The Extended

The Extended

2013年にリリースされた80's 12インチ・シングル・ディスク・ガイド「The extended」。そのブログ版。以前は洋楽中心でしたが今回は邦楽を中心に、各アーティストの初12インチ・シングルを紹介していきます。何卒、よろしくお願い致します。

 

 

 
 

 

阿川泰子/L.A. NIGHT('21)

A:L.A. Night (Previously Unreleased Extended Version)

B1:But Beautiful

B2:New York Afternoon


84年リリース、阿川泰子9枚目のアルバム『Gravy』収録。86年に英国のレーベル〈Bluebird〉から12インチシングル・リリースされ人気に。それをうけて87年に国内でもリリースされた。

 

米国のジャズ・ファンク・バンド、サイド・エフェクトのオージー・ジョンソンとブラック・コンテンポラリー界の歌姫、ミキ・ハワードのペンによる都会的なクロスオーヴァー・ディスコ ・チューン。90年代に、英国のジャイルス・ピーターソンらDJ達に発掘されレアグルーヴ〜クラブ・ジャズ・シーンで人気を博し、国内でも同様にDJプレイされクラブ・クラシックスとなった。

 

人気盤ゆえに何度も再発されている。しかし、それらに収録されたのはオリジナルLPのフェイド・インで始まるヴァージョンだった(7インチ・シングルとしてMUROがリエディットしたヴァージョンは違う)。2016年に、オリジナル・マルチ・データより発掘したイントロにドラム・ブレイクがついた未発表のエクステンデッド・ヴァージョンが再発された。

 

そして、2021年に再々発、楽曲をスキップすることが当たり前のこのご時世に、長くてしつこいエクステンデッド・ヴァージョンを再リリースするとは制作サイドの愛情とガッツを感じずにはいられない。しかも12インチ・シングル。長年、エクステンデッド・ヴァージョンや12インチ・シングルというメディアを押してきたひとりとしてとても嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

竹内まりや/ Plastic Love('21)

 

 

PLASTIC LOVE(Extended club mix)

PLASTIC LOVE(Original Verson)

 

1984年発売アルバム『VARIETY』の収録曲で翌年に後発シングルとしてリリースされた。

 

「PLASTIC LOVE(Extended club mix)」の副題について説明したい。Extendedとは?文字通り拡張を意味する。原曲をエディット&カットアップ、ブレイクを長めにしたり歌声やSEを組み替えたりするギミックを盛り込み尺を引き伸ばす。

 

Club Mixとは、DJがクラブでプレイすることを想定し、クラブの音響で効果的に楽曲を鳴らすために低音を強調するなど新たにミックスし直すこと。簡単に言えばDJがクラブでプレイすることを目的とした新しいヴァージョンだ。

 

その背景には、80年代初頭からアメリカを中心に世界各国でディスコ・フィーヴァーがあった。それがポップ・ミュージックにも多大なる影響を与えた。DJがディスコやFMのDJミックスショーでプレイすることで楽曲の売り上げがアップしたのだ。そんなDJたちは原曲に手を加えて(=Extened Version)プレイしていた。それをローリング・ストーンズやマイケル・ジャクソン、マドンナなど様々なビッグネームのアーティストたちが取り入れ公式に12インチ・シングルという新しいメディアでリリースし始めたのがきっかけ。これによってディスコやDJといったダンス・ミュージック文化が大衆化された。ざっくりとした説明ですみません。

 

それを知っていた山下達郎がエディット&カットアップでExtened Versionに果敢に挑戦したのがこのヴァージョン。少数のDJたちがアンダーグラウンドで同様の作品をひっそりとリリースしていた時代に、芸能界でヒットを飛ばすようなトップ・アーティストがわざわざ原曲に手を入れた変わった12インチ・シングルをリリースするなんて?!そう、このレコードは時代の先を行く作品だった。

 

当時、このレコードは限定盤としてリリースされた。その後、プレス枚数の少なさからプレミア化し数万円の値段で取引されていた。そのレア盤がシティー・ポップ・ブームにのり再発されたかっこうだ。B面は(New re-mix)からアルバムに収録されている(Original Verson)に差し替えられている。

 

まさか、2021年に12インチ・シングルが再発リリースされ1万枚近い売り上げを記録するとは誰が思っただろう?!竹内まりやというアーティスト・パワーと楽曲の魅力、そしてなにより当時から先見性の高かった山下達郎の存在無くしてこの奇跡みたいな事象は起きなかったと断言したい。偉そうにすみません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回の追記です。

 

Rebecca Motor Drive / Raspberry Dream('86)

 

85年にレベッカは、バンド初の12インチ・シングルをリリースした。続いて、86年に12インチ・シングルをリリースした。それがこの「Motor Drive / Raspberry Dream」。

 

 

前作とは違いリミックスにフランシス・ケヴォーキアンとロン・サンジェルマンという当時から現在までニューヨークを、いや世界を代表するDJ/リミキサーを起用した。こういうリミックスを喜ぶのはDJしかいない。本格的にディスコ〜クラブ・マーケットを狙ったのは間違いない。ギター・サウンドが印象的なロック・バンドだったレベッカに、フランシス・ケヴォーキアンとの相性はバッチリ。彼お得のギターにエフェクトをかけ艶度を増しエコーで飛ばすトリッピーなサウンド・エフェクトが炸裂!まるでニューウェイヴ!ニューヨーク・アンダーグラウンド・レーベル〈Sleeping Bag〉の諸作品を彷彿とさせてくれる「RASPBERRY DREAM - DUB MIX」がおすすめ。

 

その後もレベッカはリミックス集をリリース。12インチ・シングル・ヴァージョンとオリジナル楽曲を組み合わせたアルバム『オリーブ』や12インチ・シングル・ヴァージョンを集めたミニ・アルバムをリリースしている。

 

余談だが、この曲が収録された大ヒット・アルバム『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow』をニューヨーク・レコーディングした際に出会った世界的レコーディング・エンジニア、ゴー・ホトダ氏はのちにNOKKOと結婚した。