香と言ってすぐに連想するのが仏壇の線香ではないだろうか?
しかし、仏教とは無関係に香を楽しみはじめたのは、奈良時代後期~平安時代にかけてといわれる。
平安時代の≪香≫は、仏に供えるための香とは区別して、趣味として自由に楽しむ香のことを【空薫物(そらだきもの)】といい、今にも伝わっている。
あの有名な『源氏物語』には、この空薫物の香りについての記述が非常に多いらしい。
『人を迎える心づかいとして、香をたきしめた源氏の君の着物の袖からにおいたつ芳しい香りが、周囲の人をも楽しませている』ようすが描かれているらしい。。。
ちなみに空薫物の“薫物”というのは、香木そのものをたくのではなく、各種の香料を練りあわせたものをさしている。 そしてこの薫物の製法を日本に伝えたと言われる人物がかの唐の鑑真和上であるといわれている。

和上は日本の仏教普及に甚大なる功績・影響を及ぼした人物として日本史の教科書でも有名なお方!
和上は日本の留学生の要望に応え、五度にもおよぶ中国大陸からの渡航に失敗した後、ついに来日し仏教の戒律を日本に伝えた(o^-')b そしてその渡航準備品目の中に薫物作りにも用いられる十数種類の香薬が記されていたことによって調合のノウハウがこの頃に伝えられたということらしい\(゜□゜)/
日本における香というものは、奈良時代まで仏教と切り離すことができなかったらしい。ところがこの頃から香を生活の中で楽しむことが広まったという。なぜかというと薫物は香料の配合により微妙に異なる自分好みの香りを自由につくることができるのが良かったからだそうだ!
薫物全盛期の平安貴族たちには、それぞれ家伝の調合法をもち、独自の工夫も折り込みながら香り作りを楽しみ、そして各人の香りの優劣を競う《薫物合(たきものあわせ)》などの優雅な遊びへと発展し、香は貴族の教養として確立し、また今の世に私らが知る香道へとつながってきたそうです。