お線香をあげていただけますか?>
「わかったー。ほれ、皆、お線香やで。順番にな。」
「誰から・・?それは、お父さんからでしょ。」
「そら、ワシの母親やけど、ま、一番世話をしてくれた、な、あんたからどうぞ。」
「何を言うてますの、喪主はお父さんでしょ。はよ、先に。」
「そうか、では、遠慮なく。お先に。」
「あ、これ、線香は、一本?二本?何本?」
<はい、皆さんであげられるので、一本ずつにしましょか。>
「線香は立てるの?立てていいの?」
<あ、この度は浄土真宗さんですから、お線香は寝かせます。>
「寝かせる言うても、これ、香鉢が小さいから、寝かせられへんで。」
<失礼しました。 こうして、一本のお線香を真ん中から、二つに折って、
それをまた、もう一回同じように折ります。>
「ほほー、でもこれでは、すぐにたってしまうな。
今晩は線香の番をするねんやな。これは、大変やな。」
「もう、ぶつぶつ言わんと、はよ、拝んでよ。」
「はいはい、(チンチーン)て、リンは何回?」
「もう、ええから・・・。何回でもええやん。」
「そうか。(チンチンチンチンチーン♪)」
「うるさい。」 (クスクスクス・・)
「ほら、こんな時に・・・。おばあちゃんがかわいそうやわ。」
「葬儀屋さん、この水は何?」
<ええ、お湯のみのお水を、ご用意しましたおしきみの葉で湿らせて、
お母様のお口に含ませてあげてください。
末期の水ですね。ほとけ様になられる前の最期の水です。>
「なるほど。ほな、よっこらしょっと。
さ、お水やで、なあ、最期はお水も飲まれへんかったもんな、どうぞ。」
「おばあちゃん、よろこんでるわ。」
「そうか、笑わしたり、喜ばせたり、これで、ええやんか、
皆で、わいわい送ったろ、にぎやかなんが好きやったからな、おふくろ・・。」
お疲れ様でした・・・。

✿ ドライアイスもいるでしょう。
「もしもし?葬儀屋さん?」
「はい、そうです。」
「・・・ちょっと、あのー、お棺を売ってほしいんやけど。」
「柩・・。あの、ご不幸があったのですか?」
「そうやねん。」
「・・・そちらに伺いましょか?」
「いや、棺だけ売ってくれたら・・。」
「いや、ご納棺とかもお手伝いしてほうが・・。」
「いえ、自分達でしますから・・。」
(最近、そういうかたもおられますけど。)
「あの、お葬儀は?」
「あー、いやー、不幸があったのは、うちの犬なんです。」
(あらら、それを、早く言ってくださいよ。)
「大きなワンちゃんでしょうか?」
(やっぱり、納棺手伝ったほうがいいのん?)
