一体何から書き出せばよいのか、正直言って悩む。
久慈から「北三陸の新たな民謡」を生み出しているバンド・ブンドウズのドラマー・阿部氏が急逝した。
ブンドウズから、同バンドにとって重要なライヴの模様をYouTubeにて配信する旨が発表された。
どういう事を意味するのかは分かっていた。
だけれど、あくまで一つの地元のバンドのギグとして向き合う事にした。
配信開始は22時。敢えて家にはいなかった。
フジロックだったろうか、プレミア再生前のカウントダウンが少し懐かしかった。
東京メトロに揺られながら、カウントは終わり、ライヴの配信が始まった。
何年も前からグルーヴを体得していたかのようなブンドウさんのベース、
カッティングからサイケデリックなギターソロまで振り幅の大きいギター、
MPCからピアニカまでこなすマルチプレイヤー、
そして、Euler's Identity時代から比べようもないほど進化したタイトなドラム。
各メンバーが歌えることもあり、味の濃さと鮮やかさは申し分ない。
音色的にも多彩で、最低限の照明と音響だけでステージは華やぐ。
ライヴ自体はあっという間に終わってしまった。
チャットで同窓会が発生していたが、20分もなかったはずだ。
画面が暗転し、メンバーのクレジットが表示された。
そしてチャットにはブンドウズから初めて、阿部氏が亡くなったことが発表された。
https://www.youtube.com/watch?v=XQhuYOmq0OI
沈黙ほど喪失を雄弁に語るものはない。
まさに今、ブンドウズは沈黙の季節を迎えていると思う。
12月にはショウジガミ氏がフェイバリットに挙げている
「光風&Green Massive」との対バンが控えている。
今後のアナウンスを、静かに待ちたい。
最後に、阿部氏へ。
上京してすぐ、Euler's Identityからライヴ出演の依頼を頂いた際、
東京でトラブルに巻き込まれてしまい、断らざるを得なかった。
もしあの時すべてを振り切って岩手に向かえたなら、
あなたのドラミングが観れていたと思うと、悔しくて仕方がない。
上京前に久慈駅の地下道でショウジガミ氏と当時のEuler'sで集まり、
弾き語りを披露し合ったあの夜を、大切に覚えていこうと思います。
どうか、あっちでもドラムを叩いていてください。
あなたが岩手出身のミュージシャンに遺したものは、
とてつもなく大きく、掛け替えのない作品と思い出です。