22,23sep2013
@歌舞伎座
近頃のフライヤーは、
玉さま以外でも積極的に撮り下ろしです(愉)。

斬新な音楽、照明も綺麗で、
歌舞伎の外連も醍醐味も満載の新作『陰陽師』。
筋は丁寧過ぎる程に解り易く、
微SFということで特効多用など、
今回多かったであろう初心者客にも楽しい作品であったと思う。
歌舞伎の、
如何に新しい事を取り入れようとも
「本軸は絶対にブレない」
という、
「芸」と共に継承されている「意識」が、
舞台の上で常に息吹き燃え上がっている様に、
私は心惹かれている。
特に観劇回数の多い菊五郎劇団の復活狂言を観る度にも圧倒される部分なのですが、
何事も、
「基礎」「伝統」をしっかり踏襲してきているからこそ、
新しい事にも挑んでゆけるのだよね。
◆
『陰陽師』、
大団円まできたところでの正直な感想といえば、
道満様(亀蔵丈)が見事に代弁してくれたのですが。
何だか、
意外と呆気なくハッピーエンドしちまいまして。
や、何よりなのですけれど。
一応黒幕であろう興世王(愛之助丈)の、
「いまいち小者感」がね。
登場した瞬間は確かに、
あからさまに「わたくし黒幕です」候としているのですが、
やっている事が、小さい。
やり方が、セコい。
まさに虎の威を借る狐。
だから良かったのだと思いますが。
これでこの人が国崩級の悪党だったら後々益々面倒くさいであろうし、
後にも書きますが、
「物語の主軸」が活きなかったかも知れない。
「大きくなり過ぎない芝居」は、
愛之助丈の力量の賜物だと思う。
…ただ、
完全に矛盾する感想になってしまうのだが、
この興世王が、
もっと「大志を抱いた極悪」であったならなあ、
父上・将門(海老蔵丈)復活後、
更にど派手にもう一悶着あって、
晴明軍も苦戦を強いられたりなんかしちゃって、
面白くなったかも知れない、とか。
話を戻して興世王、
滝夜叉姫(うちの菊さん)の反撃に狼狽えてたり、
意外とあっさり消滅してしまいやがったり。
結構情けない。
それから結局最後まで、
主人公・安倍晴明(染五郎丈)が、
何か薄かった(汗)。
周囲が濃すぎるのか。
式神狐ですら、キャラ立っていたからな
(余談ですが、酔っ払ったこの狐、
ケン・シムラ「変なおじさん」が憑依していたと思われるのだが)。
道満様の云う「つまらん」が何を指摘していたかは分かりかねるが、
私が斯かる後味だったのはそんな理由。
無論、
コレはコレで
間違いなく完結、完成されている作品ですので。
うっかりこんな展開を想像してしまったという、
ただの素人による独り言ですすみません。
◆
陰陽師だの魑魅魍魎だの結界だのSF要素が表面に出ておりますが、
結局は血筋だの友情だの絆だの、
「人の情愛」が核なるテーマだったのが良かった。
滝夜叉姫はね、大したファザコンだったの。
いい感じだねファザコン(ピングー24話空耳)。
最後、姫も割とあっさり鎮められてしまった。
彼女のそれ迄を思うと、
そんな簡単なものではないのではと思うのだが。
(因みにファザコンマザコンに対し何故かマイナスイメージを持っているのは日本人くらいだと思う。
心理学的には子供の成長過程に於ける極々自然な現象なのだがな。勿論程度の問題はありますが)
秀郷(松緑兄さん)は優しかった。
秀郷氏は始終、情に篤く、堅固な信念の人。
姫の父上も郷土愛溢れる真っ直ぐな正義漢。
ただその真正直な正義と脆さは紙一重で、
そこを小悪党につけ込まれてしまう訳ですが。
実に面白いです。