X(旧Twitter)に投稿した、書籍『日本鬼(ヤンプングワイ): 日本軍占領下香港住民の戦争体験』の自己感想の転載です。

 

18)
当時帝国主義だった日本の植民地としての治世が各地でひどかったのは有名であるが、香港は軍政だったのでなおさらである。迷いなく屠る理由が「香港人を食わせる食料がないから」も一因であるが、この一因は1937年12月の日本軍による南京侵攻時にも共通する。

 

19)
日本軍が侵攻し陥落した当時、香港側は食料を備蓄していたそうだが、すべて日本軍に奪われ食い尽くされてしまい飢餓生活に陥った香港市民。「怖かった」と並んで「ひもじかった」という経験談も複数収録されている。

 

20)
食料同様に香港市民から根こそぎ巻き上げられたのが香港ドル。こっそり隠し持っていた人も、見つかると最悪殺されることがわかると泣く泣く差し出さざるを得なかったという。占領当時の香港ドルは軍票へと交換させられ、”当然のごとく”戦後償還されることはなかった

 

21)
日本の軍票の被害にあったのは香港のみならず東アジア・東南アジア広域にわたる。日本軍が徴用していた従軍慰安婦たちも同様の被害者。もともと持っていた財産も稼いだお金も露と消えたのである。

 

22)
いまだに「文化興隆より金儲けの方が大事という価値観のほうが根強い」という感想↓が居住者から出てくる社会であるせいだろうか、同書(日本鬼)での「俺/私の香港ドルを返せ」という恨み言の数々は個人的には腑に落ちる次第。

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<5>に続きます。(予定)