにいたるまで。
100年後には、もうここに存在していないんだぜ。
おやすみ。今日を生きる人々よ。
俺もあんたも、死ぬことを決定された、ただの歩く死人に過ぎない。
夜景に瞬く、あのひとつひとつの光の下にいる誰かも、誰一人例外なく死ぬことがすでに決定している。
シーザーも死んだし、レオニダスも死んだ。
アインシュタインも死んだし、ヴォネガットも死んだ。
ブッシュも死ぬし、ムーアもいずれビーフ100%のハンバーガーに殺されるだろう。
暑い南の国のどこかかどうかに関係なく、世界は死人が歩く街さ。
たまには気分をかえて、100年先のことを考えてみないか。
俺も、あんたも、BJも死ぬ。
きっと誰も生きちゃいない。
天国はないかもしれないけれど、地獄はありそうな気がしないか。
神様はいないけれど、悪魔はどこにだっているじゃないか。
たまには気分をかえて、この豊かな国のことを考えみないか。
まだ生まれてない奴を除いて、いまここにいる全ての人が、100年後にはいないんだぜ。
100年後のことなんて知ったことか。
そうさ、冷たい土のしたの死者には、もう関係のないことさ。
だから、何をしたっておかしくない。
サヨナラ。冷たい土のしたに埋められる前に、本当に死んじまった人々よ。
歩く死人は、あんたを置き去りにして歩いていくよ。
歩く死人はてくてくと目的地に向かう。
歩く死人は、どこにだっていける。
ゾンビを止められるのは、銃弾しかないんだぜ。
モニターを覗いて見ろよ。ここは死人が歩く街。
埋められる前に死んじまった奴らが、あんたにその手をのばしているぜ。