
近代的なビルが多く建ち並び、帰宅ラッシュ前にも関わらずたくさんの人が通りを行き交う様子は、東京と何ら変わず、大阪、名古屋、東京と予選を見てきた自分には同じ大都市として、
札幌でどのような闘いが繰り広げられるか期待が高まります

この札幌予選は6会場目。全国10会場で行われる今年のD1は、早くも折り返し地点を通過し後半戦の第1回目がスタートしようとしています

札幌の控室で受けた第一印象としては、彩度の高いカラフルでインパクトのあるデザインが多く、「カラーデザインしているな」という感じでした。
エントリー者全員のモデルのBeforeを写真に収め終わって、ひとつ気が付いたのは。。。
たったひとりを除き、選手が全員男性なのです

そういえば、この札幌予選では過去3回とも代表者が皆、女性でした。
今年もこの紅一点の女性選手が代表の座を取るのか、いよいよ北海道地区初の男性代表者が出るのか、そんなところも密かに気になっていました

競技開始直前、先程までの和やかな表情とは一転、選手の顔にも緊張が伺えます

「はじめ」の合図で、一斉に動き出した選手達。
スタート直後からすごい集中力で、皆、黙々とカットしています





札幌予選でもプレゼンテーションは全員で行いました
選手が書いたヘッドシートにはコンセプトとテクニカルがスクリーンには映し出され、選手が思い思いに発表していきます


その中で、あがったスタイリングタイムの話
過去の予選を通しても何名かの選手からは「10分も時間は必要ない」それとは逆に「10分は短すぎる」という相反する二つの意見が聞かれた。
この『10分』を長いと感じるか短いと感じるかは、もちろん人それぞれ、スキルや求めるデザインによっても変わってくることだろう。
ただ、ここで大切なのは本当にブローやアイロンワークが何分もかけて必要なのかどうかという事だ。
事前にモデルへパーマをかけている選手に対して植村はこう言った。
「カットが終わった時はパーマの質感で既に完成された美しい形を作っているように感じました。そこで最終的な形をイメージして、必要な部分に更にアイロンで巻くことには意味がありますよね。
でも必要なところ以外へ手をつけるアイロンワークは完成されているものの形を崩してしまうことになってしまいます。」

ついつい競技となると時間との闘いという風に捉えてしまい、余った時間で必要の無いところにアイロンを入れ、結果的に質感が人工的になってしまった、という状況を目にすることがある。
そうではなく、どこにアイロンやブラシを入れるべきかを明確にし、仕上がりを見極め、どこで手を止めるか判断できることも、ヘアをデザインする上で必要な力だ。改めて、この10分間が大きなカギを握っているということを考えさせられた話であった。
しかしながら、プレゼンは終始、植村のつまらないツッコミが入りつつ和やかに進んでいく。
植村はこれからの課題としてこう言った。
「発想やアイデアは思いついたまま、何でも自由でいいです。ただ、意識しなければいけないのは目の前にいる女性は人間で、そこには必ずファッションが存在するということ。そのファッションと目の前の女性をうまくはめ込んでいって、初めて女性像が完成されます。このファッションと女性像を繋げる力が強くなることで、もっと能力が上がると思います。」
年に何度か東京に足を運び、外の世界を見ることでもっと違う視野を持つことができるのではいか、今何が流行っているか自分の目で見ることにより、もっと明確な女性像を作ることができるのではないか、と思う。
さて、選考会も終盤。ここ札幌会場でも迷いがあるのか、代表者の発表を前に植村の言葉がつまる。

静まり返る会場。植村が決断し口を開いた。
「悩みに悩んだ末に12番の彼に決めました!」拍手が起こる。
「今回、色がテーマの中で下品になりやすいイエローという色をここまでファッションに持ってこれる彼のセンスとパワーは期待できると思います。」と付け加えた。


「挑戦できたことがうれしいし、また新しい気持ちで本選も頑張りたいです。」と話した。北海道地区から、初の男性代表者として本選ではどんなことに挑戦してくれるのか。彼のセンスに期待したい