演目順序は前後しますが。
夜の部は最前列、口上では玉さま真正面でございまして。
「八代目さんの菊之助時代は女形をつとめることが多く、よく一緒にお稽古をいたしまして⋯」
と玉さま。
先述した二人道成寺や天守物語などなど、共演も多かったけれど、
うんうん、そうだったね、
音羽屋の芸や型を大切に基礎にしつつも、事あるごとに「玉三郎のお兄さんに教えていただき」と仰っていた。
菊之助時代(特に24〜6年前とかそのくらい)は、周囲の同世代方の中に於いて、
何故か菊さんだけ妙に酷評されることが多々あり。
劇場で観劇していても、ダメ出し、批判が聞こえたり。
時々、中には殆ど言いがかりみたいなものもあったりして、意味がわからなかった。
菊さんご自身も女形をつとめる上で、いろいろ葛藤があったと、過去、どこかのインタビューでお話されていたが、
照合すると、恐らくその頃のこともあったと思う。
(立役も少なくはなかったけれど)
私自身は、まあ、元々テレビも殆ど見ず、メディア情報に対しても基本懐疑主義でしたので、
言いたいやつには言わせておけスタンスではありましたが。
その頃、ミュージカル界隈で知り合った方とお話していて、「全ジャンルの役者さんの中で、naocoさんのナンバーワンは誰?」と尋ねられ、菊さんを挙げ、「もし、世界中の人からあんなの役者じゃない!と言われたとしても、私一人になっても菊さんのファンでいます!」
と痛々しく答えたことがありましたが、
当時そんな環境下だったから、余計にそう決意表明(←?)していました。
そのくらい、菊さんを褒める声を、聞いたことがなかった頃だった⋯。
そんな世間からの風当たりの強さを感じつつ、
その中でも玉さまがお稽古つけてくださったり、共演呼んでくださったりしていたこと、
七代目と共に復活狂言に取り組まれたり、新作に挑戦されたり。
彼是諸々や、観てきたそれらのお役たちが走馬灯の様に脳内を瞬時に駆け巡り、
気付けば半泣き状態になってしまっていた。
口上出演皆さま、それぞれ楽しかったり笑わせてくれたり、深みのある口上をお話くださるのですが、
そんな訳で、特に玉さまの口上は刺さって仕方がなく。
まさか口上で泣きそうになるとは思わなかった。
観劇でもコンサートでも、
基本、劇場、会場で涙するような事はないのですが。
私なりにそれなりに、一生懸命観ていたのだな、と、
今更ながら気付きました。


