こんばんは。あるいはおはようございます,かな。

 

 昨日の授業で中学一年生を22時まで居残りさせて,生徒から叱られて引きまくりに腐っています。全部おいらが悪いのさ・・・。生徒も疲れているのをこっちは全然考えていないわけですから。生徒もいい迷惑だったでしょう。それでも「遅くまでありがとうございました」と言ってくれたのには涙がちょちょぎれてきます。

 

 ごめんなさいね。今度からはお互い無理のないように授業しようね。

 

 さて,きのうはビジネスホテルの経営がどれだけ儲かるのか,あるいはどれだけ大変なのかをざっくりと考えてみました。実は昨日の計算はいろいろと足りないところがあります。法人税や住民税,ホームページなどを使った宣伝費,集客に使った宿泊情報サイトへの報酬など。結構色々と払わないといけないお金があるのです。

 

 しかし,宿泊特化型ホテルは「宿泊する部屋を売る」「朝ごはんを売る(一部のホテルのみ)」だけのシンプルな商売ですから,計算はまだ楽でした。

 

 それにしても案外儲からないものですね。

 

 

 

 

 さて,本当のところ一般的なシティホテルの場合の話をしようと思いましたが,実はこの情報はホテル運営会社のIR情報のページにいくらでも転がっています。そちらをご覧いただければ分かります。どれだけ大変な状況で経営をしているか。毎年億単位でキャッシュが減っていき,ホテルによっては古くから営業していた料亭を畳んだりしています。

 

 このあたりは例えば京都ホテルグループのサイトを見られると分かります。直リンを貼るとご迷惑をかけますので,ここでは控えています。何卒ご了承のほど。昨年度はレストランの売上が宿泊収入を上回った由。京都ホテルグループにはシティホテル(京都で一番古い歴史を誇っています)のホテルオークラ京都と,そのビジネスホテル版の「からすま京都ホテル」があります。これら二つのホテルの業績を合わせた数字になっています。

 

 

 

 

 さて,お待ちかね最高級外資系ホテルの商売の様子をちょっとだけのぞいてみましょう。以下のような条件とします。

 

・客室数:150室

 

・レストラン:客単価30000円(原価率50%)のレストラン一件40席で各テーブル2人ずつとし,稼働率70%とする。一回転。客単価30000円の寿司屋(カウンター10席のみの営業で稼働率90%,1日2回転)一件で,ホテルはテナント料として売り上げの1割を取る。客単価10000円のバー一件。客は一日40人とする。

朝食は宿泊客の7割が取る。客単価7000円一回転とする。ランチは客単価1テーブル2人で,客単価10000円一回転。お茶は客単価1テーブル2人で,単価5000円で稼働率80%で3回転とする。お寿司屋さんは外部のお寿司屋さんを誘致。レストランとラウンジ,バーはホテル直営とする。

 

・ホテルの一室あたりの単価は3000000円(30万円)。

 

 話を単純にするために,通常客室とスイートルームの室料は同じ額とする。超高級ホテルでは普通の客室とスイートの差があまりなかったりします。

 

・通常客室130室 スイート20室 ・・・これは意味がなかったですね。室料を同じにしたから。

 

・従業員数200名 

 

 うちフロント部門20名,ベルマン・ドアマンなどで20名,レストランの厨房に10名,レストランのサービスで15名,ハウスキーピング・客室係50名,フィットネスジム15名,バーラウンジに20名,施設関係10名,バックオフィス(経理・総務・人事・営業)20名,宴会の人材20名・・・これくらいなかぁ・・・。

 

 さて,こういう最高級外資系ホテルは近頃常軌を逸した宿泊料金になっています。その謎に迫ってみようと思っています。なお,外資系ホテルの経営情報はなかなかみられませんので,あくまで想像の範囲内で雑に計算しています。実情を掴むだけなら十分だと思います。

 

 

 

 

 さて,売り上げを計算してみましょう。

 

・宿泊料金収入:300000✖️150✖️0.70=およそ3150万円。

 

・飲食収入:夕食は30000✖️40✖️0.7✖️2=168万円 朝食は7000✖️40✖️0.7✖️2=40万円くらい ランチで10000円✖️40✖️2✖️0.70✖️2=およそ110万円,バー・ラウンジ営業分は5000✖️40✖️0.80✖️3=48万円です。

 

 レストランから得られる収入は一日あたり350万円くらいとしましょう。実際は360万円をちょっと超えますが。

 

 寿司屋テナント料収入一日あたり:30000✖️10✖️0.9✖️0.1✖️2=54000円。

 

・バンケット(結婚式・パーティーなど)収入:40名程度出席のイベントで一つの宴会場が毎日埋まるとする。30000✖️40✖️1=120万円

 

・ここまででレストラン・バンケット関係の収入は一日あたり480万円くらい。

 式:360+5.4+120=485.4万円

 

・会員制フィットネスクラブ:5000✖️30=15万円/日

 

★ホテルの一日あたりの売上合計3650万円/日で,一ヶ月を30日とすると,月あたり11億円くらい。

 

 それに対して支出を考えてみます。まずは人件費。外資系のホテルは超実力主義で,社員ひとりごとに全然収入が異なります。以下のように設定してみます。ちょっと日本のホテルと違う給与体系にしてみました。

 

・総支配人:ホテルの責任者です。大抵その会社の役員です・・・200万円

・総料理長:ホテルのもう一つの顔、バンケットの料理における責任者で役員・・・150万円

・フロントマネージャー100万円

・レストランマネージャー100万円

・営業の責任者:200万円

・営業のエース3名合計300万円

・フィトネスのマネージャー50万円

・バーテンダー5人ほど:30万円が4人くらいとチーフバーテンダー100万円くらい

・他ホテルの生き字引的な人:700000✖️5人くらい=350万円くらい。

・そのほかホテル従業員の給与:平均30000✖️190=5700万円くらい。

 

 えっと,人件費の合計は恐ろしい額になります。合計約7200万円/月となります。

 

 ホテルを作るのは「人」です。このことを長い不景気の時代に忘れていたホテルが多かったような気がします・・・。母は元ホテルマンでして,母から聞いた話を参考にしています。

 

 ほかの支出を見てみましょう。ここからの数字は一ヶ月毎の数値です。

 

・水光熱費 600万円(客室)+1000万(ホテル共用部)=1600万円

・レストラン原価:原価率50%とすると,一日あたり180万円で一月5400万円

・ホテル建物の家賃地代:4000万円

・什器,備品,消耗品,通信費,その他オフィス用品:300万円

・そのほかもろもろ:1000万円

 

★ここまで一月あたり支出合計:2億円くらい

 

・法人税住民税1億5000万円くらい。

 

 総支出は3億5000万円となります。

 

 そこで差し引きした純利益を出してみましょう11億円ー3億5000万円=7億5000万円。

 

 

 

 

 この金額はどうなのでしょう・・・。残りの額からホテルを運営している会社がとっていく分もありますし,当然修繕費や火災保険などの引当金も賄わなければなりません。あと,費用もここに書いている以外にも色々かかると思います。

 

 最高級ホテルを経営していて一ヶ月で利益が7.5億円。一年間で90億円。個人ではありませんからね。そこそこ多くの人数を養っている会社なので勘違いはしないほうがいいかと。

 

 

 

 

 ちなみに京都ホテルグループ(ホテルオークラ京都+からすま京都ホテル:合計約500室規模+レストラン+フィットネスクラブ+大規模な宴会施設+テナント)の昨年度の売上高が42億6000万円です。ちなみにこのホテルで一番売上が大きいのはレストラン部門でした(14億5000万円)。宿泊で13億4000万円,宴会で10億円くらいでした。

 

 

 

 

 さて,この宿泊料の30万円。ヤケクソでつけた宿泊料にも見えます。私が三月下旬に京都に行ったときに,宿泊料が40万円,50万円が当たり前になっていたのをみて恐れをなして日帰りで名古屋に戻りました😂。

 

 しかし・・・経営は経営者よりも投資家が儲かるようにしないといけません。取締役が全員クビになってしまうかもしれません。使用人は法律で守られている人も多いと思いますが,取締役は明日をも知れぬ身です。ある程度の利益を残しておかないといけません。投資に見合う儲けを出せないとやっていけません。

 

 ウォーレンバフェット氏が運用する資産の年利は最高で20%だそうです。例えば数十億ドルのお金を運用して,その2割ですから・・・10億ドルくらいでしょうか。どこかのメジャーリーガーの年俸を遥かに上回っています・・・😂。大谷翔平選手で550万ドルだそうです。今は円安ですから10億円くらいでしょうか。

 

 資産運用でやっていこうと思うと数億円単位で持っておかないと全然回っていきません。美味しい投資話もやってきません。投資を持ち掛ける方も商売ですから,一気にたくさんのお金を投資してくれる人に話を持っていきたいものです。100万円投資する人と100億円投資する人,投資話を紹介して実際に運用するのにもらえる謝礼が全然違います。100万円の人からもらえる謝礼は,仕事が大変な割に1万円くらい。しかし100億円を預けてくれる人からもらえる謝礼は1億円くらい・・・。そりゃどっちを向いて仕事をするかわかってきますね。

 

 ホテルの経営もそれくらいの儲けを出せないといけません。そうでないと次のホテルを建てることもままなりません。投資家にとって魅力的なものを作らないと。

 

 そうすると,円高でコロナ禍が落ち着いていてしかも色々なお祭りが始まる京都の最高級ホテルの宿泊費はさらに高騰することすらあり得ます。私が行った日のザ・リッツカールトン京都やフォーシーズンズホテル京都はいずれも一泊60万円の値がついていました。普通のツインやダブルの部屋ですよ!

 

 それくらい取らないと,営業が続けられない,利益が取れないということなのですね。

 

 コロナ禍の頃や,まだ円高だったころは9万円くらいのホテルでしたが,今は数十万になっているホテルの話をしてみました。どうしてこうなるのか興味があり,自分でシミュレーションをしてみた次第です。拙い議論だと思われた方には申し訳ないと思いますが,この宿泊費になったからくりが私なりに理解できました。これで不満なら泊まってくれなくて結構,というホテルの声が聞こえてきます。

 

 次回はどうしてこんなことが起きたのかをもう少し深掘りをしてみたいと思います。

 

 

 

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

ONゼミナール代表 長田 俊将

www.on-semi.jp