ダメ営業七転八倒 -5ページ目
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適正価格

このブログの最初のエントリーで、ちらっと低価格を売りにしてきた、ある全国展開をしているハウスメーカーがここへきて、高価格とまでいかなくても、明らかに路線変更をしてきた、ということ、建築という仕事は例えば自動車産業とは違い、いくらトヨタが世界的な優良企業といえども、そのトヨタを真似て合理化を徹底して低価格で住宅を供給するにも限界があるのではないか、と書いた。
そういえば、トヨタも住宅建築をやっている子会社を持っていたと思うが、そういう意味では「カイゼン」だの、なんだの徹底しているんだろうか? 興味があるところだ。
それはともかく、PCのハードディスクにある雛型をコピーペーストして、それを「設計」とする、それぐらいならまだしも、住宅建築の過剰な低価格化というのは、つまり、下請け業者への支払に転嫁される。自動車の場合も、メーカーというのはアセンブリーメーカーということで、部品会社の製品を組み上げるということを考えれば、各種下請け業者を纏め上げて家を一軒作り上げるハウスメーカーというのも同様にアセンブリーメーカーとよいかと思う。トヨタというのは優秀な部品メーカーは身内に取り込み、それほど重要でない下請けに対しては、品質、価格の両面で厳しく締め付けていると聞く。いやなら、よそでどうぞ、という具合で。それで上手くいっているのは、特に品質管理の面で卓越しているのだろう。
ハウスメーカーはどうか? それで冒頭の大手メーカーは、大きな問題も聞かないところを見ればある程度上手くやれていたのだろうが、品確法制定前後より、住宅に求められる機能という物は劇的に変化、増加しているように思われる。最新の要求に応えるためにはこれまでの低価格路線ではカヴァーしきれなくなったのではないか?
下請けを締め付け、低価格でも品質管理を上手くできるところはまだいい。しかし、実際に多くのハウスメーカーでは、たとえ、一級、二級の建築士の免許を持っている人であっても、現場経験が無いからだろうか?、営業の人や社内の設計士、監督が十全に現場の品質管理を出来ていないことがあるようだ。

以下、うちの会社の専門である地盤のこと、うちの会社に持ち込まれたあるトラブルについて。
施工は全国展開、とまではいかなくても、ある程度スケールメリットを持ったハウスメーカー。地盤には問題なかったはずなのに、竣工まもなく基礎や土間のコンクリートにひびが入って施主さん、カンカン、という話。結論から言えば、コンクリートを打つ前の地業、ほんの少し、時間にすれば小一時間分の作業、ランマーかなにかで締め固めをすればそのような問題は起きなかった、そういうトラブルだった。工事費を値切られた下請けがただ指示書に明確に記述していなかったというだけで、そんな簡単で常識的な工程をすっ飛ばしていた、というのが真相。
あるいは、こういうケース。これも県内限定だが、それなりの規模で展開している別のハウスメーカーの話。支持どおり工事をしていた基礎工事業者が、しかし、どうもこの基礎形式では沈下事故を引き起こしてしまう、というところからうちの会社に相談がくる。実は超を付けていいくらいの軟弱地盤で、それなのに、まず、ちゃんと事前の地盤調査をやらなかった、そして、ベルトコンベアで流すように、形だけ地表よりホンの少しだけ(効果がでないほど)表層改良をし、で、判で押したようにベタ基礎。うちで調査したが、おそらく、あのまま竣工していても間違いなく不等沈下を起こしていただろう。

安いお金でできれば、それに越したことは無い。施主さんにしたところで予算のあることだし。しかし、闇雲に低価格というのはいかがなものか。破壊されるのが価格だけならいいが、それで建てた家そのものまで、簡単に破壊してしまうような物になってしまう恐れがあるのではないか。繰り返すが、冒頭の全国展開の大手ハウスメーカーもそんな判断をしたのだろう。単にお金儲けのみが目的ならば今日日、建築関係より効率のいい仕事はいっぱいあるはずで、やはり、本当はどの業者も建築の仕事が好きで誇りを持ちたいと思っているはずなのだ。救いようの無い悪辣なだけの業者なんて、じつはそういないはずだ。

宅地の地盤調査の話をさせていただく。
うちは一軒四隅をスウェーデンサウンディング、中央を最大2メートルの深さまで試掘し土質確認をし、報告書に調査データから対策についての考察まで5万円でさせていただいている。
何やらこの辺のハウスメーカー、工務店の方々は同じ内容で3万円が相場だろう、なんて思っておられる方もおられるが、3万円というのは東京あたりの関東ローム層で容易にスウェーデンサウンディングでの貫入が可能なところではそれもありかもしれないが、ご当地富山のかたい砂礫と軟弱な砂粘土が入り組んでいる地盤では、正直やっていけない。
どうも、確率論というかなんというか、「多分」大丈夫だろう、というところで、工務店は考えているフシがある。ただ、正確な統計的な数字はわからないが、そのような調査は100軒分大丈夫でも101軒目で問題を起こしているようだ。うちの会社には最低でも半年に一度くらいの割合でコンスタントにそのような調査の尻拭いというか、なんというか、トラブルの相談が舞い込んでくる。そりゃぁ、ね、工務店、ハウスメーカーにとっては、仕事がつながれば、補償制度も整っていることだし、いざとなっても何とかなるんだろうけれど、施主さんの立場から言わせれば、一生にそう何度も家を建てるなんてしないんだし、っていうか、ほぼ一回きりのイベントで、で、そんなババつかまされたら、たまらんわな。
実際、むしろ、設計士さんのほうは3万円の調査は信用できないといってくれている。
というわけで、ボクが営業に回って行った時でも、値切らないで下さいよ。頼んます。気ぃ弱いんですから……。

3万円の業者の調査報告書を最近見せていただいた。項目的にはウチの報告書とほぼ変わらないが、内容的に、なんというか、ダメダメでした、実際。支持層に傾きのある表層2メートルぐらいまでは軟弱である地盤。しかし、これでは、ただ、現場でスウェーデンの試験をやりました、という事実のみを述べるお手紙でしかない、極論すればそんなシロモノだった。現場の地盤全体像を把握するにもクライアントに対しては不親切な説明しかなく、また、対策についての考察も、これでは誤解を招く恐れを考えれば書かないほうがまだまし、というもの。
正直、営業に回っていて、ウチもなんとか努力して3万円でやらなきゃいけないんじゃないか?なんて思うことも有るのだが、これを見たら、5万円で正解だった、と確信した。このような調査では間違いなく101軒目までにトラブルを引き起こしてしまう。

3万円という価格設定には、いろんなタイプがあって、上記のような質の2段くらい落ちる調査もあれば、地盤改良とセットで行うことを前提とした調査でディスカウントしてある物もある。詳しくはウチの会社のブログ(http://blog.livedoor.jp/minatogawa0609/archives/13071314.html)のほうで書いたので、よかったら、読んでみてください。

となると、施主さんにとって大事なことって何だろうと考えると、家を建てるにあたって、すべての工程で納得づくですすめること。予算は有限なんだから、どこかで妥協もやんなきゃいけない局面もあるのだから、たとえ建築に関して全くの素人でもできるだけしろうとしてください、って、おい、しゃれかよ!そのためには、よい相談者、信頼できるコーディネーターが必要なんだろうな。よい出会いを祈っております。

富山の耐震補強事情

営業の外回り中、構造設計士O氏のところで、うちの会社がやっているアンダーピニングによる沈下事故修正工事のことを話した折、O氏から「耐震補強工事との絡みで仕事になるかもしれないね」なんて言われたもんだから、以来、何とか耐震工事と絡めて何とか仕事にならないものかと考えているのだが、なかなか仕事にはならない。
ネットで検索したりテレビや新聞、本屋の立ち読みでそれに関する記事を気が付いては読んだりしているのだが。なかなか、ウマい手は思いつかない物だ。

O氏との会話は中越地震以前の話で、その後、件の地震。隣県の話なので、ちょっとは富山県でも耐震の機運が高まるか、と期待したが、なかなかそう上手くはいかない。
国交省だったかの発表では富山県内で、もっとも地震の危険の高い断層線は砺波のほうに走っているそうだが、緊急性はというと、今にも来そうだと言われている東海~東南海~南海地震や、南房総沖(南関東)地震よりも低いとされる。まぁ、なんというか、ぶっちゃけ、阪神大震災以前の関西の人の地震に対する意識とほぼ同じといえる。富山の人たちの意識って。何だかんだいって富山では地震は起きないよ、というわけだ。

そんな富山であっても、新築であれば、現在は建築基準法、あるいは品確法などといった規格にしたがい、ちゃんと地震のことを見越した構造にはなっているのだが、問題は昭和56年以前竣工を先頭にそのような耐震意識の薄い時期に建築された建物のリフォーム。
富山県内の昨年度のリフォーム工事の件数、新築工事との比率、一軒あたりにかけられた費用、そんな統計も、多分、ちゃんと探せば出てくるのだろうが、一方で、木耐協(http://www.mokutaikyo.com/)のデータで、耐震補強工事1件あたりにかけられる工事費の平均として119万824円というデータはこの前テレビでやっていたので手帳にメモしておいた。
仙台ハウジングセンター(http://870reform.com/)という会社のホームページの記事(http://870reform.com/taishin/)をごらん頂きたい。その中で「最近、テレビのリフォーム番組や、雑誌等で取りあげられるデザイン偏重のリフォーム工事には、“家”の存在意義の根本にある『安全・安心』をしっかり考慮されていないものが多々あり、正直なところ恐怖さえ感じています。」という記述は印象深く、まさしく賛成、ちょっと前の2ちゃんねる的に言えば禿同というやつ。
しかし、まぁ、さあリフォームするぞ、という施主さんがどれだけのリフォームを用意するのかというと、120万近くのお金を、リフォーム全体にかけるのかというと、まず、そこまで一度にかけるかどうかわからないし、それがさらに耐震補強だけでそれだけの金額、というと、二の足踏むのも無理は無い。
ただ、逆に耐震補強といっても、法的な強制力は無くあくまで施主さん自身によるリスクヘッジであることを考えれば、施主さんの予算なりの補強というのも、きっとありな話だろう。

となれば、ウチの沈下事故修正工事、沈んだ基礎を持ち上げるという力技で、当然、基礎下地盤の補強にもなるのだが、正直、値は張る、っていうか、120万全部もらって、それなりにやったとしてもできることは限定されてしまう場合が多い。(などといいつつ、それよりも少ない予算で十二分の工事ができたこともあるのだが)……ダメじゃん、と、挫けそうになる。

実際のところ、室内にいると乗り物酔いのようになったみたいに気持ち悪くなるほど、ひどい沈下事故を起こした家や、家中の引き戸という引き戸が具合が悪くなった家の基礎を何件も持ち上げているので、卑屈になる必要は無い。耐震補強の一環にという切り口は今のところありえない、というだけで。それはそうと、傾きの酷い家は、上部、柱や梁、壁がゆがんで、それだけで耐震剛性はおちているのだが、基礎にもクラックが入る、それらを引き起こした地盤も場合によっては地震で液状化を起こす危険もある、ということで、耐震補強に沈下事故修正工事の必然は絶対あるが、それをいかに需要に変換していくか。まだまだ勉強しなければ。

太平洋側では「無料耐震診断します」とかいって、年寄相手に高額な耐震補強工事の契約結ばせるっていう、荒っぽい業者もいるそうで、この辺では、今のところ、そんな業者が現れた、って話は聞かない。まぁ、関心が無いのも必ずしも悪いことばかりじゃないということか。
ウチの沈下事故修正工事以前に、まず、耐震という物対する意識の喚起が必要か。一遍痛い目にあわないとわからない、というのも、つらい話だよな。

ヲイヲイ、ちょと待てよ。 ――「とやま家づくりの本2005」(CAP)に突っ込んでおく

広告収入で成り立っている本である。まぁ、だいたい、今日びの出版事情からして、ふつうのこと。したがって、ボリュームの割に安い、安い。逆にいえば、この価格でこのボリューム感、この辺に住む家を持ちたいと考える人にとって、バイブルのようになること、請け合いだ。
同じような趣旨、同じ版型、同じくらいのボリュームの「@home富山2005」(北日本新聞社)と比較した場合、表紙のそこはかとない高級感では負けているが、CAP自身による家を建てるプロセスを解説した編集記事は親切だ。
ボクなど、自分の職業はさておいても、父をはじめとして、親戚、小中の同級生など、この関係の仕事についている人間が多く、例えこのような本が無くても相談する人、教えを請える人は大勢居るのだが、例えば、同世代の夫婦、親戚友人を探してもそんな相談に乗ってくれる人がいないときなど、この本を首っ引きにするに違いない。
毎年刊行され、CAPの大事な収入源なのだろう。気合の入った本だ。その昔、この方面の仕事もした事がある身としては、今の作業がPCのモニターでの作業で、随分楽になっただろうとはいえ、これらを全部管理するというのも…、あ、それもPCで上手く管理できるんだろうな。

ライターが建築に関しては全くの素人なのだろうが、それにしては随分と記事を上手く作り上げた物である。ごくろうさま、である。

しっか~し!! ぜんぜん頓珍漢、とまでは言えなくても、全くの知識の無い人が読んだら致命的な誤解をしてしまいそうな記述をハケーン! なのであった。

今時のベタ基礎信仰

曰く、

布基礎とベタ基礎の違い
布基礎
住宅の基礎のほとんどが布基礎。割栗石と捨てコンクリートの上に逆T字型のコンクリート基礎を埋め込んでいく。
ベタ基礎 建物の床面全体を鉄筋入りのコンクリートで固めるもので、じゅうたくが不同沈下の恐れのある軟弱な地盤に適している。地面からの湿気対策にも有効。

上記の、特にベタ基礎に関する記述には、反論というか、いろいろ書きたいことも有るのだが、まず、ひとつ。隣の石川県は、富山県より厄介な軟弱地盤が多いのだが、結果論としてはベタ基礎の重量が仇になった沈下事故が頻発し、ウチの会社にも相談が持ち込まれたりもした、ということを知っていただきたい。
通常、木造住宅の重量は平米当り、平屋で0.5トン、2階建てで1トン。土木の安全率を考慮して、地盤には3トンの耐力が要求される。ところが、ベタ基礎にしてしまうと、重量は1.5~2倍にもなってしまうのである。
基礎底面を広げて単位面積あたりの荷重を減らしてやる、という考え方の延長線上にベタ基礎もあるわけだ。したがって、要求する3トンに地耐力が本の少しばかり足りない、というときに取り得る選択肢のひとつでしかないのである。誰がみてもわかるような軟弱地盤、人が歩くと深い足跡がついたり足がとられるぐらい沈んでしまうような地盤に盛土をしたような場所ではむしろ危険だということもできると思う。

ところが、時折、ベタ基礎をさも万能のように喧伝しているハウスビルダーを目にすることがあるのだ。こりゃまたいったい、どうしたものか?と頭を抱えてしまう。
一時期、低価格住宅が幅を利かせたことがある。そのために、設計の段階から合理化、効率化が図られたのだろう。大手のメーカーの設計図など、PCのハードディスクから、雛型をコピー&ペーストしてきて、細部だけ、ほんの少し手直しする、というのはあたりまえ。そんな中で、確率的にベタ基礎でやっておけば、多くの場合カバーできると判断したハウスメーカーがいたのかもしれない。同じものを作れば、それだけコストも減らせるというわけである。
考えていただきたい。家というのは自動車とは違うのである。特に、世界的にも優良企業たるトヨタの作るような量産車と同じように考えるべきではない。それならばむしろ、価格にすればベンツよりもはるかに高額、フェラーリやランボルギーニ、あるいは、ベントレーやロールスロイスのようなオーナーの意向が反映される部分が大きい自動車のような物だと考えるべきではないか? まぁ、そんな話は置いておくにしても、実際のところ、低価格を売りにしたある大手ハウスメーカーは、そんな低価格路線から方針変更、もう少し、きめのこまやかな施工を目指すことにしたらしい。
ベタ基礎がこれほど幅を利かせるようになったのは、もちろん、軟弱地盤対策ということはあったのだろうが、そこに業者の側の都合がおおいに作用したのだと推測される。床下の湿気対策もやりやすいだの。いろいろ言われているが、しかし、第一義として、軟弱な地盤に対しての適切な対策がくるべきで、それを考えた場合、ベタ基礎がカヴァーできるような地盤は案外、というか、かなり少ない。


件の本のライター氏、恐らくは建築に関しては素人で、それにしてはよく勉強してあるとは思うが、取材費少なかったのかしら?とも思う。基礎に関するほんの数行の記事にも、このような突っ込みが可能である訳だ。住宅建築ひとつにも様々な業者が関わってくるわけで、それぞれの業者の専門分野から言わせれば、このような突込みどころ、満載なのかもしれない。
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