ロンドン・ナショナル・ギャラリーでダ・ヴィンチ展開催中! | レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの活躍を紹介していきます。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーで2012年2月5日までレオナルド・ダ・ヴィンチ展(Leonardo da Vinci: Painter at the Court of Milan~ミラノ宮廷の画家)が開催されている。


こちらのニュース映像でも見られるように、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの「岩窟の聖母」とルーヴル美術館の「岩窟の聖母」が同時に鑑賞出来るだけでなく、同館所蔵の「バーリントン・ハウス・カルトン(聖アンナと聖母子の習作)」や、ヴァティカン美術館の「聖ヒエロニムス」、アンブロジアーナ絵画館の「音楽家の肖像」、チャルトリスキ美術館の「白貂を抱く貴婦人」、エルミタージュ美術館の「リッタの聖母」等など、世界中から希少なレオナルド作品が一同に会するという歴史上例のない展覧会だ。大量に現存する手稿やデッサンと比べてレオナルドの絵画作品は非常に少なく、未完成、共作のものも含めてわずか10数点と言われている。




少年時代から20代を過ごしたフィレンツェを後にし、30歳になったばかりのレオナルドが目指したのは当時人口12万5千人のロンバルディアの首都、スフォルツァ家が支配するミラノだった。ミラノに到着したレオナルドは、パートナーとなるデ・プレディス兄弟と共に1483年4月25日付けの祭壇画制作契約を無原罪懐胎信心会と交わしている。

初めに主にレオナルドが描いた岩窟の聖母がこちら。その両翼に飾られた、デ・プレディス兄弟によるヴァイオリンを奏でる天使と、リュートを奏でる天使も今回の展覧会で見ることが出来る。


レオナルド・ダ・ヴィンチのノート-岩窟の聖母ルーヴル版
岩窟の聖母 1483-1485 ルーヴル美術館所蔵


ところが、教会からのリクエストを無視したレオナルドは、聖母マリアや幼いイエスとヨハネに光輪を描かず、天使ウリエルの羽も描いていない(最後の晩餐に登場するキリストや12使途にも光輪はない)。そのためか、絵画の報酬をめぐってのトラブルのためか画家達と教会側はこの後20年間に渡って係争が続いている。そしてデ・プレディス兄弟主導で描かれた第二ヴァージョンの岩窟の聖母がこちらである。

レオナルド・ダ・ヴィンチのノート-岩窟の聖母ロンドン版
岩窟の聖母 1506-1508 ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵

板絵からカンヴァスに転写された第一ヴァージョンよりも保存状態が良く色合いも鮮やかだが、やはりどこかレオナルドらしくない仕上がりになっている。


今回のもう一つの目玉、新発見となる「サルヴァトール・ムンディ」だが、1500~1510年頃にヴェンツェル・ホラーによってレオナルドのデッサンが模写されている。このようなデッサンがあったことは既に証明されており、今回の展覧会で初公開となる。実際にこの目で見て確かめてみたい展覧会だ。

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