軍用車両とは何か

軍用車両、それは字のごとく軍隊で使用されることを目的とした車両のことである。軍用車両は英語に直訳するとmilitary motor vehicieとなる。軍用車両は、軍に制式装備として採用されたものだけでなく、試作車両も軍用車両として扱われるのである。

軍用車両には戦闘を目的とした車両(戦車・装甲車・自走砲など)と武装を持たない汎用車両や支援車両(架橋車両などの工兵車両・トラック・野戦救急車など)がある。

軍用車両は車輪や履帯を備えて、動力(エンジン)で自走するが、ここでは車輪で走行する軍用車両(装輪車両)について解説する。

 

世界初の軍用車両は火砲の牽引車だった。

古代にも軍隊で使われた軍用の車両があったが、それらは動力でなく、馬で引かれた戦闘用の馬車であった。古代メソポタミアやエジプト、ギリシャなどで使われた。2輪と4輪のタイプがあった。エンジンを積んだ世界初の軍用車両が発明されたのは、ジェームズ・ワットによる蒸気機関の発明からわずか4年後の1769年のことである。フランスの軍事技術者であった二コラ=ジョゼフ・キュニョーが作ったキュニョーの砲車が世界初の軍用車両である。キュニョーは、大砲(ここでは火砲という呼び方で統一する)を牽引するため蒸気機関が使えないかと考えて、発明された。キュニョーの砲車は、動力を積んで自走する軍用車両といより、世界初の動力を積んだ自動車でもあり、自動車の歴史は、軍用車両として始まったといえる。

 

キュニョーの砲車

 

だが、初期の蒸気機関は大型で重く実用性が低かったが、1876年にニコラス・オットーが小型の内燃機関であるガソリンエンジンを発明、1886年にはカール・ベンツゴットリープ・ダイムラーによりガソリン自動車が開発された。さらに1892年には、ルドルフ・ディーゼルがディーゼルエンジンを発明した。その後、1896年にはダイムラーが荷台を取り付けたトラック(旧日本軍の呼称は貨車)を製造、軍馬に変わる荷物搬送の新兵器として、軍隊に採用されていった。

 

軍用車両の分類

ここでは分類について解説する。軍用車両には前述したように直接戦闘に関わることを目的とした戦闘車両、戦闘や後方支援を問わず使われる利便性が高い汎用車両、工兵や衛生兵が使用する支援車両に分類される。今回は、汎用車両について解説するが、汎用車両には小型汎用車両、トラック、軍用乗用車、軍用二輪車(オートバイ)などがある。

小型汎用車両は4輪の小型車両で、走破性を高めるために全輪駆動で走行するものが多い。代表的な車両にアメリカのウイリスMB/フォードGPW、ドイツのキューベルワーゲンなどがある。

 

ウイリスMBは牽牛な構造と不整地走行性能が高い小型汎用車両である。

 

トラックは荷台を備えた輸送用の装輪車両で、兵員や物質を輸送する軍隊のワークホースであり、補給が重要な現代の軍事作戦には欠かすことができない車両である。代表的な車両にアメリカのGMCのCCKW、ドイツのオペル・ブリッツKfz.305、旧日本軍の九四式六輪自動貨車などがある。

軍用乗用車は、連絡用や高級士官の移動に使われる乗用車で、スタッフカーとも呼ばれている。代表的な車両にドイツのフォルクスワーゲンTyp82e、旧日本軍の九三式六輪乗用車などがある。現在の自衛隊で使用されている業務三号もスタッフカーなのである。

 

駐屯地司令や幕僚たち佐官以上の幹部が乗る業務三号もスタッフカーなのである

 

最後に軍用二輪車について解説する。軍用二輪車は連絡任務や偵察で使われる軍用オートバイであるが、第二次世界大戦まではサイドカーも使われたが、現在では小型汎用車両にとって代わられ姿を消した。軍用二輪車で有名なのは、ドイツのBMW R75、アメリカのハーレー・ダビッドソンWⅬA、旧日本軍の陸王九七式側車付自動二輪車などである。

現在では、オフロードバイクをベースにした軍用オートバイが主流となり、偵察任務で使われている。

 

現在の軍用オートバイはオフロードバイクをベースにしたものが主流となって、災害派遣にも使われる

 

以上で、軍用車両について解説してきたが、次回はこれらの車両について詳しく解説することにする。