X(旧Twitter)に投稿した、書籍『日本鬼(ヤンプングワイ): 日本軍占領下香港住民の戦争体験』の自己感想の転載です。

 

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第1章は1941年12月8日に日本軍が侵攻を開始した時期からの被害の数々が語られている。砲弾もあちこちに打ち込まれたので、家族親族友人知人が爆死・家が砲弾で破壊された...等々のいくつもの体験談が、当事者達に聞き取り調査をした著者の手で綴られている。

 

14)
本書の中核となる「日本軍による犠牲」体験談は地元香港人のみならず、「日本軍の侵攻によって中国から香港に逃げてきた中国人」「香港に住んでいた英国人やマカオ人」など多岐にわたる。「日本人だから」と時に責任を詰問されたりしながらの著者の取材努力が窺える。

 

15)
中核部分からやや話がそれるが、公共住宅についての不満を著者が取材対象から聞き「香港政庁に相談してみたら?」と水を向けると「そんなことしたら家賃値上げされるか最悪追い出される」という答えが返ってきたのが、当時(英領時代)についていろいろと考えさせられる。

 

16)
出版年は1993年で取材時期は日本がカンボジアへ自衛隊をPKOで送るか議論されていた頃。「香港やアジア諸国を散々痛めつけておいて日本はまた軍国主義に戻るつもりか?」と取材対象者の香港人達が著者に詰問するくだりも複数回出てくるのが被害の凄惨さを物語る。

 

17)
地元香港人(このポストでは香港への移住時期が1930年以前という意味で)も極めて気の毒だが、「日本軍の中国侵攻によって中国から香港に逃げてきた中国人」が日本軍の香港侵攻と占領によって再び中国へ逃げないといけなかったという事例がいたたまれなさすぎた😭

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<4>に続きます。(予定)