そして、84年に、DJによるヒット曲のディスコ〜クラブ・ヴァージョンを供給していたDJサーヴィス専科〈Disconet〉からリリースされた12インチ・シングル「Volume 6 Program 7」と 「Volume 6 Program 11」、「Volume 7 Program 9」に収録された。また同年に、彼ら自身が12インチ・シングル「Mastermixes」を500枚自費プレス。プロモとして配布したり知り合いのレコード・ショップで販売した。
翌85年、彼らは新たに「Lesson 3 (History Of Hip Hop Mix)」を制作した。そして、この3作品を収録した「Lesson1,2&3」を〈Tommy Boy〉がプロモーション盤としてリリースした(ブートレッグ専科〈RPM〉、〈New York Mix Records〉他からもブートレッグがリリースされた)。
それは事件だった。それまで街角でしか手に入らなかったディスコ〜クラブDJによるブートレッグなマスターミックスやメガミックス作品がプロモ盤とはいえ公式にレコード・レーベルからリリースされたからだ。つまり、いわゆるメインストリームな音楽業界の人間達にそういった手法があるということをこの作品は知らしめたのだ。
しかし、当時のアメリカでは大きな反響は得られなかったという(〈The Village Voice(86年)〉の記事では、ポスト・モダニズムという言葉で批評されていた)。むしろ、英国のほうが高評価で〈Tommy Boy〉に数万枚単位でオーダーがあったそうだ(プロモ盤なのに?!)。
その反響の大きさに〈Tommy Boy〉側も正式リリースのために動いた。しかし、使用されたオリジナル楽曲の数が膨大なため、権利のクリアランスを取得することができず、この作品が正式にリリースされることはなかった。権利の許諾を取っていくなかで、音源の権利元であるメジャー・レーベル〈RCA〉やメジャーTV局〈CBS〉に検閲されたが、幸い大きなトラブルには発展しなかった。
そんなことをよそに、このレコードは、プロモ盤にも関わらず世界中のレコード店で販売され数多くのリスナーの元に届くこととなった。そのレコードは、公式なプロモ盤(ランアウトグルーヴと呼ばれる曲終わりの余白の部分に、マスタリング会社である〈Frankford Wayne〉の名前が刻んである)からブートレッグ盤まで様々。世代を超えたリスナーが欲しがった。それは「昔はおおらかな時代でよかった〜」という話ではなく00年代初頭まで現在進行形だった。
続く,,,
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