この話は三重県のどこかの学校の話というわけではありません。
ただ,とても気になったことを聞いたので,皆様と共有したいと思います。
公立の進学校での話。
高校三年生の子たちは共通テストが終わると私立大学の入試に出かけます。
試験場が東京や大阪になることもあり,その間学校に行かないことになります。
長いと一週間くらいになるか,もっと長くなることもあるでしょう。
学校の先生がこのようなことをおっしゃったようです。
「三日以上連続して学校を休まないでね。あまり連続して学校に来ない子は大学に受からないからね」
要は,あまり長いこと遠くの大学を受け続けないでね,ということでしょうか。
・・・なんの根拠があってこのようなことをおっしゃるのか。
この先生の中での経験論なのでしょうか。
結論を申し上げると,受験勉強をしている分には合格率は変わらないということです。
中堅クラスの公立進学校では,生徒を地元の国公立大学に入れることが先生たちの「ポイント」になる,という話を聞いたことがあります。
関関同立やGMARCHなど,東京や関西の私立大学に行くよりも,例えば三重大学とか名古屋工業大学などに入れた方が世間からの評価が上がり,地元の中学生が自分たちの高校を受験してくれる。
少子化の時代ですから,公立高校でも生徒の確保に躍起にならざるを得ません。
いつ統廃合の憂き目に遭うかわかりません。
先生方も必死なのかなぁ。
こういう高校の普段の授業の様子を長い間生徒から話を聞いた内容を踏まえて申し上げると,共通テストの対策で終始しているということになります。
二次試験や私大の個別試験の対策はできていません。
と言いますか,物理や化学の一部は勉強しないまま受験を迎えるという悲惨なケースも。
数学も数学Ⅲ・Cの一部をほとんど勉強しないまま受験本番を迎えるとか。
そりゃグルコースの構造式も書けないわけだわ。
区分求積法を知らないし,立体の体積を求める問題も知らないわけだ。
確かに,多くの生徒はこんな問題をやらなくても大学に入ること「は」できます。
でも,大学に入れればそれでいいのでしょうか。
・・・って受験産業の人間がこんなことを言ってもいいのかなと一瞬思いましたが。
学校の学ぶ内容をろくに理解しないでただただ問題を解く。
考えないで,ただ「こうすれば解けるから」解く。
そんな勉強を毎回繰り返す。
生徒の理解なんて考えていないから(先生方にもそんな時間的余裕がないから),生徒は全くわからないまま受験学年を迎えて受験本番を迎えます。
それでも大学に受かってしまうことが恐ろしいと思いませんか。
行きたい大学に入れなくて浪人して予備校に行った場合,もっと恐ろしいことが起こります。
予備校の授業がさっぱりわからないことでしょう。
ベンゼンの濃硫酸を加えて加熱すると・・・と聞いても,「?」という反応が返ってくることは結構よくあることです。
「ベンゼンスルホン酸」という物質ができますが,その構造式を書いてねと言うと,見当違いのものを書いてくる子が割とたくさんいます。
高校で何を勉強していたのだろう・・・。
聞くと,学校の授業で板書をノートに写すことをほとんどしていなかったそうです。
先生が「ノートに書いてね」と言わなかったから,と。
大人が受験の道標になってあげることが大事だと思います。
生徒の人生に対して「こうしようね」と自分の価値観や学校・塾・予備校の事情を押し付けるのではなく,生徒の疑問や悩みを受け止めてアドバイスできるくらいにはなりたいと思います。
文部科学省の教育指導要領もあると思いますが,小学生,中学生,高校生の皆さんには最低限のことは勉強しておいてもらいたいと思います。
先生方におかれてもお忙しい中とは思いますが,これだけはという内容をきちんと身につけさせてあげていただきたいと心から思っています。
これはどこか特定の学校のことを話しているのではなく,生徒から聞いて気になったことがあったのでこのようなお話をしたというだけのことです。
この文章の内容に関する責任は私にあります。
それだけ申し上げて今日の投稿を終えたいと思います。
今日もお読みいただきありがとうございました。
ONゼミナール代表 長田 俊将
www.on-semi.jp