鉄緑会創設者で精神科医でもある和田秀樹さんの著書「受験で子どもを伸ばす親、つぶす親」によれば、抽象的概念を理解するようになるのは9歳以降だという。

 

 

個別指導塾SS1創設者の小川大介さんの著書「5歳から始める最高の中学受験」でも同じことが書かれていて、よく耳にする「先取りなんてしてもしょうがないよ」というフレーズとも合致する。

 

 
 

 

 

さらに和田さんの本に書かれているのは、記憶力は逆に9歳未満の方が高い、という話。

なので、理科や社会のような暗記モノは、むしろ低学年でやった方がいいよということらしい。

 

また、ほぼ塾なしで開成に合格、現在は医学部に通うぎん太さんのお母さんのブログで紹介されている低学年時の働きかけの中心も、理科や社会関連が多い。

 

 

これにはわりと納得感があって、理科や社会は暗記モノだから受験前に集中してやった方がいい的な言説も多いけど、低学年時の時間や心の余裕があるうちに、できるだけ自然科学や歴史地理公民などに触れる機会を作った方がいいんじゃないかなあという感覚はある。

 

ぎん太母さんが言うには、塾などで習う前に、知ってる、聞いたことあるという状態を作っておくと、実際に受験勉強で出会った際に、すんなり憶えられると。

 

それはね。ほんとに、そうだと思うんですよ。

 

私は中学受験をしていないし、小学生の時は塾にもなんにも行ってないんだけど、家にあった学習まんがを読んでいて、それをきっかけに、まあまあ知識が身についていたと思う。

 

よく読んだのは小学館「日本の歴史」(←家に全巻あった。母が買ったんだと思う)と、学研「ひみつシリーズ」。

いずれも定番中の定番で、いまだ売れ続ける超ロングセラー。

 

 

理科や社会だけじゃなく、算数でも国語でも英語でも同じなんだけど。

予め知ってるというだけで、子どもはちょっとだけ得意な気持ちになる。

それだけでそのテーマに前向きに取り組めたりする。

 

ただ、算数は積み上げ式のステップなので、先取りして知識だけ身につけるなんてことはできないし、国語も漢字やことわざみたいな知識系のものを除けば、精神的な成熟がなければ文章を読み解いたり書いたりは難しいというのはよく分かる。

 

学びには順番というか、適切な時期があると思う。

 

記憶力は早い時期にも(むしろ早い時期ほど?)発揮されるけど、思考力はそういうわけにいかない。

 

で、そういうインプットと習得みたいな話をしながらも逆に、最近気になるのはやはり探究心、探究力についてだ。

 

大人が問いと正解を与えてそれを憶えること、与えられた問いに対し答えを考えること、それにとどまらず、自ら問いを立てること。

 

 

自立心、独立心、主体性といったもの。

不確実性の高いこの時代、自ら学び、自分を高めていく力が必要であることは間違いない。

 

記憶力、思考力、探究力、これらの能力の関係性と育み方について、もう少し整理して考えてみたい。