令和でもレッスン1,2&3 その① | The Extended

The Extended

2013年にリリースされた80's 12インチ・シングル・ディスク・ガイド「The extended」。そのブログ版。以前は洋楽中心でしたが今回は邦楽を中心に、各アーティストの初12インチ・シングルを紹介していきます。何卒、よろしくお願い致します。

 

 

 

 

83年秋に、ニューヨークのエレクトロ/ヒップホップ専科〈Tommy Boy〉が、当時売り出し中のグローブ&ウィズ・キッズPlay That Beat Mr,Dj」の楽曲を素材にしたマスターミックス・コンテストを企画した。

 

 

 

タイトルは「G.L.O.B.E.&WHIZ KID'S 'PLAY THAT BEAT MR.D.J.'DOWN BY LOW SWITCH THE LICK MASTERMIX CONTEST

 

いわゆるプロモーションの一環として、当時流行していたDJによるマスターミックスを一般から公募しようというもの。優勝賞金は$100。優勝者の作品は、プロモーション用12インチ・シングルにしてラジオ局やクラブDJに配布されることになっていた。審査員は、アーサー・ベイカーアフリカ・バムバータージェリービーングローブシェップ・ペティボーン他。当時音楽界の最先端をいくそうそうたるメンバーが集結した。

 

最終選考に選ばれた10人の作品はおおよそ当時流行のダンス・ミュージック使ったDJミックスをベースとしたものだった。その中で、ひとつだけ明らかに他とは違うミックスがあった。

 

タイトルは「The Payoff Mix (Mastermix Of G.L.O.B.E. & Whiz kid's "Play That Beat, Mr. D.J."」(通称「Lesson 1」)

 

それは、ビーチ・ボーイズカルチャー・クラブハービー・ハンコックなどのポップスから当時最先端だったラップはもちろん、古いソウルやファンクからロックンロールまで、より幅広いジャンルの楽曲を使っていただけでなく、NASAの音声など様々な素材が盛り込まれていた。審査会場でこのミックスがプレイし終わったとき、審査員達から大きな拍手が沸き起こった。もう優勝は決まったようなものだった。

 

 

 

 

優勝したのは、ダブル・ディー&スタインスキー。前者は、当時27歳でレコード会社のラジオ広告を制作するスタジオ勤務。後者は、32歳で広告代理店で働いていた。もともと音楽好きでジャンルを問わずレコードを収集していた。特にラップ〜ダンス・ミュージック好きで、ニューヨークの様々なクラブで遊んでいた。そこで見聞きしたラップ・ショーやDJプレイに着想を得てこのマスターミックスを制作したという(本人達は言及していないが、FMステーションのマスターミックス・ショーや街角で公然とリリースされていたブートレッグのメガミックス作品「Big Apple Production」や「Bits and Pieces」他にも間違いなく影響されているはず)。

 

 

優勝後、The Payoff Mixは約束通りラジオ局でオンエアされた。それから2週間後にスタインスキーはフィラデルフィアのレコード店で、ラジオからエア・チェックしたカセット・テープが$25で販売されているのを発見。本人はとても嬉しかったそうだ。

 

その後、彼らはすぐさま新しいミックスを制作した。それはジェームス・ブラウンの音源をエディット&ミックスしたもので、「Lesson Two〜James Brown Mix」と名付けられた。スタインスキーによれば、この作品はアフリカ・バムバーターらによるメガミックス・クラシック「Fusion Beats」へのオマージュだったそうだ(正確には〈Bozo Meko〉の「 Fusion Beats Vol.2」だろう)。

 

 

 

 

 

 

続く,,,

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