由緒正しきアルゴンキンホテルの6階で、テディーが叫んだことは、否定しようがないほど全面的に正しい。
そうさ、のべつまくなし、誰一人、唯一の例外なく、神様からサダムとブッシュにいたるまで、
総統陛下も、俺も、あんたも、彼氏も彼女も、貴様も、閣下も、将軍様から総理大臣にいたるまで、
くそったれの後方支援か、最前線の兵士であるかどうかに関係なく、全ての人間は等しく平等にクソまみれであることに違いはない。
誰もが、世界は綺麗なものだと褒め称える。
世界遺産はこの国にだってあるし、放射能まみれの街だって夕焼けに暮れる姿は、やっぱりひどく美しい。
誰が保護することを決定するのか知らないが、守られるべき景観は存在するし、xxは排除されるべきと声高に叫ぶ、ご清潔な奴らはそこら中にあふれている。
そうさ、世界はもっと美しくご清潔であるべきだ。
チンポとマンコにモザイクを。生命創造の起源は、直視に耐えられないワイセツな存在です。
思想的に不適切な発言は、公式な記録から綺麗さっぱり皆殺しにするべきだ。
都合の悪いバイキンは、除菌グッズで綺麗さっぱり絶滅収容所のガス室送りにするべきだ。
世界はもっと清潔に、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な理想がやってくる。
俺とあなたと、私と君は、そんなご清潔な世界に生きる資格がありますか?
由緒正しきアルゴンキンホテルの6階で、テディーが声高に宣言したことは、否定しようがないほど全面的に正しい。
俺達はクソまみれ。
であるからして、やっぱりあんたはクソまみれで。
すなわち、俺もクソまみれであることに疑問を差し挟む余地はない。
俺は絶対の自信を持って宣言できる。
「俺は、クソまみれだ」と
演説台の上で、偉大なる指導者が善の枢軸国を名乗るのと全く同じ確信をこめて、俺は高らかに宣言する。
「俺はクソまみれだ」と
そして君に言ってほしい「あんたはクソまみれだ」と
ハイっ。声を揃えて、もう一度。
「俺達はクソまみれだ!」
由緒正しきアルゴンキンホテルで、テディーが言ったことについて、証明をすることはたやすい。
ある時、銃弾に撃ち抜かれる子供をモニターで見つめながら、俺はカレーライスを食っていた。
動かなくなった子供にすがりつく父親が、次の銃弾に倒れる瞬間になっても、俺はカレーライスを食っていた。
解剖台の上で切り裂かれたあのコは、愛する人にすら見せたことのない臓器を俺の前にさらさなければならなかった。
すまないと思いながらも、次から次へとペッタンコなお腹から出てくる臓器から、俺は目をそらしたりはしなかった。
今、この瞬間にも、誰かが生命を断ち、あるいは断たれる。
その時、俺は何をしているのか。君は何をしているだろう。
今、この瞬間にも、誰かが大切なものを破壊し、あるは破壊され続けている。
その時、俺は何をしているのか。君は何をしているだろう。
今この瞬間に、大切な膣に望まない男性器を挿入されている女の子が、世界中に何人いるのですか?
だからと言って、俺も君もあなたも私も、明日に何かをするわけじゃない。
何か行動を起こすわけじゃない。
誰かが攻めてくると脅かされれば、今にでも引き金を引きたいのに。
俺も、君も、あなたも私も、何か行動を起こすわけじゃない。
モニターを覗く必要もなく、俺はクソを詰め込んだ肉袋なだけでなく、本当にクソまみれだ。
クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。クソまみれ。
クソにまみれたクソを詰め込んだ肉袋。
世界はもっと清潔に、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な理想がやってくる。
だからせめて、由緒正しきアルゴンキンホテルの6階でテディーがわめき散らしたように、
俺達はクソまみれであるという現実を、せめて今、受け入れよう。
明日、何をするわけじゃないとしても、せめて今、正視するに耐えない現実を認識しよう。
ご清潔で、規格に正義を統制された、秩序と呼ばれる綺麗な妄想からさめるために。
現実はこの上なく美しく、そしておぞましい。
世界のハラワタを、血まみれの手で掴みあげて見せてあげよう。
だから、醜いと蔑んで、目を閉じないでやって欲しい。