ヴァザーリの壁画の下に隠された、ダ・ヴィンチの壁画は現存するのか? | レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの活躍を紹介していきます。

1503年の秋、レオナルド・ダ・ヴィンチはフィレンツェのヴェッキオ宮殿の壁画に着手した。フィレンツェ&ローマ教皇同盟軍が敵のミラノ軍をアンギアーリの町付近で勝利した「アンギアーリの戦い」という作品である。

その真横にはミケランジェロによる「カッシーナの戦い」が描かれるという、ルネサンスを代表する巨匠達の作品が並ぶ特別な広間になる予定だった。

しかし、3年後の1506年にはレオナルドがフィレンツェを去り、それから間もなくミケランジェロもローマへと旅立ってしまい、どちらの壁画も完成に至っていない(カッシーナの戦いは下絵のみが描かれただけだった)。




それから50年程経った頃に、この広間の壁画の依頼を受けたヴァザーリが再度壁画を描いた分けだが、レオナルドを尊敬していたヴァザーリはレオナルドの壁画を残したままその上に新たな壁画を描いた可能性があることは、以前にこのブログでも紹介した通りだ。


ダ・ヴィンチ・コードにも実名で登場しているカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の美術研究者マウリツィオ・セラチーニ博士は、3月12日にこの「アンギアーリの戦い」が現存する可能性を示す手がかりが新たに見つかったと発表した。ベッキオ宮殿内の豪華に飾られた広間の壁の裏側に内視鏡を入れて調べたところ、採取した破片に「モナ・リザ」にも使われた黒い顔料が含まれていることが分かったという。しかし、国際的な美術史家や保存グループなどが、ヴァザーリの作品が傷つく恐れがあるとして調査に反対しており、今後の調査が続けられるかはまだ分からない状況だ。