デーモン・ボム

デーモン・ボム

モニターを覗いてみろよ。



ほら、悪魔がうじゃうじゃいるぜ

不定期更新。

読後の行動に対して、一切の責任を負いません。


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突っ込まれたプラグを引き抜き、結線されたケーブルをぶった切れ。割り振られたアドレスをかなぐり捨てて、決め付けられたプロトコルを拒絶しろ。
共通バスの仕様を否定して、シリアルとパラレル通信の境界線を飛び越えるんだ。


ゴテゴテとインストールされたオマケソフトどもを消去して、性病予防のウィルスソフトを解除せよ。エクスプローラーにサヨナラを告げて、ウィキペディアの慈悲に背を向けろ。
ファイヤーウォールの向こう側を、君はみたことがあるかい。


顔も知らない、あなたと私を結びつける共通規格の技術と認識。
その詳細もロクに知らない約束で結線された、個と個の接続が生み出す無形の構造体。
どこにも実体として存在せず、あなたと私と、僕と君や彼と彼女の意識に染み込む、並列化された意図的な意識と妄想。

このワールドワイドな接続にようこそ。
君と私は、同じネットに結線された、あるひとつの構成要素だ。

ワールドワイドのウェブを生み出すプロトコルが、いったい何を結びつけたのだろう。
個と個を結びつけることで、巨大なひとつの集合体を形成する約束が、あなたと私にどんな相互理解と思いやりをもたらしたのか。
世界のどこかで起きるいつもの悲劇に、巨大なひとつの集合体は、どんな偽善で答えることができるのだろうか。

僕とあなたを、私と彼を、彼女や君と俺も。
いつの間にか結線し尽くした何かが、どこかでゲラゲラと笑って言う。
「多数の接続を有したネットワークにおいて、ある一個の欠損は留意するに足らない保証可能な現象である」と

胸の中のモニターを覗いてみろよ。
いつの間にかジャックにプラグを突っ込まれて結線されちまった魂が、流れ込む同期信号に従属してるぜ。

プロトコルと規格への準拠を拒絶し、誤り訂正符号さえ持たないノイズ波形を非同期通信にのせて、この冷たい結線空間に垂れ流そう。
このノイズが誰かのメモリに、もしかしたらあり得ないビットを立たせることをたくらんで。




誰にでも過去が存在する。
だがそれは確実に存在している今現在ではなく、記憶であり遺物として残されたに過ぎない、不確かで確証のないあやふやでうさんくさいもの。
あなたの人格を形成しているのは、過去にあったとされる記憶。
俺を形成しているのは、かつてBJと過ごした日々の記憶。
彼を形成しているのは、戦場での消えることのない記憶。
だけど科学は、人間の記憶が嘘にまみれたあやふやなものであることをすでに実証している。

この世に生まれた瞬間を、俺はもう覚えていない。
記憶の世界をさかのぼれば、どこかの地点から何もかもがなくなり、それより以前には俺が存在しない時間があることに気がつく。
俺の中の最初の記憶。それ以前に確かに俺は存在していたのに、それ以前の記憶はない。
そのひんやりとした恐怖を、俺は自分を認識する意識に突きつける。

俺は何からできているのか?
あなたは何からできているのか?
この両手でつかめる小さな頭部の中に、俺をゲラゲラとあざ笑う空白どもが口を開ける。

俺を形作る記憶。
それはこの手でつかむこともできず、その存在を証明することもできはしない。
空想と現実の区別がつかなくなると喧伝する前に、記憶が架空と等価であることに、モニターは言及するべきだ。

もう現在ではなくなってしまった過去。
それを脳は、架空のものとして確保する。
過ぎ去った現実を、現実としてとどめることは、243世紀の技術を持ってしても不可能だろう。

あんたの両手で頭をつかんで、頭の中身を覗いてみろよ。
俺を変えた出来事。俺を変えた言葉。俺を変えた風景。俺を変えた音楽。
君を変えた出来事。君を変えた言葉。君を変えた風景。君を変えた音楽。
このまだあたたかい肉に覆われているドクロの中につまった、意識を構成する現実ではなくなってしまった確証のない不確かなものたち。

空想と現実の間に立ちはだかる、誰かにひかれた境界線にサヨウナラ。
頭の中を覗いてみろよ。
まだあたたかい肉に覆われるドクロの中で、存在しないはずの何かが、ゲラゲラあんたを笑っているぜ。


俺のブラック・ダリアは銃で撃たれて死んだ。
頭蓋骨を貫通した一発の銃弾に、簡単に脳幹を打ち抜かれて。
生きていれば君は今頃、俺と同い年になっていたのに。

射殺されるということ。
それは酷く悲しく、残酷なことだと思う。
何度か銃弾で死にかけたこともあるし、俺やBJが撃ったものがどうなってしまったのか、この目で見てきたからってのもある。
俺のブラック・ダリア、そしてBJのキッチンで脳ミソをぶちまけて死んだ友達。
俺達がたむろっていた路上で、明け方に射殺された見知らぬ誰か。
この日本で、朝鮮半島で、ベトナムで、イラクで、アフガンで、
たくさんの命が、数多くの銃弾によって奪われてきた。

誰かが言う
「銃がなければ、こんなことは起きなかった」
誰かが言う
「銃を所持することは、憲法で保障された権利だ」

銃がなかったら、世界は平和になるのだろうか。
銃がなかったら、引き金をひかないのだろうか。
銃がなかったら、誰も死なないのだろうか。

もしも、銃がなかったら。
それは、なんだか凄くいいことみたいだ。

14才だったころ、銃は身近な存在だった。
ショットガンを構えた男の前で札を数え、BJのベッドの下にしまった銃器に安心して眠った。
野原で薬莢を拾ったり、NATO弾のネックレスを作ったりした。
山間で撃った銃声が、幾度となくこだまするあの音の寂しさが好きだ。
やや右方向下に照準がずれた、BJのガバメントが懐かしい。
聖なる夜に、ナイフはダメでリボルバーはOKな神父さんにまた会いたい。
自分の銃が暴発して死ぬのなら、それはそれでしょうがないと思っていた。

ここはくそったれ後方支援の平和な国だ。
もう長いこと銃に触っていない。
日曜の夜に、分解したバレルを掃除する必要もない。
だけど、銃はモニターの中に溢れている。

なぜ人は銃を必要とするのか?
この後方支援の国でさえ、銃を合法的に所持する国家権力がある。

「銃がなければ、こんなことは起きなかった」
本当にそうだろうか
銃じゃなくたって人は殺せる。
「銃を所持することは、憲法で保障された権利だ」
本当にそうだろうか
だったらなぜ、アホでマヌケな正義の戦争のたびに、ホワイトハウスを蜂の巣にしてやらなかったんだ?

銃を撃つのは、誰ですか?
銃口を人に向けるのは、誰ですか?
銃で撃ってしまいたいのは、誰ですか?

銃を撃つ技術を持つ俺は、極悪人ですか?
銃を撃ったことがある時点で、同罪ですか?

初めて銃を撃った後、ベッドの中で酷い気分になったことを覚えています。
空き缶と木を撃っただけだったのに。

もしもこの世に正義があるのなら、正義のためなら引き金を引いていいのですか。
どうして正義は、ためらいなく撃つのでしょうか。
その銃撃は罪悪ではなく、名誉と栄光なのでしょうか。
銃を向け合う二人は、どうしてこんなにも似ているのでしょうか。

振りかざされる正義の旗なんてもうたくさん。
世界から、正義が廃絶されてしまえばいいのに。
何もかもが腐ってる。酷い臭いが溢れているぜ。
臭くてまともに息もできやしない。こんな時こそ、自分の口臭をいの一番に気にして、無表情に口を閉じよう。

世界中に蔓延する正義に殺された腐乱死体が路上に溢れ、欺瞞に満ちた言葉がモニターの前の心を腐食する。
濁流となった汚水のように、統制を済まされた大量の情報が意図的に防壁を決壊させ、人の声は汚泥に飲まれる。
いつも世界は腐っている。どんな時代も腐っている。
どこもかしこも腐っている。誰も彼も腐っている。
もちろん、君とあなたや、私とぼくと、彼や彼女、あるいは総理や、名も知れぬ被害者までもが、誰一人の例外なく腐っている。
そう、腐っている。
腐っている。腐っている。腐っている。
芸術も文学も音楽も政治も教育も腐っている。
生命も夢も希望も明日も昨日も気分までもが腐っている。
そう、何もかもが腐っている。
誰もが最初に気付くことさ。

「頭の上に爆弾が落ちれば、一個人の意識などまったくの無価値だ」
と豪語するバカ丸出し男が、冷静沈着な見解を口にする。
「詞の中で腐っていると書く若者に問いたい。君達はいったいどれだけキレイなのかと」
売春女子高生でメシを食ってたアンタに、そんなこと言われたら、誰だって困るよな。
その発言が無意味であることを証明する為に、アンタの思い上がったおつむの上に爆弾を。
理論は、実践することが重要だ。

世界が腐っていることに気付くこと。
本当の始まりはそこから。
目にうつるもの全て、まともなものなんかありはしない。
君が立っているその場所が、折り重なった腐乱死体の上であることを知ること。
溢れかえる言葉が、全て嘘であることを知ること。
音楽を形作るビートが、ある種の統制であることを知ること。
美しさを定義するルールが、無情な規則であることを知ること。
醜くなることにさえ、冷酷なルールの支配が及んでいることを知ること。
心を統制する何かが、この胸の中で笑いながら操り糸を手繰っていることを知ること。
全てが、薄皮一枚の化けの皮を被った、恐怖に満ちたルールに縛られていることを知ること。
そう、世界はキレイなものなんかじゃない。


この腐敗した空気の中で、腐乱した死体の上で、腐食した社会構造に挟まれて、不完全な人間として存在する俺。
何一つ、完全なものなんてありはしない。
何一つ、正義なんてありはしない。
だって、世界は破綻しているんだぜ。
神は論理的に破綻し、社会は構造的に崩壊している。
なのに、個人には完璧な国民であることを要求するのかい。
完璧な労働力であることを期待するのかい。
無尽蔵の欲望に駆られた、消費者であることを熱望するのかい。
もうたくさんだ。
あんたのおつむの上にも、爆弾が降ってきたらいいのに。

さあ、この汚物の坩堝で、不完全な人間であることの喜びを叫ぼう。
腐った世界で刻一刻、一秒ごとに腐り行く、この暖かい肉体を感じよう。
どこの記録にも残らない言葉が、心に刻まれることを願おう。
溢れかえる汚水の濁流となった情報の中で、君の心だけは侵略されないでいて欲しい。
もし、君と私と、あなたと彼の、あるいは俺とあなたの境界線までもが、腐敗し犯されているというのなら、もう君のために泣くこともできやしない。

叫ぼう、嘔吐するほどの喜びを!!
この腐りきった世界で、不完全な人間として生きているこの瞬間を。
全ては腐敗し、完全な人間は、誰一人として存在しない。モニターの中に捏造された、ド偉い・ミスタープレジデントを除いて。
叫ぼう、放尿するほどの喜びを!!!
心を侵略する全ての汚物を便器に突っ込んで、笑いながらションベンをかけてやろう。
そして全てを、クソみたいに流しちまおう。
サヨナラ。腐った俺の腐ったクソ塊ども。
お願いだから、詰まるのだけはカンベンしてやって欲しい。



もうじき最期の時間がやってくる。

いつもどこかで、誰かが最期を口にする。


地軸崩れる音もなく、やってくるのは世界の終わりだろうか。

地軸崩れる音もなく、終わりを向かえたその後に、続きがあることを誰も口にすることはない。

地軸崩れる音もなく、終わりを向かえるものたちは、どれも儚い妄想達に他ならない。


さようなら。あるひとつの観点から捏造された、儚い最期の妄想達。

せめて後腐れることもなく、紙切れの上の妄想になってしまえ。


最期の時を迎えるならば、地軸崩れるその轟音の中で、俺は渚に歩みゆく。

地軸崩れるその瞬間まで、想像することのできる世界があればいいのに。



奇人変人の生ける蝋人形館と化したチェルシーホテルの一室で、誰かが愛することへの恐れと、愛への渇望を遠まわしに口にする。
夜明けを待つ午前四時過ぎの廊下で、いきなり会いに行くと喚き散らす電話を片手に、途方に暮れる才能のないお嬢さん。
43ドルの全財産の上に寝転んで、仕事が2人を引き裂く悲しみに震える恋人達。
エレベーターでは、壊れた人間オルゴールがフルサービスを提供します。
アンティーク調の電話ボックスもあるんだぜ。
そこから明け方五時に、懐かしさいっぱいの長距離電話をかけてあげるよ。


チェルシーホテルの薄い壁が、俺と君とあなたと私を、無残にも分断している。
文学的に、あるいは詩的に、
叙情的に、あるいは大仰に、
誰もが古臭いホテルの匂いのように、染み付いた寂しさを漂わせ、渇ききった魂が愛を求める。


「寂しい」
なんて言わないで欲しい。
身体中の穴にどんなに突っ込んでも、2人は1人になれないのだから。


さあ、これからみんなで、仲良く暮らしていこうじゃないか。
そう言って、会ったこともない君と俺を分断しているこの安ホテルの薄い壁を、ベルリンの壁みたいに破壊しよう。
孤独を嘆く人よ、つまりあんたは、そう言いたいのかい?


「どうして解り合えないのか」
なんて、悲観しないで欲しい。
どんな安ホテルにだって、俺と君を分断する薄っぺらい壁ぐらいはあるもんだ。
備え付けのトイレがしょぼくて、クソするのには不便かもしれないけどね。
お楽しみの時間には、壁が薄過ぎて苦労するっていうのにね。
それでもあんた、ベルリンの壁みたいに、この安ホテルの壁をぶち抜きたいかい?


寂しいのに、愛することは怖いと言う。
文学的に、あるいは詩的に、
叙情的に、あるいは大仰に、
誰もが、ある日共同体意識に目覚めた超大国のように、独りの寂しさに怯えて、萎えきった魂が同化を求める。


「寂しい」
なんて言わないで欲しい。
たとえそれが、戦場をくぐり抜けた果てに辿り着いた、マクドナルドのドライブスルーであったとしても。


「ひとつになりたい」
なんて言わないで欲しい。
頭のジャックにプラグを挿して、君と俺の境界をなくしてしまいたいと言うのかい?


寂しさに怯えて、つまりあんたは、この安ホテルの壁をベルリンみたいにぶち抜きたいのかい?
おやすみ。明け方五時にぐずり続ける、老けた幼い寂しがり屋さん。
言葉は、寂しさをまぎらわすものじゃない。
だからそれが、明け方五時だろうが、さんさんと輝く太陽の下だろうが、寂しいなんて言うは、もうやめにしよう。




15年前、俺がBJと何を食っていたか、あんたは知ってみたいかい。
厚い皮ごと焼いた豚ステーキを、俺とBJはよく食っていたよ。
BJのダチが、脳ミソをぶちまけて死んだキッチンで焼いた、特製の豚ステーキさ。
キッチンのテレビには、いつも無修正の死体がニュース画像で流れていたよ。
CMになれば、この国じゃモザイクがかけられるような手をした男が、
「俺みたいになるんじゃないぜ」
と、ご親切にも笑顔で警告してくれてたぜ。


15年後の今日、俺が誰と何を食ったか、あんたはやっぱり知りたいかい。
残念でもなんでもなく、そいつはちっとも、何一つ教える理由がない。
これを書いてる俺は、つまり今日も生きている。
ということは、俺は今日もメシを食う。
だからどうしたって言うんだよ。
たかがそれだけのことさ。


生きていることは素晴らしい。
だけど、俺が今日何を食ったかなんて知って、いったい何になるんだい。
だからどうしたって言うんだよ。
あんたに伝えたいことは、俺が今日は何を食ったかなんてことじゃない。


伝えたいことがあるんだ。
なのに、口にするのは今日か明日の天気について。
言いたいことがあるんだ。
なのに、声を張りあげるのは、誰もが叫ぶスローガン。
何か話したいんじゃないのかい。
なのに、君は隠す必要もない恋の悩みを打ち明ける。


21世紀の技術水準で飛び交う言葉は、あなたにいったい何を伝えてくれますか?
国境を越えて飛び交う言葉は、いったい何を解り合おうとしているのですか。
この世界を接続したプロトコルは、大切な約束をひとつでも結ぶことができたのでしょうか。
誰もが発言できる自由は、少しずつ確実に奪い去られてきています。
ブッシュの21世紀の戦争は、わずか3機の飛行機で自由を奪うことに成功。
なのに、21世紀の技術水準に支えられた言葉は、なぜこんなにも儚いのでしょうか。


俺が今日、何を食って。
行きもしないレストランの、注文することのないディナーに、いったい何の価値があるんだい。
変わりばえのしないオリンピック公式飲料に、何のプレミアムがあるんだい。


誰か俺に教えて欲しい。
飛び交う言葉に、書きつけられた言葉に、伝えたいことが何もないなんて、そんなことがあるのかい?


21世紀は、昨日見た夕日の美しさを、誰かに伝える必要のない世界ですか。
21世紀の技術水準は、心を持たない鉄くれに過ぎないのですか。
21世紀の言葉と映像は、ワールドワイドのXXウォーカーに過ぎないのですか。


俺はあんたと、話しがしたい。
今日何を食ったかじゃなくて、どこのレストランがうまいとかじゃなく。
今日、明日、あるは昨日の天気についてでもなく。
ただ、君に伝えたいことがあるんだ。


由緒正しきアルゴンキンホテルの6階で、テディーが叫んだことは、否定しようがないほど全面的に正しい。
そうさ、のべつまくなし、誰一人、唯一の例外なく、神様からサダムとブッシュにいたるまで、
総統陛下も、俺も、あんたも、彼氏も彼女も、貴様も、閣下も、将軍様から総理大臣にいたるまで、
くそったれの後方支援か、最前線の兵士であるかどうかに関係なく、全ての人間は等しく平等にクソまみれであることに違いはない。


誰もが、世界は綺麗なものだと褒め称える。
世界遺産はこの国にだってあるし、放射能まみれの街だって夕焼けに暮れる姿は、やっぱりひどく美しい。
誰が保護することを決定するのか知らないが、守られるべき景観は存在するし、xxは排除されるべきと声高に叫ぶ、ご清潔な奴らはそこら中にあふれている。


そうさ、世界はもっと美しくご清潔であるべきだ。
チンポとマンコにモザイクを。生命創造の起源は、直視に耐えられないワイセツな存在です。
思想的に不適切な発言は、公式な記録から綺麗さっぱり皆殺しにするべきだ。
都合の悪いバイキンは、除菌グッズで綺麗さっぱり絶滅収容所のガス室送りにするべきだ。


世界はもっと清潔に、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な理想がやってくる。
俺とあなたと、私と君は、そんなご清潔な世界に生きる資格がありますか?


由緒正しきアルゴンキンホテルの6階で、テディーが声高に宣言したことは、否定しようがないほど全面的に正しい。
俺達はクソまみれ。
であるからして、やっぱりあんたはクソまみれで。
すなわち、俺もクソまみれであることに疑問を差し挟む余地はない。
俺は絶対の自信を持って宣言できる。
「俺は、クソまみれだ」と
演説台の上で、偉大なる指導者が善の枢軸国を名乗るのと全く同じ確信をこめて、俺は高らかに宣言する。
「俺はクソまみれだ」と
そして君に言ってほしい「あんたはクソまみれだ」と
ハイっ。声を揃えて、もう一度。
「俺達はクソまみれだ!」


由緒正しきアルゴンキンホテルで、テディーが言ったことについて、証明をすることはたやすい。


ある時、銃弾に撃ち抜かれる子供をモニターで見つめながら、俺はカレーライスを食っていた。
動かなくなった子供にすがりつく父親が、次の銃弾に倒れる瞬間になっても、俺はカレーライスを食っていた。


解剖台の上で切り裂かれたあのコは、愛する人にすら見せたことのない臓器を俺の前にさらさなければならなかった。
すまないと思いながらも、次から次へとペッタンコなお腹から出てくる臓器から、俺は目をそらしたりはしなかった。


今、この瞬間にも、誰かが生命を断ち、あるいは断たれる。
その時、俺は何をしているのか。君は何をしているだろう。
今、この瞬間にも、誰かが大切なものを破壊し、あるは破壊され続けている。
その時、俺は何をしているのか。君は何をしているだろう。

今この瞬間に、大切な膣に望まない男性器を挿入されている女の子が、世界中に何人いるのですか?
だからと言って、俺も君もあなたも私も、明日に何かをするわけじゃない。
何か行動を起こすわけじゃない。
誰かが攻めてくると脅かされれば、今にでも引き金を引きたいのに。
俺も、君も、あなたも私も、何か行動を起こすわけじゃない。


モニターを覗く必要もなく、俺はクソを詰め込んだ肉袋なだけでなく、本当にクソまみれだ。
クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。
クソにまみれたクソを詰め込んだ肉袋。


世界はもっと清潔に、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な理想がやってくる。
だからせめて、由緒正しきアルゴンキンホテルの6階でテディーがわめき散らしたように、
俺達はクソまみれであるという現実を、せめて今、受け入れよう。
明日、何をするわけじゃないとしても、せめて今、正視するに耐えない現実を認識しよう。

ご清潔で、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な妄想からさめるために。


現実はこの上なく美しく、そしておぞましい。

世界のハラワタを、血まみれの手で掴みあげて見せてあげよう。

だから、醜いと蔑んで、目を閉じないでやって欲しい。



モニターを覗けば、そこにはいつも誰かがいる。
決意を固めた瞳で、あるいは得体のしれない希望に輝いた瞳で、
会ったこともないどこかの誰かが、モニターの中から俺を見つめる。


総統陛下は、いつもどこか虚ろな瞳でここではないどこかを見つめる。
ブッシュはいつも、凶器の瞳で真っ直ぐに視聴者を見つめる。
ムーアはいつも、茶目っ気たっぷりに死んだ魚の目をしてる。
M字開脚でアソコを見せるあのコは、ひどく綺麗な瞳をしてる。


モニターを覗けば、そこにはいつも誰かがいる。
憎しみに燃える瞳で、あるいは胡散臭い歓喜に潤む瞳で、
会ったこともないどこかの誰かが、モニターの中から誰かを蔑む。


「君は何の目的もなく、義務を果たすことのない、怠惰で無価値な人間だ」
明確な目的を掲げた、目的にまい進する、どストイックなミスター・スポーツマンシップ。
スカトロ黄金メダルをブラブラさせて、あんたはどこのクソ山の大将になったんだい?


クソだめに世界新記録で突っ込むために、ストイックに励みやがれ。
もっと早く、もっと速く、誰よりも早く、誰よりも速く
ハイテク技術の助けをかりて、世界最高のクソだめに向かって突っ走れ。
そうさ、俺はあんたが世界新記録でクソだめに突っ込む姿にしか興味がない。
全力をあげてクソだめに向かって疾走する、どストイックなミスター・スポーツマンシップ。
レンズの中を覗いてみなよ。
クソまみれのあんたを、誰かがゲラゲラ笑っているぜ。


四年に一度、誰もがお旗をぶんぶん振って、早くクソだめに突っ込みやがれと騒ぎ立てる。
もっと早く、もっと速く、どこの国よりも早く、どこの国よりも速く
もっと多く、もっと多く、どこの国よりも多く、どこの国よりも華々しく
早くクソだめに突っ込みやがれと騒ぎ立てる。
スカトロ黄金メダルをぶらぶらさせて、感動を与えておくれよと喚きたてる。
スカトロ黄金クソだめの真ん中で、おんなじお旗を振っておくれよと懇願する。


レンズの中を覗いてみろよ。
誰かがあんたの大事な大事なクソだめに、タダ乗りしようとしているぜ。

「ここは死人が歩く街だ」
暑い南の国で誰かが言った。
あの時、死ぬはずだった者。あの時、死んだことになった者。
死んだものとして扱われている人間が、てくてくと歩いている街。
63年前に死んだ将軍様の軍資金が、まだどこかに眠っていると信じられている街。
政府も、国籍も、人種も、将来の展望も、死人は関係のない話さ。
だから、ここでは何があったっておかしくない。


たまには気分をかえて、100年先のことを考えてみないか。
100という数字が持つ特別な意味に、どこかでだれもが気がついている。
子供の頃、大金と言えば100万のことじゃなかったかい。
それはともかく、100年後には俺もあんたも、確実に生きていないことだけは確かだ。


世界中を見回してみなよ。
まだ生まれてこない奴を除いて、視界に入る全ての人が、100年後にはいないんだぜ。
俺も、あんたも、BJも、政治家も、国家元首も、将軍様も、総統陛下も、もちろん三丁目のタマにいたるまで。
100年後には、もうここに存在していないんだぜ。


おやすみ。今日を生きる人々よ。
俺もあんたも、死ぬことを決定された、ただの歩く死人に過ぎない。


夜景に瞬く、あのひとつひとつの光の下にいる誰かも、誰一人例外なく死ぬことがすでに決定している。
シーザーも死んだし、レオニダスも死んだ。
アインシュタインも死んだし、ヴォネガットも死んだ。
ブッシュも死ぬし、ムーアもいずれビーフ100%のハンバーガーに殺されるだろう。
暑い南の国のどこかかどうかに関係なく、世界は死人が歩く街さ。


たまには気分をかえて、100年先のことを考えてみないか。
俺も、あんたも、BJも死ぬ。
きっと誰も生きちゃいない。
天国はないかもしれないけれど、地獄はありそうな気がしないか。
神様はいないけれど、悪魔はどこにだっているじゃないか。


たまには気分をかえて、この豊かな国のことを考えみないか。
まだ生まれてない奴を除いて、いまここにいる全ての人が、100年後にはいないんだぜ。
100年後のことなんて知ったことか。
そうさ、冷たい土のしたの死者には、もう関係のないことさ。
だから、何をしたっておかしくない。


サヨナラ。冷たい土のしたに埋められる前に、本当に死んじまった人々よ。
歩く死人は、あんたを置き去りにして歩いていくよ。


歩く死人はてくてくと目的地に向かう。
歩く死人は、どこにだっていける。
ゾンビを止められるのは、銃弾しかないんだぜ。


モニターを覗いて見ろよ。ここは死人が歩く街。
埋められる前に死んじまった奴らが、あんたにその手をのばしているぜ。